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☆見知らぬ世界で、少女のお目付け役になりました!  作者: うにかいな
第陸章 ~「アジャンレ村」ノ危機~
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119話 「アンナ」ノ記憶 ~後編~

 ルティーナ達は無事に『アジャンレ村』に到着し、両親に半年ぶりに再開することができた。

自分たちの近況報告をした後、本題であるアンナの知っていることを確認すべくシャルレシカに当時、ルティーナが大怪我をした日の事を探らせる。

そこから得られたものは、おそらく『水晶の破片』に馬琴(まこと)が存在していて何等かの干渉でルティーナに憑依し、ショックで崖から転落したと確信する。

そんな中、バルストがその前日に『王都爆発事件』が起こった時の話しをするのであった。


 バルストの偶然の発言に、馬琴(まこと)はノキア王との食事会での疑惑が解けかけていた。


(おいルナっ、ノキア王が怪しいと俺が言ってただろ)


(そういえばそうね)

(え? それじゃぁ王様も、マコトみたいに誰かが入っていた『水晶の破片』に触った可能性が……あるってこと?)


馬琴(まこと)は、ルティーナの身に起こっていることと、エリアルの剣に誉美(ともみ)が存在していることを加味すると、ありえなく無いと語る。

そして、なんらか3人またはそれ以上の人間がこの世界に呼び寄せられて『水晶の破片』になってしまったと考えると納得がいくと。


(そうなると、王様の中には誰が……)


(よくよく考えると、私の話しになると必死に食い付いてたもんね……王様に入っている人も、私の中に誰かいるって気付いているってこと?)


(まぁ、あの『能力(ちから)』を見たら、俺がエルの剣を見た時みたいな反応になるだろうな)

(だが……味方なのか? それなら、一度話をした方がいいのか?)


しかしルティーナはノキア王からは、そういう興味的な視線でなく、異質なものを肌で感じていた。



「――ナ? ルナったら~大丈夫なの? もう夜も遅いし疲れているだろうから、明日にする?」

「もう1つ、聞きたいことって言ってたけど……」



ルティーナは馬琴(まこと)の見解に呆然としてたが我を取り戻し、アンナに『ヒーリング・ストーン』をどこで入手したのかを問うのであった。

誕生日プレゼントが無くしてしまったのかと焦るアンナに対して、ルティーナは誤解であることを説明し、サーミャの転移魔法に必要なので探しに行きたいと相談した。


「え、あの石は回復以外にそんな使い道があったの?」


しかしバルストは、あの石はガレイド王国の最高峰の『フォルブレア火山』の任務してた時に、偶然、拾った綺麗な石であった。

後日オリハーデに鑑定してもらい、それが『ヒーリング・ストーン』だということが解かり、その話を聞いた冒険者達が自分も入手したいと『フォルブレア火山』に殺到したが、突然の大噴火が発生してしまい付近は豹変、ここ10年近く街道は封鎖されていると言う。


「えぇ~それじゃ、もう手に入らないのぉ~」


「そうでもないわよ……もう1つあるにはあるけど――」


「あ、あるのっ? お母さんっ」


「でもね、問題がね……」


「問題?」


アンナの記憶では、事件に合う前まで済んでいた我が家の自分の部屋の宝石箱の中に入れていたはずと語る。

だが、バルストが暗殺されかけた以上、その家にうかつには近寄れないのではないかと危惧するのであった。


「そもそも、私の家……まだ残ってるのかな」


「一家全員死んでしまったって広がってるし……空き家か? 誰か勝手に住んでいるかもな」


馬琴(まこと)は、半年もの時間が経過していることと暗殺を成功したと思い込んでいる以上、家の中は荒らされているかもしれないが監視はいないだろうとルティーナに言う。

両親の不安をよそに、2つ石があるだけで全然違うと理解したルティーナの意思は堅く、トレンシリア王国の実家に行くことを決めるのであった。


「そうか止めないが、それなら、俺の部屋に討伐で使っていた大剣があるから持ってきてくれないか?」


「いいけど、どうして?」


「自分の愛剣なのに、ドリネさんの護衛の時に、難易度が低いと踏んで邪魔になりそうだったから持って行かなかったことを後悔していてな」

「ルティーナなら、どうせ小さくできるから簡単に持ってこれるんじゃろ?」


「さすがお父さん、わかってるわね」

「でも、それならお父さんにお願いしたいことがあるの」


「?」


ルティーナは、サーミャに明日、ロザリナ達と合流した後で、エリアルだけ連れてきてほしいと頼んだ。

そして、バルストにエリアルに剣術を教えてあげてほしいと交換条件を出すのであった。


「そうでもないの、彼女はブクレインで護衛団をされていた師匠は居るみたいんなんだけど、その方が80歳ぐらいの高齢だったそうで、ほとんど独学で剣士になったのよ」

「それに剣の『能力(ちから)』任せの戦いをしているから、戦術的なのを教えてあげてくれたらうれしいなぁ~」


さすがにルティーナの願いを断ることができなかったバルストであったが、本当はルティーナに剣を教えたかったことを悔やんでいた。

そんなバルストをよそ目に、ルティーナは馬琴(まこと)が決めた今後の活動方針を、全員に説明するのであった。



今日は『アジャンレ村』に宿泊。

翌日、サーミャだけロザリナ達と合流し、エリアルだけを連れて来る。

その夜、エリアルだけを『アジャンレ村』に残し、3人は再びロザリナに合流し、任務を全員でしていた様に見せるため、一旦ノスガルドに戻る。


次の日以降は、新たに4人でトレンシリア王国付近の任務がないかを探す為にギルドに向かう。

運よく見つかれば、任務の寄り道でルティーナの実家と事故現場を確認するようにし、不自然な外出に見せかけないように徹底する。


任務を終えた後、カルラの宿でロザリナに留守番してもらい、3人でここに残したエリアルに合流し、サーミャの杖の秘密を握る老婆の居る『ジェイスト』に向かう。



話し合いが終わり、アンナは疲れているだろうと、サーミャとシャルレシカは先にお風呂と客間を案内した。

その後、久しぶりに家族3人で軽く談笑し、ルティーナはアンナと一緒にその日は眠りにつくのであった。

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