106話 爆弾ノ部屋
3組に分断されたルティーナ達。
ルティーナとロザリナは、指令室のような部屋に転移させられていた。
そこにあるものが何かは馬琴はおおよそ理解できたが、2人には全くの未知との遭遇であったため動揺が隠せなかった。
その部屋では、サーミャ達の行動を手に取るように把握できたのであった。
エリアルとシャルレシカ
ルティーナ達がシャルレシカ達との合流に動き出す10分前に話しは逆のぼる。
シャルレシカとエリアルもルティーナ達同様、気づくと先ほどいた通路と全く違う場所に転移させられていた。
「シャルっ、大丈夫かい?」
「ふぁ~い、一体何がぁ」
「ミヤと離れてしまいましたね」
エリアルは、シャルレシカがいることで皆の位置は把握できる点は他の3人にくらべて恵まれていたが、『鍵』を持っていないため目的地にこの先にたどり着いてもも意味がないと。
そこで彼女にルティーナかサーミャの近い方に誘導するように指示するのであった。
「じゃぁ索敵してみますねぇ~」
「ん~ミヤはぁ反対の方にぃ突進してるみたいですねぇ」
「(ヤケを起こしていなければいいけど……)」
「ルナはリーナと一緒にいるようですぅ~、全く動いていませんねぇ」
「戦闘中ではないということか……何かを見つけたのかな? ルナの事だから心配はしていないけど、ミヤの方はかなり心配だなぁ」
「どうしますかぁ? ミヤを追いかけますかぁ? ルナたちに合流しますかぁ?」
エリアルは今いる通路に人形が居ないことを確認し、前に進む一本道しかないためそのまま前に進むことにした。
そして扉の前にたどり着く。
シャルレシカはエリアルに抱き着き、エリアルは扉を開けた。
すると、今度は普通に次の通路に出き人形も存在していなかったことに安心するのであった。
「シャル、ルナとミヤのどっちが近いんだい?」
「ミヤはぁ~どんどん離れて行ってますぅ……ルナとリーナはぁ、あれからぁ動いていませんねぇ」
エリアルはルティーナ達との合流を優先することにし、そのまま通路を進んでいく。
するとすぐに大きな部屋らしき入口の扉の前にたどり着くのであった。
「今までの扉と違って……重厚そうな鉄の扉? 一体、なんの部屋だろう……」
エリアルはシャルレシカと離れない様に、剣を鞘におさめ両手で扉を押し開けようとしたが、まったく開かなかった。
この先にしか進めないため、困り果てたエリアルであったがシャルレシカが剣で切ればいいと提案する。
「そうだね。もし、この先にあの人形が居ても先制できるし……シャル、凄いよ」
「『ソード・オブ・スラッシュ』」
(【斬】)
エリアルは、自分たちが通過できるぐらいの入口を剣で切り割き、足で扉を蹴り飛ばし中に入ることができた。
しかし、その扉に穴をあけた瞬間、暗闇の先から広がる凄まじい腐臭につつまれた。
「うっ……こ、これは酷い」
「す、『ストーム・サイクロン』っ」
シャルレシカは、風魔法を広域に展開させ少しでも臭いを軽減させるのであった。
そして2人が部屋の中をうかがおうとした瞬間、部屋の灯りが自動的に点灯し部屋の全貌が目の当たりにされる。
そこは100畳ほどの部屋に数人の白骨死体が祈る様な格好で綺麗に並んでいた。
「も、もしかしてぇ~眠らされてしまったぁイスガの要人達ですかねぇ?」
「そのようだね……おそらく何も知らされず……安楽死させられて並べられたんだろうね」
「ねぇエルぅ~、あそこの光るものってぇ?」
「王冠っぽいね……ということはこの遺体はイスガ王……本当に最後はここで皆と一緒に眠られていたんだね」
エリアルはせめてミレイユの為に、王冠についている宝石を外し持ち帰ることにした。
「は、吐き気がぁ……気持ちが悪いですぅ」
「無理もないね、魔物を殺したときとはまた違う不快感だな」
「シャル、辛い事をお願いをしたいんだけどいいかな? 本当は僕がやれればなんだけど……魔力がないから――」
「(ここに王様が居たってわかってたら、フレーディルさんも一緒にしてあげたかった)」
察したシャルレシカは、サーミャが行ったと同じく『アース・エンベッド』を使い、彼らの遺体を床の下に鎮めるのであった。
そして、彼女は続けて現状確認で索敵を行った。
すると、ルティーナ達が自分達がいるほうに近づいてきているとエリアルに伝えた。
「それは助かるが、どうしてわかるんだろう? シャルも居ないのに……偶然なのか?」
「ルナは不思議なぁ力が宿ってるんだとぉ思いますぅ……初めて出会った頃からぁ気付いてはいたんですけどねぇ」
「そうなんだ……知ってて黙っていてあげたんだね、シャルはルナ想いなんだね」
「(それ、後で説明するって話……あの2人で砂漠を駆けていた時に多くは語れないって言ってた理由のようだな)」
「でもぉ最初にエルとぉ戦った時はエルの剣からルナと同じ感覚がぁしているのですぅ」
「(でも今は……エルからぁ? 気のせいかなぁ)」
そして2人はその部屋にある唯一の扉の前に立ち、同じ様に2人はくっ付いて扉を開けるのであった。
エリアルは扉を開けるとそこには――。
「な、なんだこの部屋……見た事のない物がいっぱい……それに、この巨大な楕円形の球体は一体?」
「……それに、大量の鎧の人形や色々な人形がガラスの筒のようなものに入っている? ……襲ってこないよな?」
「ねぇエルぅ、あれじゃぁ~ないんですかぁ?」
「! 鍵穴がある銅像……だね……これがミレイユが言っていた完全封印を実行する……」
よりによって自分たちが発見してしまったことに運の無さを感じていたエリアルであったが、その間にシャルレシカは巨大な楕円形の球体に触れていた。
「シャルっ、むやみに触っちゃだめだぞっ!」
「触れば、何かわかるかぉしれませんよぉ」
そしてシャルレシカは、腰を抜かして床の上にかがみこんでしまった。
「……」
「どうしたのシャルっ! 大丈夫かい――」
シャルレシカはエリアルに無事だと伝えるも、震えながら説明を始めた。
その球体の正体は核爆弾であった。彼女には広大な地上を飲み込み見た事もない爆発と爆風で全て物が消えていく映像が見えていたのであった。
そして、もう一度、球体に触れ直し記憶を読み取ろうとしていた。
「意味が分からないんですけどぉ、数千年前の技術の設計書からぁ再現したらしいですぅ」
「数千年前の技術? 設計書? あの紙に描いてある意味の解らない文字のことか?」
「あとで、ルナに聞けばわかるかもしれないな」
「他には何か読み取れるかい?」
「最初は山やぁ地面をぉ魔法が使えない人にでもぉ砕けるようにぃ小さいものを作っていくうちに、これを作ってしまったみたいですぅ」
「……」