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10話 救出

無事に任務が終わったが、その瞬間、大量のデフルウの襲撃に遭うルティーナ達。

バルストは第一波を苦戦しながらも迎撃したが、第二波が押し寄せる。

覚悟を決めたバルストは全員を逃がすべく1人で立ち向おうとする。

ルティーナは、そんな父親を助けられるのか?

 一行は魔物に取り囲まれた状況からシャルレシカの指示に従い、馬車を走らせ安全な場所へ移動していた。

ルティーナも戦う気満々であったが、アンナが彼女を抱きしめられていたため飛び出すタイミングを逸してしまっていたが、アンナの手を振り払い、バルストを助けるために馬車を飛び降りて彼の後を追った。

アンナはルティーナの名前を叫び静止しようとするが、ルティーナはバルストを手伝ってくる告げ、シャルレシカに後を託してバルストの元へ駆けて行くのであった。


 その頃、バルストは次々と襲い来るデフルウを軽快に倒していたが、連携を得意とするデフルウが徐々に優勢になり始める。

ついにバルストも体力的に対応が厳しくなり、一度に数匹に飛びつかれ、右腕を肘から食いちぎられてしまうのであった。


「(くそっ、任務を侮ってしまったか……あの剣を持ってきていればこんなやつら……これまでか)」

とバルストは、ルティーナにもう一度抱きしめたかったと後悔しながら覚悟を決めた。


しかしその時――


「お父さんっ! 目を閉じて!」


というルティーナの声が響いた。

バルストがわけもわからず目を閉じると、ルティーナは【(かがやき)】が描かれた板を彼の真上に投げ込み、『起動(きどう)』させた。

閃光がデフルウたちを包み込み、彼らを混乱させた。

ルティーナはうずくまるバルストの前に立ち、両手を地面につけて【(ほのお)】を二方向に描き、前方を炎で包囲した。

デフルウが躊躇し飛び込んでこないのを確認した上で、バルストの痛々しい右腕の肩の根元を紐で止血し【(いやし)】、胸当てに【(かるい)】をグスルトの体の大きさになるように描き、『起動(きどう)』した。

そして、【(かるい)】は5重描きし約32分の1の重さになったバルストを背負い、馬車の方へ逃げ始めるのであった。


バルストは目の前で起こっている不思議な出来事に理解できなかったが、ルティーナに自分がおんぶされているはずがいつの間にか引きずられていることに複雑な気分であった。


「説明は後! お父さんっ今は、ここから離れるわよ」


 逃げる2人であったが、馬車が目の前に引き返してきたのであった。

それはシャルレシカの指示であったが、馬琴(まこと)は彼女の感に感銘を覚え、ルティーナに新しい指示を出した。


「ドリネさんっ! そこで馬車を止めて!」


ルティーナは右手でバルストの防具の襟をつかみ、右肩に左手を当て【(ちから)】を描き『起動(きどう)』させると、彼を馬車に向かって渾身の力で投げ込む飲んであった。

続けて地面に手をつき、全員に向かって【(かま)】を16m程の大きさで描き、迫ってくるデフルウとの距離を確認した上で自身も文字の上に飛び乗り『起動(きどう)』した。

すると周囲に大きな壁が隆起し、爆音と共に岩状のものが全員を包み込んだ。


突然の暗闇に五人は混乱している中、ルティーナは地面に手をついて【(あかり)】をいくつか描き空洞の中を明るく照らした。


「お母さんっ! 私は大丈夫だから! まずは重症のお父さんをっ!」


「あなたっ! 腕がっ! 『キュア・ヒール』っ! ごめんなさい、あの魔法は私には使えないの……ごめんなさい」


バルストは自分が助かったことにアンナに悔いることはないとなだめるが、ルティーナに何が起こったかを問う。

しかし、ルティーナは今は助かることを優先にしてほしいとお願いした。

そう、壁の外ではデフルウ達が岩をほじろうとする音が窯の中に響き渡り、穴をあけられるのも時間の問題だと――。


(ところで、私たちこの中から攻撃できるの? 【(かま)】を解除したら、私たち瞬殺されちゃうわよ?)


(大丈夫、俺にまかせろ)


「シャルっ、ちょっといい? 力を貸してぇ~」


「はぁ~い! 何をぉ~したらいいのぉ?」


「とりあえず、デフルウが一番多く固まっている方向を順番に教えて」


ルティーナは、シャルレシカが示す方向の側面の下の地面に両手をつき、左手に【(とげ)】、右手に【(ざん)】を外に向けて描き始めた。


(……7、8、9っと、そろそろかな?)


文字の大きさが約60mになったところで『起動(きどう)』した。

すると、地面から棘状の刃のような切れ味の岩が窯の外側に一斉に隆起し、デフルウ達を襲った。そして断末魔が響き渡った。


「ルナぁ~そっち側のぉデフルウがぁ、大量にぃ消えたよぉ~? なんでぇ~?」


「シャルっ、次はどこ?」


ルティーナは同じ手順でデフルウを壊滅状態にまで追い込んでいた。ほんの五分もかからずに……。


「ルナぁ~、あとぉ~七匹ですよぉ~。」


(それじゃ、外はめちゃくちゃだろうから『停止(ていし)』っと)

(ルナ、行けるか? 外は相当グロいぞ……俺も、あまり見たくないけど)


「お母さん、お父さんの事はお願いね! ちょっと出かけてくる!」

「え、ルナ? お願いだから、危険な事はもうやめて! 貴方まで……」


ルティーナはアンナの制止を振り払い、シャルレシカにデフルウがいない方向を確認し、その方向の壁に手を当て【(あな)】を出入りできるくらいの大きさで描き穴を開けた。

そして、嫌がるシャルレシカも一緒に連れて飛び出した。


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