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界の渡り人  作者: ホトトトギス
王都騒乱
77/89

べトン捕縛作戦ーべトン

 1月19日23時25分をすぎたころ

 イクルの死体を運びながら他メンバーたちと合流する。


「すみません!遅くなりました!皆さん無事ですか!?」


 あたりに倒れ伏している刺客を踏まないように歩いているため

 なんとも情けない歩き方になっているだろうが

 そんなものに割いている意識を割いてる暇はなく

 全員の無事を確認する


「はっ。領主級下位が数名いた程度でしたので問題はなかったのですが、人数が人数だったもので少々手こずりました。」


「良かったぁ~」


「!しんや様はお体は大丈夫なのですか!?」


 晨弥の服がボロボロになっており

自分の心配しろよ

 と心の中で皆が思う。

 そんなことはつゆ知らず


「僕は全然問題ないですけど、この服!いやぁ、この世界すごいですよね。」

 からはじまり今来ている服が魔力込めると綺麗に戻っていくところを見ながら

こんなん向こうじゃオーバーテクノロジーもいいところですよ。

 などとケラケラとわらう。


あ、これ団長みたいに本当に何でもないやつだ。

 全員がこの場で心配するのをやめた。


「それで?これどうする予定です?僕の持ってるイクルは持っていこうかと思いますけど。」


「え、、、、っと、、どうやって中に入れるつもりですか?」


「あぁ、、、上にぶん投げて領内でキャッチ?」


「か、かしこまりました。この者たちは、、領内にいる者たちに一任するつもりでしたが、、」


「わかりました。それではここからは予定通りに」


、、、、


 その後は敵襲はなくべトン領に到着する。

 予定より少々遅れはしたものの誤差の範囲内であった。


「夜分遅くに申し訳ないが緊急の王命につき至急べトン領領主スロンディ・べトンにお会いしたい。」


 王命はすでに晨弥の手元へと戻っていたため

 晨弥が門番に要件を伝える。

 が


「申し訳ありませんが、明日またお越しください。」


 晨弥が持っている王命は今回の国際平和祭が終わるまでの間効力を発揮する。

 それは晨弥が国内を十全に動けるようにするものである。

 毎度国王に確認を取っている時間がない場合に

 晨弥の行動は国王が黙認または肯定し

 即座に解決に当たれるようにするためのもの。

 (私欲のために使うのはその限りではもちろんないが)


「では仕方ありません。門番のせいであれ王命を無視したとなればその名に傷がつくことになりますし、力づくで通らせていただきます。」


 門番を一撃で片づけ入領


「では皆さんここからです。よろしくお願いします。」


 小声で作戦開始の合図を出しつつ

 クォルトン捕縛に向かう騎士たちにイクルを渡す。


 そのまま晨弥はべトン邸へと走る。

 が

 門番があの対応だったことを考えると


そうなるよねぇ~。


 おそらく冒険者なのであろうが

 荒くね者どもといったほうが表現として正しい出で立ちをした連中が

 べトン邸の庭に埋め尽くしていた。


え、戦うん?

聞きわけがいいと助かるんだけどね。


「失礼、緊急の王命につき通していただきたい。」


最初は礼儀正しくね。


「俺たちは誰も通すなって言われているんだ。」


「あなた方が受けた命よりもこちらの方が強制力は上ですので、契約違反にはなりませんよ。」


「知ったこっちゃねぇなあ!」


知ってた。


「風切」


わざわざ一人一人気絶させて回るほどのやさしさはないんでね。


 一撃をもってねじ伏せ玄関から堂々と中へ入る。


「さて、、、、どこにおるん?」


 心の中で面倒だと思いながら魔力感知でさがす。

あ、いるわ。

 侍女や執事もそこそこの数がいる中明らかに一人年老いた存在を見つける。

 

、、、、


 スロンディ・べトン

 彼の長寿にはもちろん理由がある。

 ありはするのだが、、

 これを理由とするのは気が引けるものがある。

 端的に言ってしまえば

 夜の営み

 というやつである。

 もちろん、奴隷を使った。

 彼の奴隷に対する制圧感や 

 調教前と後の顔、している最中その全てが

 勝利者であるという自覚

 そして

 支配し続けたいという感情を湧き立たせ

 活力を与えていた。


 晨弥たちがべトン領に到着したころには本日の営みも終了しており

 取引で新たに手に入れた奴隷で楽しんだ後だった。

 そんなスロンディは満足そうに資料に目を通していた。 

 そこへ


「スロンディ様!」


 息を切らせながら一人の男がスロンディのもとに走ってくる。


「どうした?」


 至福のひと時を邪魔されたこともあり

 明らかに不機嫌になるが表情から

 言及をやめ、話を聞く


「王都から騎士が来ているようです。」


 その報告を受ける同タイミングで

 

「!」


 庭の方が一瞬にして静まり返る。

 

「隠しては?」


「あります。」


「そうか。」


 そしてこのタイミングで


「お取込み中失礼します。王命を受け参りました。纏晨弥と言うものです。あなたがスロンディ・べトン殿でよろしかったでしょうか。」


 晨弥が部屋へとたどり着く。


「まさか厄災を退けた英雄が来るとはつゆ知らず、何も準備しておらず申し訳ない。おっしゃる通り私がスロンディ・べトンと申します。」


 平静を保ちつつ会話をするが

外で魔力を感じたのはたった今だぞ?どうなっているのだ。

 広いこの屋敷でスロンディ・べトンがいるのは決して玄関から近くない

 だというのにもかかわらず一瞬で補足して

 息切れひとつせず立っている晨弥という男に恐怖していた。


「王命だったもので、外の者たちのせいで無視したとなっては申し訳ないと思い強行突破させていただきました。ご了承ください。」


「それはそれはご配慮ありがとうございます。して、王命の内容をお伺いしたく。」


「地下を見せていただきたい。」


やはりそうきたか。


、、、、


 視点は晨弥へと戻る。

 晨弥が現在も行っている魔力感知からこの屋敷には2か所の地下がある。

 一つはただただ荷物などが置かれているところ

 もう一つは奴隷がいるところ

 それゆえの


「地下を見せていただきたい。」


 この発言

 どちらを見せるのか。

 奴隷の方を見せて何と言うのか

 しらばっくれるのか。


「地下ですかな?もちろん喜んで。君、お連れしなさい。」


「かしこまりました。」


 スロンディ・べトンが晨弥から離れようとするが

 晨弥がそれを許さない。

 

「申し訳ないのですが、聞きたいこともありますのでご一緒していただけませんか。日付も変わっているのに体に鞭打つようなお願いをして申し訳ないのですが。」


 お願いという体を取っているものの

向こうからしたら王命がある以上嫌とはいえない、、、、はず。

 一瞬顔をしかめたが

 すぐに戻し


「承知しました。」


 了承させ

 案内されるままついていく

 そしてそのままただの倉庫に到着する。


「なるほど。」


 到着して早々晨弥が満足気な顔をする。

 その顔にスロンディは危機感を覚える 

 が

 もうすでにすべてが遅かった。


「それで?もうひとつのほうは?」


 晨弥がにっこりと問いかける。

もうすべて知っているぞ?

 と言うように


「ご安心ください。連れていけとは言いませんよ。」


 スロンディは急速に自分が衰えていくのを感じる。

 自分が他者の絶望から得ていたものが噴き出るかのような感覚


「行き方は分かるので、面倒なトラップとかあったら面倒なので、、、ね。」


 そう呟きながら案内人とスロンディを丁寧に運びながら 

 地下への入り口の前へとたどり着く。

 すでに暗部も到着しており、

 終わりを予見する。


「それで?ここから先になにか仕掛けは?侵入者に対する措置そして脱走者に対する措置」


 天秤を見せつけながら問う。

 どうにかして時間を稼がなければ

 そう考えるが


「クォルトンの方にも人はやってますし、イクルという王級ももういませんよ。」


 その時スロンディは敗北を理解した。


「だっ、、、、そう、、、、じ、、、だけ」


「なるほど。」


ズガン!


 スロンディから答えが返ってくるのと同時に

 一撃で隠し扉を破壊する。


「いきますか。」


、、、、 


 長い長い階段を降りた先

 

「うわぁ、、、、」


 広がる光景を見た晨弥の顔はひきつり心の底からドン引きしているだろう声をあげる。


 人権なんてものは存在していないのはもはや当然ともいえる空間

 仮にこの光景に興奮するか?と晨弥に問えば

するわけねえだろ!喧嘩売ってんのか!

 とマジ切れする程度にはひどい

 いや

 ひどいという言葉では説明できないほどのもはや未知が広がっていた。


「羽織るもの沢山準備したつもりだったけど、、、、足りるかな」


 もはや別の視点に着目しないとやってられなかった。


 その後

 脱走者に対する仕掛けは範囲攻撃で消し飛ばし

 地下にいた違法に買われた奴隷全員を救出し

 外に出たころにはクォルトンを捕縛した騎士団員たちもべトン領へと来ていた。


「そちらは全員無事ですか?」


「はい。こちらは問題なく捕縛完了いたしました。」


 ここでようやく先日会った男と晨弥が一致したのか

 クォルトンが口を開く


「お、いや、あなたは、、」


「おや?これはこれは私を覚えていたんですね?すっかり忘れられているものかと。女性の顔を覚えることに脳のリソースを割いているものかとばかり。」


 などと少々馬鹿にしていたのだが


ピク


 晨弥が何かに反応した。


「しんや様?」


「今って、さっき倒した連中のところに向かわせている人っています?」


「いえ。まだです。」


「僕が帰ってくるまでこの場で待機。僕が1時間帰ってこなかったら誰か王都まで走ってください。」


 瞬時に脳を切り替えその言葉の意味を理解する、

 

「かしこまりました。お気をつけて。」


 それに軽ーく手を振って瞬時に消える。


、、、、


 晨弥が騎士団たちと合流した地点は

 べトン領から相当な距離を離れている。

 それなりのペースで走っていたのだから当然ではあるのだが。

 

 今の晨弥の魔力感知ではその場を見張ったとしても

 最低でも異世界人が魔力を放出してくれでもしないと

 感知するのは難しい。


 ゆえに

 別の感知方法を準備していた。

 転がっている人たちに晨弥の魔力を隠しておき

 そこに誰かが魔力でもなんでも仕掛ければ

 晨弥の魔力が消え

 それが晨弥に届く

 簡単な仕掛け。

 なにをしたのか誰がしたのかまでは分からないのが欠点ではあるが。


 そしてもう一つ

 晨弥が一瞬で姿を消した理由

 いや

 消せた理由

 答えは簡単

 重力の檻(グラビウス)

 上空に重力の檻を発生させ晨弥の体にも重力の檻を発生させる。

 上空の重力の檻と体の重力の檻を共鳴させ

 上空の重力の檻の引力に体の重力の檻を引き寄せさせる。

 これにより一瞬で移動を可能にした。


 晨弥曰く魔法には

多少の法則性、原理の知識と出来ると思い込める馬鹿さの両方が大事(今のところ)

 それを体現した移動方法と言える。


 上空へと来た晨弥は魔力感知を広げ

 範囲のギリギリに重力の檻を作り出しそこに引き寄せる

 これを該当地点まで続け

 ものの数秒でたどり着く。


この距離ならスムーズにできるようになれば1秒くらいで来れるな。

 などと考えつつ

 晨弥の眼は敵を捕らえていた。

大晦日に投稿する内容じゃない気もしますが、、、


今年もありがとうございました。

来年からもよろしくお願いいたします。

皆様、よいお年を。

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