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界の渡り人  作者: ホトトトギス
王都騒乱
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べトン捕縛作戦

 1月19日午前4時ごろ

 晨弥はバリアスの元を訪れていた。


「騎士団から数名走れる方お借りしたいんですけど、、、」


「国王から話は聞いているが、、面倒なことになったな。」


この人、国王の呼び方案外適当だよな。


「どーしてこうなるんすかねぇ。」


「面倒ごとになるだけなんだからやらなきゃいいだろとは俺も思うんだがなぁ。というか九世なのにお前も大変だな?」


「まぁ、、どこもこんなもんじゃないですかね?」


「九世とはさほど面識がないからわからん。」


「ないんです?」


「意外だろ?」


「もともと冒険者してたなら少なくともギルマスの方はかかわりあるもんだと。伯爵級でしたよね?」


「話したことはあるが、所詮は冒険者とギルドマスターの関係としてだけだ。尊敬はしているがな。」


「伯爵級でそれだっけてことあります?」


「いろいろやんちゃしてたんだよ。」


今でも十分やんちゃでしょこの人。


「おい、今失礼なこと思わなかったか?」


すっ、、、


「おい?こっちを見ろ?おい?」


「いやぁ、本当にありがとうございます。お貸しいただいて助かりますぅ。」


「なんだこいつ。まぁいいか。それでどうなんだ?べトンの捕縛の指揮はお前がとるんだろ?」


「そうなんですよねぇ。このタイプの指揮は初めてなんですけど、アドバイスとかあります?」


「あ~、、そうだなぁ、、、一度迷うと終わるぞ。」


「うぐっ」


「択を迫られて何を選んだとしてもそれが最適だったと思い込め。結果として別の択の方が良かったと思うこともあるかもしれないが、、結果論だ気にするな。その経験があるから2度目からも悩むわけだが、、それはまた別の話だな。」


「おなか痛くなってきた。」


「ま、頑張れや。」


「あざます。」


、、、、


 続いてアンスの元を訪れる。


「お疲れ様です。」


「お疲れさま。べトン家もこの忙しい時期にやってくれるよね。まぁ、忙しい時期だからこそなんだろうけど。」


「どこもかしこも大忙しですもんね。一番暇の僕じゃないですかね?」


「君も2月入ったら忙しくなるけどね。」


「それまでにできるだけ根回しは終わらせたいですね。」


「そうだね。あって早々で申し訳ないんだけど私もあるからもう行くね。人員の選定は終わってるから動かし方は任せるよ。」


「ありがとうございます。」


 アンスも忙しそうにバタバタと走って行ってしまった。


忙しいだろうに選定まで済ませてくれてるんだもん。

二人ともすごいよな。慣れてるのかな?


、、、、


 その後

 団長たちによって選定された騎士、魔導士たち総勢20名と合流する。

 7割が女性であることに

まぁ、そうだよね。

 心の中でこぼす。


「この度、べトン捕縛の指揮を執る纏晨弥です。よろしくお願いします。」


 挨拶はそこそこに今回晨弥がたてた内容を話す。


「今、朝5時を過ぎたころですが、午後10時ごろにべトン領に行くための大橋があると思いますが大橋手前の森出口付近で合流、1時間の休息と作戦の確認などを行い、0時日付が変わるタイミングでべトン領に入れるようにしたいと考えているのですが、皆さんいかがですか?」


「森出口付近の目印はいかがいたしますか?」


「僕が魔力感知で見つけますので特に必要ないかと。べトン領行くための大橋と森の時点で一箇所ですしある程度場所は絞れるので問題ないかと。強いて言うならば、合流地点がそこで大丈夫かってところなんですが、話聞いた感じ問題なさそうなのですが、、、皆さんいかがですかね?」


暗部の人に合流地点の場所相談しといてよかった。


「問題ありません。」


「では、よろしくお願いします。」


、、、、


 騎士、魔導士と別れた晨弥

 書物室にてミルティコア王国の法が記されている書物を読み込んでいた。

 

 この異世界に来てすぐに法律とマナー、暗黙の了解は学んでいたのだが

 それは人としてやってはいけないことの確認の範疇でしかなかった。

 国際平和祭に備えての会議の際に自分の法律に関する知識が乏しいことには気が付いていた。

 そしてこのタイミングでのこの事件

 晨弥としては王都に缶詰めになる2月に読み込もうと考えていたのだが 

 こうなっては仕方がないとこの時間で必要そうな知識は身に着けようとしていた。

 

 ここ書物室には司書さんのような役割の方もそれなりにおり

 その中でも法律に詳しい人も存在しているため

 時間が許す限り

 その人にお願いし知識を得ることに専念することにした。


 そうこうしているうちに

 気が付けば


「時間、、、か。」


 晨弥と暗部がべトン領へと向かう時間が訪れる。

 

「晨弥様、お待たせしました。」


「シャッ、、、」


あっ、お仕事中に暗部の名前呼ぶのはまずい。


「今回はよろしくお願いします。」


 とりあえず気を取り直して挨拶をする。


「何なりとご命令を。」


「僕の方も準備はできていますし、王命書も預かってますし、行きますか。」


 晨弥と暗部4名で先行部隊との合流に向けて動き出した。


、、、、


 それから数時間

 魔力をできる限り消して出る最高速度をもって

 ほぼ予定通りの午後10時前には先行組と合流した。


「お待たせしました。皆さん。」

 

「お待ちしていました。」


「先にこれからの予定を確認してから出発まで休憩兼武器の確認などを行うということで問題はありませんか?」


「問題ありません。」


「これからの予定はまず、暗部の方々に先行してもらい万が一の奇襲に備えます。何もなければそのままべトン領に入りそのままべトンの捕縛に動きます。何もなければ、べトンとクォルトンはすでにべトン領内にいる暗部の方々が見張っているとのことなので、べトンの邸宅に入るのは僕が真正面から入ってべトンを抑えます。暗部の方々はクォルトンの捕縛をお願いします。騎士と魔導士の皆さんは二人の捕縛後に奴隷の方々の対応をお願いします。戦闘が発生したとしても基本役割はそのままになります。僕がべトン、暗部がクォルトン、騎士と魔導士の皆さんが奴隷をそれぞれ担当します。」


「かしこまりました。」


「戦闘が入領前に発生した場合、人数だけいる場合は、その場で各個撃破しつつ、足並みをそろえて入領します。強者が一人だけいた場合は僕が相手をします。その場合は役割を変更して暗部の方には先に領内して、残りの強者を先に撃破してください。その時も二人の見張りはつけてください。騎士と魔導士の皆さんは王命書を渡しておきますので、入領後はクォルトンとべトンを捕縛に動いてください。簡単に言えば先に入った暗部が厄介な連中の相手をしてその間に捕縛、手の空いたものから奴隷の対応で行きます。ちなみに暗部が確認した範囲だとどれくらいいますかね。」


「確認したところ、クォルトンの一団の中に王級冒険者のイクルを確認、領内から外に出ているところまでは確認しています。」


「イクル、、、あ、シュポーロでも話題になってたけどあんまりいい噂は聞かなかった人だ。」


「おそらく、彼とは戦うことにはなるかと。」


「その時は僕がやるので問題ないとして、、、他はいそうですかね?王級二人とかは勘弁していただきたいんですけど。」


「それなりの者はいますが、領主級上位が関の山なので問題はないかと思われます。」


「一つ質問よろしいでしょうか。」


「なんでしょう。」


「しんや様が戦闘を引き受けた場合は、どのタイミングでの入領がよろしいでしょうか?」


「40分経っていないのなら予定通り0時に、それ以外なら暗部と一緒のタイミングでの入領の方がよさそうですね。僕が戦闘になったら彼女に指揮権を一時的に渡しますのでよろしくお願いします。」


 シャルを紹介する。


「了解しました。」


「他には何かありますか?他になければ11時まで休憩その間に何かあれば適宜ということで。」


 この一言で確認を終え、各々が持ち物の確認などを行う。

 その一方で晨弥は周囲の見張りを買って出て

 それなりの大きさの木の上で魔力感知を展開していた。


「晨弥様」


 そこにシャルが現れた。


「?どうしました?」


「イクルなのですが、」


「あぁ。いますね一人。こっから、、歩いて、、どんくらいだ?わからないけど、、あれがイクルってことですか?」


 魔力感知をべトン領ギリギリまで伸ばし

 その中で感知したなかでの一番の強者に目を向けていた。


領内にいた暗部とかが情報くれているのかな?

魔法とか移動中使ってないし、、


「はい。他は領内で構えているかと。」


「内部が調子に乗ってくれていると助かるんですけどね。」


「内部からの情報だと浮かれてはいるようですよ。」


「それはうれしい知らせですね。あとは、、、」


「こちらはお任せください。」


「さっさと済ませて僕も向かうので。」


「かしこまりました。」


 、

 、

 、


 そして


「時間ですね。王命書を渡しておきますね。」


「確かに、お預かりいたします。」


「最後に聞いておきたいこととかありますか?」


 全員の顔をぐるっと見やる。

 特に問題はないことを確認し

 

「では行きましょう。」


 べトン捕縛に向けて動き出す。


 今回は緊急での王命という体を取っているため

 それなりの速度かつ魔力を隠さずに移動する。

 

 晨弥が王都出発前に危惧していたのは

 急に魔力が出現したと思われず

 何かあれば即行動に移せる地点での合流

 できるかどうかであり

 下手をすればべトン、クォルトンを捕まえたとしても

 そこと繋がっているミルティコア王国の貴族にまで情報が流れ

 尻尾を出さない可能性があったためである。


暗部と話し合って決めたんだ。問題はない。

 

 心の中で自分に言い聞かせる。


、、、、


 出発してから15分ほど一行は錨を背負った男を前に足を止めることになった。


分かっていたけど、立ちふさがるか。


「よぉ。この先に用事か?」


 威圧と嘲笑のまじったような声で声をかけてくる。


「えぇ。そんなところです。急ぎですのでよろしいですか?」


「だめだと言ったら?」


「そんなんこと言えるほどのもの持ち合わせてない奴が何言ってんだ。」


さっさと標的僕に絞っていただきたい。


「ほぉ?俺を命抜(めいばつ)のイクルと知ってのことか?」


「誰?田舎のガキ大将?卒業するお年頃じゃない?」


 いたって真面目に諭すような声で話しかける。


多少知ってはいるけど、知っていると声を大にして言うほどのことは知らんから

嘘は言ってない。


「いいだろう。その挑発に乗ってやる。」


 多少、声のトーンが変わったのがわかる。

 が

煽るの楽しいからもう少し煽ろ。


「いや、僕の思いやりを無下にしないでもらえます?」


 再び真顔で言い放つ。

 イクルからしてみれば

 「お前じゃ俺に勝てないから逃げなよ。追わないから。え?なんで逃げないの?かなしいなぁ。」

 と言われているような物である。

 イクルは目の前にいるのが九世、纏晨弥であることを知っている。

 晨弥が異世界人であることも知っている。


 いや

 知っているからこそ

 イクルのこれまでとある戦績が怒りの声を上げた。

 

ドゴーーーーーーーーン!


 イクルの武器である錨と晨弥の戦斧が激突し

 金属がぶつかったとは思えない音を立てながら

 せめぎ合う。


 と同時に他のメンバーはべトン領へと走る。

 が

 イクルの目には映らない。

 イクルの眼には異世界人しか映っていない。


 イクルは吠える

「お前は所詮、俺の名声の薪なんだよ!」


 それを聞いた晨弥は煽りではなく

 本当に心の底から思ったことを言い放つ。

 

「錨やら持ってるんだからそっち系のこと吠えろよ。」

科学世界にいたころの晨弥君はこんなこと言わないんですけどね。

どうしたんでしょうね。


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