自身の立ち位置は理解しておいて損はない
おはようございます。現在、朝の1時。ということで朝まで魔力制御をやりましょうかね。おかげさまでかなりうまく制御できるようになってきていると自負してはいるけど、まだ足りない。これは想像の域を出ないけれど、
・僕という異世界人がこの世界に来たこと。
・魔力量は姫様と同等
・未来視の魔眼持ち
少なくともこの三つはこの国の貴族だけでなく他国にもばれていそう。というのが僕の考え。この国にも他国の使者的な科学世界で言うところの大使に似た役職の人もいるっぽいのでそこから情報が流れていると考えたほうが間違いはないかなって感じ。あとは未来視ここが一番問題。これはミルティコア王国も含まれるが、未来視は欲しいのである。この国からしたら隠し通したい事実であろうが、ヴァーロットさんがこの国に派遣された存在であることから派遣元にも未来視はばれているはずだし、どうせ条約で異世界人の情報開示とかあるんだろうし、名目はまぁ
異世界人はこの世界に利益をもたらしてくれる存在だから犯罪者とかに使われないように各国が連携して防げるようにしましょう。
的な感じだろうね。実際のところは知らんけど。話をもどして、未来視は考えるまでもなくこの世界に利益をもたらせることのできる代物である。できることならどこの国も欲しい力であることは間違いない。アルゼディア国王もそれを理解しているから僕に対するコンタクトが魔法世界に来たばかりというのを差し引いても多いんだろうね。多分今日の食事にも当たり前の顔をしているんだろうし。もちろん他国も同様に僕の力は欲しいものなんだと思う。それこそこの国との関係を悪化させることになったとしても。今の世界の状況は聞いた感じ、厄災が目覚める可能性が高く、この国には九世と呼ばれる人類の希望が在籍していない。もちろん国に属せず、冒険者をやっている人もいるし、昔から交流がある国に九世はいるらしいが、僕をさらった国に対して戦争を仕掛けるだけの戦力を割くことができないだろう。っていうのが僕の考えであり、未来視が一番問題な理由。そして僕の魔力制御がまだ甘いと考えている理由。もちろん僕の確証がない想像でしかないが、ウァーロットさんやらと話をしているとき遠回しにそう言っている気がした。僕のできる範囲のことはやっておいて損はないし、危機管理はこの世界では必須事項だし、間違っていたら僕の杞憂で良かったで終わるから準備はしておこうってわけ。
そんなこんなで朝の5時。城壁の上を走っています。今日の朝ご飯は少なめにしたほうが良いのか、王族相手だからあまりがっつかないようにそれなりに食べたほうが良いのか、、、まぁ間違いないのは後者なんだろうけど、向こうが僕に王族が求めているのはがっついたほうがよさげなのがなんとも。というかこの世界に来てからおなかいっぱいになったことあったっけ?という疑問もないわけじゃない。飯うまいからおなかいっぱいになったと思い込んでいたというかなんというか。思い返せば少々気になる。おなかはすきはするがここ最近その感覚も若干薄れている気もしないでもない。なんか盛られてる?もしかして。でもなぁ結局確証がないしなぁ。というか、今日の朝ご飯どうするかを考えていたんだった。まぁそれなりに食べても問題ないか。
という感じで結論に至り、普段より気持ち少なめにして食事をしましたとさ。
さて、現在朝の8時。風呂に入っております。食事のあと城に戻ったら執事さんに念のため風呂に入ってくれって言われたので入っております。まぁ汗臭いとかあったら問題だし
風呂入って匂いも問題ないだろうけど昼まで時間あるし、本でも読みに行くかな。この世界の伝記やらもあってなかなか面白い。直近で読んだのはこの国の魔導士団長の伝記。魔力量は平民の平均くらいだが、扱う魔法が空間魔法で元々は農家で農業をしていた人が魔導士団長まで上り詰めるわけだが、これがなかなか面白かったので興味ある人はぜひ。今日読むのは魔道具の本なんですがね。
・・・
さて、そろそろですかね。現在11時を過ぎたあたり。もう出ておかないと迷惑をかけてしまうからね。部屋に戻って待機しようと書物室を出ると執事さんがいた。
「晨弥様。ご準備がもうすぐできますので会場までお連れ致します。」
「よろしくお願いします。」
執事さん曰く普段のようにふるまってもらえるとありがたいとのこと。普段のようにって言うけれども、それは本当に普段のようになのか、国王と話しているときの普段なのかよくわからん。まぁ最初は後者で状況に応じて前者かどうか判断すれば良いか。なんて考えていたらやれ服がどうしたのなんだのあって、
本日は快晴なもので外での食事となりました。、、、やっぱり国王もいるし。というか初めて見る方が二人ほどいる。考えるまでもなく王妃と王女なんだろうけど。
「予想していただろうけど私もお邪魔させてもらうよ」
はい。予想していましたとも。
「いえ、私は不都合ありませんので」
「そう言ってもらえると嬉しいよ。あぁ、あともう二人ほど紹介させてもらうよ。私の妻と娘だ。」
「お初にお目にかかります。サラと申します。」
・・・サラねぇ。日本の友達にもいたねぇ。
「?どうかなさいましたか?」
「すみません。知り合いにも同じ名前の人がいたものでこの世界でも通用するものなのだと。」
「科学世界でも私の名前は通用するんですね。」
二人してへぇ~なんて顔をしていたら
「そろそろ私の自己紹介してもいいかしら?」
あ、忘れてた。
「すみません。」
「私はミレイよ。簡単に言えばあなたの国の人が建国した国の出身ね。」
書物室の本の中にそういうことが書いてある本もあるんだろうけどまだ読んだことねぇや。
「よろしくい願いいたします。」
「えぇ、よろしくお願いしますね。」
それはそうと僕はこれからどうすれば良いのだろうか。どこに座れば良いのだろうか。
「晨弥君の席はここね。」
国王がすっごい軽いノリで座席指定してきやがった。僕の両隣は国王と王子。うーん。気まずい。まぁ円形のテーブルなのでどうにかこうにかといったところ。
なんて思っていたら食事も到着。肉やらなんやらが出てくる。どうせ聞くまでもなくお高いんでしょうね。食事マナーとか忘れちゃいそう。なんて考えながら食事会?開始。最初は約束していた通り登下校のどーたらこーたら。今回は電車の話をした。電車の説明もしたけど。うちの地元は都会じゃないから時間によっては1時間以上のロスが発生するだの。椅子に座れるかどうかがどうしたこうした。こんなことを話しましたとさ。僕が経験したことだから質問されても回答も可能なもんで楽しんでもらえたらしい。その他三名も食いつきがよかった。謎だね。そこから話は紆余曲折ありこの世界に来てからのことになりまして、
「しんやさん?は、今は何に興味が?」
王妃様が言い出した。
「現在は、魔道具の本を読んでますね。」
「魔道具の道に進むのかい?」
「いえ、ちょっと作りたいものがありまして。」
いまの僕が作りたいものは、睡眠中に魔力を発生させる装置。睡眠中でも魔力感知をできるようにしたいんだよね。装置の流れとしては、
①眠るときに、ボタンかなんかを押す。
②眠っている最中に魔力を発する。
③魔力を発生させたらそこから時間の測定を開始。
④もう一度ボタンか何かを押したら終了
だいたいこんな感じ。眠っている最中の時間は大体三時間の間にランダムで魔力を発生させる。押されるまでの時間の測定理由は目に見えて成長していることを実感できるほうが良いからね。ほかの理由もあるけれどね。
「それでしたら私がお役に立つと思いますよ。」
王女様、、、サラ様だっけかが言い出した。同じくらいの魔力だなんだと言われていたから勝手に知っている人に分類していたけど、今回初めてしゃべっているんだよね。
「私エンチャント関連の勉強をしていますので。」
「サラのエンチャントは文字を使う魔道具のエンチャントも戦闘で使うイメージのエンチャントも両方できる、確かに手助けできるやもしれん。」
国王も言ってるってことはほんとうなんだろうね。魔道具のエンチャントには頭の中にあるイメージを言語化する能力、戦闘で用いられるエンチャントは場に適したイメージをエンチャントしたいものやら人に押し付ける能力ってな具合に違っている。押し付けるって言ってもそのままの意味合いじゃないし、言語化する能力も文章を書くのか単語を書くのかとかいろいろある。だからこそ、この二つのエンチャントをすることができる人が少ない理由なんだけど。というかなんで王女様が戦闘で用いられるエンチャントを扱えるんですかね。
「サラは小さいころに騎士団の訓練を見ていた時にエンチャントを急にしだしてな。あの時は驚いた。教えていないのにほぼ無意識の状態でやってのけた。」
まーじかこの王女。天才ってやつなんですかね?
「それなのに私は戦いというのが苦手というかその場にいることさえ無理であまり役に立ててないんですけどね。」
あー、そういうかんじ?昔なんかあったのかな?聞かないほうが良いやつだろうから聞かないけど。
「というわけなんですがよろしければお手伝いいたしますよ。」
んー、ありがたい申し出なんだけど、どうしたもんかなぁ。王女が僕に手を差し伸べる理由がないんだよなぁ。既成事実作りたいだけ説もあるしなぁ。というかそれが正解なんだろうけども。ただその事実作成はこの国王がやりたいだけで王女自身は純粋にやさしいだけの可能性もあるんだよなぁ。国王が優しい人気さくな人ってのは城にいる間に何度も聞いた話ではあるけど、どれだけやさしくても国王である以上割り切らなければならないところもあるだろうし、僕をこの国につなぐ鎖になる。あ、王妃の可能性もあるか。王子は、、、いや、今考えるべきはここじゃない。この話を断った場合面倒ごとに絶対になるやつなのは誰が見ても明らか。てことは僕が打てる手は一つしか思い浮かばないなぁ。
「よろしくお願いしたいのですが、念のため研究者を派遣してほしいのですが。」
「確かに、いくらサラができるといってもまだ学生ですからね。」
ナイス王妃様。ナイスなんだけど怖いな。こうなった原因を最初に作り出したのはこの人だし。多分品定めしてたんだろうな。んで、この状況的にはこいつは無い判定を受けたって感じかな。だとしても僕はこれまでと同じ扱いを受けるんだろうけど。
「ふむ。ではだれか一人二人見繕おう。」
「ありがとうございます。」
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『なかなか切れるな。』
これが国王から晨弥に向けての素直な評価である。
サラならそう言ってくるだろうと思って晨弥君が魔道具の本を読んでいると聞いた時点でサラをこの食事会に参加させるつもりでいてここまでは予定通りだったんだが、、、手伝いの申し出を出した時、目が一瞬であったが鋭くなった。誰が既成事実を作らせたいのかまでは一人に絞り切れていないだろうが、ばれたな。未来視を使っているわけでもない、というか、使ったとしてもそんな先まではまだ見えないだろうし、頭の回転が速いというより、自分の立ち位置を理解しているからこそ、こちらが打ってくるであろう手を予想していたというほうが正確か。
サラと既成事実を作ることができたらシロが撫でられに行った者同士になってこの国を継がせる者を決められたんだがなぁ。そしたらなぁ、サラを他国に行かなくて済む可能性をなくせたんだけどなぁ。
国王は親ばかであった。
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『優秀ね。』
これが王妃からの評価である。
この食事会に出たのはたまたまでしたけど。私以外参加するなんて聞いたら私だって出たいですもんね。シロが撫でられに行ったという情報も聞いていたので純粋な興味もありましたが。国王が何を考えているかも考えるまでもなくわかりますし、会話の流れをうまく変えるの苦手な人ですし手助けするつもりでしたが出てよかったですね。食事のマナーに関しても特に言うことはないと言ったらウソにはなりますが彼自身が気を使っているんでしょうね、気にするほうが馬鹿らしいとさえ思います。そして危機感知能力、素晴らしいですね。予想してきたのでしょう。状況的にわからなくはないですが、既成事実場合、城の者に聞こうものなら私たちにも筒抜けになる可能性を考えると、普段の会話の中での情報や動きを見て立ち位置を理解しなければならないことを考えると十分でしょう。それに学生と素人だけじゃ万が一に備えられないからという理由付けももっともですし、研究者は私たちが指示を出しても、好奇心を刺激された場合、命令ではなくお願いという形になる以上忘れる可能性がありますね。そこにかけたといったところでしょうね。科学世界でも研究者というのは似たような存在なのでしょうか?そう考えればこのかけも理解できる。だからこそ助け舟を出したわけですが、、、
それはそうと下手な輩に嫁がせるなら晨弥に任せたほうが良いのは目に見えていますからね。候補として考えておきましょう。
王妃もまた親ばかであった。
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『『そういえば彼をこの国にとどまらせる口実作るの忘れてた(ました)』』
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そんなような感じで話はまとまり、お開きということになった。疲れたぁ。食事している最中も会話しているときも魔道具の時も気が気じゃなかった。胃に穴空くかと思ったよね。というか穴空いたね。魔道具は研究者を選出してからだから、もう少し後かな。というか研究者いるんだね。適当言ってそれっぽい役割の人に来てもらおうとしていたんだけどいるもんだね。、、、書物室にでも行くかな。
そのあと、日本人が建国した国が書かれている本を午後11時頃まで読みましたとさ。