秒針
聖都滞在中のある日
「よろしくお願いします。」
「「「よろしくお願いいたします。」」」
晨弥は神聖魔法で治療を主にしている人々と
多くの魔道具などを集め
とある魔法の訓練を行っていた。
「では、始めます。」
練習しているのは重力の檻の応用
重力を引力としてとらえ
反対の斥力を発生させる魔法
ズドガーーーーーーーン!!!!!!
大轟音を立てながら魔法が暴発する。
魔法を使用した晨弥の体
その右半分が消し飛んでいた。
魔法を使用するときから心臓と脳には魔力の障壁を作っていたが
暴発するのを感じ取った瞬間に障壁の強度を上げ
どうにか命をつなぎとめていた。
晨弥が訓練しているのは
とある結界の中であるが
全体に超高濃度の神聖魔法が満ちており
傷を負った瞬間にその傷が治る
そのレベルの結界にいることも命をつなぎとめている要因になっている。
回復を担当する者たちは結界の外で大規模な回復魔法を準備しており
魔法が成功しようが失敗しようが
大魔法を使って晨弥を癒す手はずになっていた。
「ッハァ!、、、はぁ、、、はぁ、、、」
意識を取り戻す晨弥
「晨弥様!次の魔法完成まで10分ほどいただきます。」
そんな晨弥に次の魔法発動までのインターバルが伝えられる。
このようなことを時間が許す限り行い続けた結果
魔法の練習総回数:328回
そのうち
暴発し体が消し飛んだ回数:248回
片腕だけが吹き飛んだ回数:53回
欠損はなかったが吹き飛ばされた回数:19回
成功回数:8回
その全てで詠唱をしてなおこの結果
とはいうものの
純粋に斥力の魔法を片腕が消し飛ぶ程度で扱えるようになるまでは
100回~120回ほどでできるようになっていた。
問題はそこからだった。
魔力もっと言えば神聖魔法を纏った状態で
この魔法を扱えるようにするための練習を始めた結果
上記のような回数になった。
体が消し飛んだ回数のうち2~3割は本当に死にかけた。
しかし290回を超えたあたりからだろうか
片腕は犠牲にはなったりするものの
最低ラインがそこになり
それを下回るようなことはなくなっていた。
「晨弥様、お疲れ様でございました。」
「何日もありがとうございました。」
「いえいえ。九世様からのご依頼とあらば」
「本当にありがとうございます。」
「話は変わりますが、晨弥様。先ほどの魔法を疫病の厄災との戦いでお使いになられるのは最終手段、または相応の状況のみにした方がよろしいかと。」
「そうします。」
重力の反対
どれだけ練習しても
イメージをとらえられなかった晨弥
それが
この魔法を完全に制御しきるに至らない理由であることは理解していた。
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「始めます。」
晨弥はコートを脱いだ。
コートもとい戦闘服なのだが。
晨弥はコートの中は
半袖のインナーではないがかといって服ほどではない
そんなものを着ている。
その両方はミルティコア王国お抱えの職人たちが作り出した
最高級品である。
そのなかでも特筆すべき点は
繊維状にした鉱石を2つ織り込んでいることである。
ミルティコア王国と聖都それぞれからしか取れない希少な鉱石
聖都の鉱石に関しては
モラレドをはじめとした騎士団の装備にも
多い少ないあるが使われているほどの。
非常に丈夫かつ軽く薄い
優れた品である。
だというのにもかかわらず
コートを脱ぐ理由
それは魔法の発動の感覚にある。
魔法の練習をする際
晨弥はほとんど半袖で行っている。
その結果
こと魔法に関していえば
半袖の方が微調整をしやすいという
珍妙な
それでいて
ある意味合理的な状態になっていた。
「フーッ、、、」
一呼吸
そののち詠唱を開始する。
「地を行きし者
それは
星を受け入れ、星に受け入れらし者。
なれば
天を行きし者は
受け入れず、受け入れられなかった者なのだろうか。
水を行きし者は
受け入れず、受け入れられなかった者なのだろうか。」
詠唱を開始した晨弥から何かを感じ取ったのか
二匹が晨弥へと攻撃を絶え間なく仕掛ける。
が
モラレドによるフォローと晨弥の回避性能が合わさり
危なげなく最小モーションでかわし続ける。
「断じて違う。
天を行きし者であろうとも
水を行きし者であろうとも
星を受け入れ、星に受け入れられし者である。
矮小なる我ら人は
それを重力と呼び
引力を見出し
偶然の先にある
運命の源泉であれと意味づけた。」
刻々と時間が過ぎていく
聖女を守る騎士たちからもすでに犠牲者が発生している。
「星を受け入れず星に受け入れられている者はどうだろうか。
人である我らでは答えを導くことはできないだろう。
だが
受け入れずとも偶然が我らを引き合わせる。
ゆえに
我らは違うことはなく
星の引力が詠う言の葉の意味をあてもなく探し求める。」
この魔法が成功すること
それはすでに最低条件となっている。
成功したとしても
この状況が好転するかどうか
そんな思考はなく
好転する始まりの一歩には必ずなると
信じて疑わない。
「星に受け入れられない者はどうだろうか。
星を受けれていようとも
受けれていずとも
星に在る者。
そう
我ら人は矮小であるがゆえに
星の大きさを知らない。
星はすべてを受け入れる。
そこに意味はなく
星は無償の愛を振りまく。
しかし
人は理由を探し求める。
そんなはずはないと
我らが傲慢にも意味づけたものが
正しいものであると
狂気にも似た信仰とともに。」
また一人
散っていく
「どうか許してほしい
無償の愛を畏怖する我らを。
意味を追い求める我らを。
どうか
どうか
どうか
意味付けし我らの源より
追放せんとする私の蛮行を」
詠唱が終わる。
終わると同時に
状況は完全に整えられる。
聖女と騎士団たちがいる地点と
厄災と竜がいる地点に程よい空間
そこに降り立つは晨弥
モラレドは騎士団の元まで瞬時に下がる。
ゆえに
魔法は放たれる。
「外への排斥!」
外への排斥
自身を中心に全方位を押し出す力を発生させる魔法
ほとんどの人が自分もろとも相手を消し飛ばすために使用する。
今回の晨弥の場合は
押し出す方向を指定し、
指定した方向に全方位分の押し出す力を発生させる。
魔法を放った晨弥の右腕は吹き飛ぶが自身への被害はそれだけだった。
骨の竜はというと
神聖属性を帯びている骨の部分を完全の消し飛ばすことができなかったのか
少しずつ形が戻り始めるが
それ以外の部分は
消し飛ばすことに成功しており
厄災にも効いたのか
地に付していた。
「はあ、、、はあ、、、」
晨弥は珍しく大粒の汗を作りながら
肩で呼吸をする。
失敗したら
そんな不安が心のどこかにあったのだろう。
それでも纏っている神聖魔法はほころびを見せないのは
さすがと言うべきだろう。
とはいえそれもこれも
ほんの一瞬
次の瞬間には
汗はなく
肩で呼吸もしていなかった。
目線の先にいる
頭だけ復活した蛇を見ていた。
?
何かがおかしい
晨弥の直感が告げる。
だがそれが何かがわからない。
わからないが
頭を即刻潰す
その判断を下しながら動き出したその時
グオオオオオオオオオオオオ!
頭だけの骨が咆哮をあげた。
「は?」
小さくこぼす晨弥を他所に
頭が崩壊していく蛇
そして
遠くの地点、、、
いや
その地点は知っている。
晨弥が四病を討伐した地点
そこから感じる4つの魔力
「蘇生、、、、、?」
あの時討伐したはずの4匹の魔力を感じる。
それも
さっきより
つよい、、、!
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経過時間:43分
残り時間:17分
詠唱させただけ?
もしかして今回
申し訳ない。




