聖都ー1
「未来視の魔眼で見た未来の処理に時間がかかっている可能性がありますね。」
目覚めた晨弥はヴァーロットの診断を受けていた。
「とりあえずは魔眼の使用は控えて、、、聖都で一度詳しい検査をした方がいいですね。」
かなり先の未来まで多くのパターンで見ることができるようになったが
急激な情報量の増加に脳が対応しきれないタイミングで長時間魔眼を使用していたことで
脳がキャパオーバー寸前になっていた。
そのため応急処置ではあるが
神聖魔法によって脳の負荷を軽減できるように魔法をかける
「なら丁度良いかもしれません。」
ヴァーロットの発言にアンスが反応する
「晨弥さんもやはり呼ばれましたか。」
「ええ。討伐者というだけでも呼ばれるとは思うのですが、、、今回の議題の一つが、、、」
「?、、、、ああ、そうですか。彼も、、、」
「そのようです。」
、、、、
10月25日
各国の王と九世に知らせがとどいていた。
・聖都で行われる会議への強制に近い参加要請
・九世國宗の引退
・新しい九世の選抜
これらが主な内容であった。
この会議は王と九世だけが参加することができるが
今回、晨弥は厄災討伐を成し遂げたことで
重要参考人として招待状が届いていた。
晨弥自身断る理由もないため参加することにしたのだが
それ以外は晨弥も良くわかっていないうちにポンポンと決まっていき
会議は11月5日から始まるが
晨弥の診断もあることから11月3日には聖都に到着したい
これだけは理解できた。
、、、、
10月29日 聖都に向けて出発
アルゼディア国王、ヴァーロット、アンス魔導士団長、晨弥そして王国兵士数名
国王がいるにも関わらず
10名いるかいないか程度しかいないことに
兵士少なくね?
と心配になる晨弥だがそれ以上の心配事が
これ、会議が始まる時間までに間に合うの?
であった。
晨弥もどの国がどこにあるのかはある程度把握している。
それゆえに
このまま行ったら絶対間に合わなくね?
というか知らせが届いた時点ですぐ出発しても間に合わなくね?
間に合わないことを理解していた。
アメリカ横断を馬車の一団が1週間無い期間でしようとしているようなものであった。
実際にはそれよりも遠いのだが
「これ間に合うんですか?」
不安になって問いかける。
「大丈夫ですよ。馬車で実際に聖都まで行くわけではありませんから」
「?????」
余計に困惑する晨弥だが
言っているのがヴァーロットであることから
これ以上聞くのをやめる。
、、、、
それから数日
モンスターの襲撃はさほどないのと
メンバーがメンバーなので難なく対処し
11月2日
メイデン領に到着していた。
到着して早々ではあるが
一行は今代のメイデン領領主の案内のもと
とある石碑?のようなものの前に来ていた。
「ここからは私の仕事ですな」
石碑の前に立ったヴァーロットは息を整えると
詠唱を開始した。
「私は旅人
星の未来を祈るもの
星の繁栄を願うもの
御神と私に距があろうと
御神と私に隔があろうと
御神の産霊を学びて歩む。
歩んだ道を忘れ
歩むべき道を見失いしものに
道を指し示すことのできない
未熟な私の魂に光の導きを
聖橋
」
聖橋
神聖魔法の一つ。
教えが書かれている石碑に詠唱をすることで
石碑を聖都への門へと変える魔法
石碑と詠唱、信徒であること
この三つの条件を必要とする儀式魔法であり、
疑似的な空間転移を可能とする。
詠唱が終わると同時に石碑が光だし
ミノウスの迷宮を脱出するときより
大きくきれいな光の輪が形成される。
あん時見たのがこれの簡易版とかそんなんだろうな
てことはこの先が聖都、、、?
晨弥が考察する。
「では行きましょうか。」
そう言うとヴァーロットが
その次にアンス、国王の順に
どんどんと光の中へはいっていく。
晨弥も続いて入った光の先には
大きな城、、、ではもちろんないのだが
聖堂とも少し違い
見た目は宮殿に近い建物があった。
あ、ここ聖都だ
晨弥は空間に満ちている神聖魔法の魔力の残滓
という表現であっているのかわからないものの
晨弥は感じ取っていた。
「どういたしますか?このまま宮殿へ入りますか?」
「うむ。その方が良いだろうが、、、何かある者は?」
ヴァーロットの問いにアルゼディア国王が答える。
他の者たちからも特になかったため
そのまま宮殿入りすることになった。
晨弥たちが入った光の輪の先は
宮殿を囲むようにある宮苑であり
晨弥たちの到着した時点で聖都側から迎えを送っており
宮殿内に入る前に合流
そのまま今回の会議期間中に
ミルティコア王国に割り当てられている部屋に案内される。
「晨弥君は体調大丈夫かい?」
「へ?」
なんだ?藪から棒に?
「魔眼のこともそうだけど、ここに来るのは初めてでしょう?それに晨弥君は神聖属性じゃなくて深淵属性だからこの神聖魔法の満ちたこの空間に慣れるまで違和感感じると思うだけど、、、?」
「ああ、だからなんか変なのか」
晨弥自身、体に異変が生じているような気がしてはいたのだが
どこがおかしいのかわからない
どう違和感が生じているのかわからない
それをかすかに感じる程度であったため
気のせいなのか自分でも判断に困っていたため
違和感の正体がわかり安堵する。
安堵したところで晨弥は疑問を投げかける。
「魔法使うんだったら王城ですればよかったんじゃ、、、?」
「効率などを考えればそうなのですがね?聖都はどこかの国の味方ではなく、この世界の味方なのですよ。ですから王城に設置などをしてしまえば国への肩入れととられてしまう可能性もありますし、すべての国の王城に設置したとしても、世界の味方なのにもかかわらず王国の味方とも取れてしまうからね。」
「大変ですね、、、いろいろと」
宗教やらそれ関連は僕もよお分からん。
当たり障りのないことしか言えんのよ。
その後は特になく
明日晨弥の診察をしてもらう約束を取り付けて終了
、、、、
11月3日
晨弥たちは割り当てられた部屋で食事をとった後
国王と別れた晨弥は
ヴァーロットに連れられ
診察室?診察所?で診察を受けていた。
「じゃ、みていきますね。」
「お願いします。」
医者?はまず晨弥の目を確認する。
「おお!これが未来視の魔眼なのですね!」
魔眼の紋様をみて少々興奮気味になる。
「え、、、、っと?」
「あ!これは申し訳ありません。未来視持ちが現れたと聞いてからというものこの目で見てみたいと思っていたもので、、、それにしても、、、魔眼覚醒しました?」
「あー、、多分嵐の厄災と戦っている最中に?」
「なるほどぉ、、そして解析鑑定の魔眼も、、、覚醒していますね。、、、はい、魔眼の確認できました。では、次に脳に神聖魔法をかけますが大丈夫ですか?」
「はい、、大丈夫です。」
「では」
医者は脳に神聖魔法をかける。
かけている魔法は魔眼所持者が良く陥る状態を
確認するために作られた魔法
魔眼は使いすぎると脳に来る。
これは未来視の魔眼であろうとなかろうと関係ない。
未来視が脳に着やすい魔眼の一種であることに間違いはないのだが。
脳に来るといってもいくつかの種類がある。
脳の処理が追いつかない量の情報が流れ込んできたり
体に指令が行かず麻痺したり
寝たきりになったり
眠れなくなったり
様々ある。
「!魔眼使わないでください!」
ビクッ
魔法を使って少し
急な大声にびっくりする。
「!」
「一つ聞きたいのですが、厄災と戦っている最中、無意識のうちに魔眼使いましたか?」
「、、、あ~、、、確かに無意識で必要な未来が見えていたような?」
「脳の処理が追い付いていない量の情報をため込んでいます。無意識のうちに未来を見た結果、晨弥さん自身すら認識していないほど先の未来まで見てしまっていた。おそらくそれが最近ぼーっとして反応しないということが起こった。それでも国王様たちに反応していたのは、おそらく晨弥さん自身が無意識につけた優先度に依存しているからだと思います。そして夢の中で知らない人たちに詰められたと言っていましたが、、、厄災討伐後、責められた方が楽だと思ったりしました?」
「あ~、、、しま、、、、した。」
「それが原因ですね。自分の心を保つために処理しきれていない未来からそれに近い未来を脳が見せたというのが答えかと。」
「なる、、、ほど。」
「ということで晨弥さん。魔眼は使わないでください。最低でも、、、そうですね、、、半年。半年たったらもう一度見たほうがよさそうですね。それまでは未来視も解析鑑定も禁止したほうが良いかと思います。」
解析鑑定とばっちり
「もともと脳が未来視に適したものになっているので、魔眼さえ使わなければ何ら問題ないですので、そこは心配なさらなくて結構です。」
という診察結果を言い渡されるのであった。
、、、、
「ということで魔眼使えなくなりました。」
全員がそんな気がした
という顔をする。
「まぁ、なんというか、晨弥さんは魔眼なくても強いですし、、、問題ないでしょう。」
「そう気にすることはない。」
なぞに励まされるが、
「ま、そうっすよね~」
特段気にしていなかった。
もともと未来視に依存した戦い方をしていなかったのと
魔眼には相応のデメリットがある前提ではいたこともあり
さほど、、、といったところではあった。
ただ
それはそれとして不便ではあると感じており
こういう時に限ってつかえたらなってこと起こるんだよなあ、、、
面倒ごとが起きそうな未来に嫌気がさしていた。
その後は特になく
強いて言うならば
国王が到着している他の国の王に呼ばれ
部屋を開けるくらいであった。
、、、、
11月4日
この日は明日から会議ということで
まだ到着していない国の到着やらで
バタバタとすることが容易に予想ができたため
部屋に引きこもっている予定だったのだが
帝国に呼ばれ、別の部屋に通されていた。
帝国ってあれでしょ?皇帝が異世界人っていう国でしょ?
あとモリディさんの知り合いだか友達だかがいるっていう
ガチャッ
あ!きた。
反射でたっちゃったけど、、、まあ皇帝様だからね
失礼にはならんでしょ。
「失礼します。」
入ってきたのは皇帝ではなく
おつきの人?と思われる男だった。
「はじめ、、、まして?」
「はじめまして。皇帝陛下の付き人をしています、メートと申します。もとの名前は泰清なんですけどね。」
「、、、、ん?」
んんんんん?
なんつったこの人、今
「お察しの通り、異世界人です。僕は転生者なんですけどね。」
んんんんん?展開が早すぎてちょっと困ったぞ
「転生者の方?」
「はい。転生者です。」
「マジか~、、、」
・・・
元の年齢が近いこともあり
話が合い、かなり仲良くなれた。
と晨弥が思い始めたころ
今更だけどいつからいた?この人ら
いつの間にか話に参加していた
皇帝と九世に困惑の表情を浮かべる。
というか帝国の魔女ってダークエルフなんだ初めて知った。
褐色のお姉さんっていいよね。
まあいいや
思うことはいろいろとあったが
気にしないことにした。
「つー訳でよお、こいつが青い鳥(直訳)歌っててよお、もともと歌うたってる奴がいるってのは知っていたんだが、、、まさか本当に俺以外の転生者がいるとは思わなかった。」
この泰清ってひと、肝座りすぎでは?
「魔眼あるんだからそれ関連でそのうちわかりそうなもんだけど。」
「いやあ、、、それが、、、こっちの世界の親が、、、、、ね?」
「あっ、、、、、だから歌ったのか。」
「そ。同郷が近くにいるかもしれないし、そのうち噂が広まって遠くにいる同郷の耳に入ると思っていたんだけど、なんか思ったより近くに立場も高い同郷の奴がいた。」
なんというか、、、
「大変だね。みんな」
「「いまさらだね。」」
「にしても転生かあ、、、記憶ってどうなってんの?ずっとあるの?少しずつ戻ってくるの?」
「あ~、、、どうだったかなあ、、、少しずつ戻ってきたような気もするし」
「もともとあった記憶を理解できるようになっていった気もするよな。」
「なにせだいぶ前のことなもんで」
「俺たちもよく覚えてねえんだわ。」
「なんかちょっと怖いなそれ」
「んなこまかいことはどうでもいいんだ。」
んなわけあるか
「晨弥、お前も元の世界に戻る方法探しているのか」
「もってことは、、、皇帝も?」
「だから皇帝ってこういうところで呼ぶ、、、まあいいや。歴史に色濃く名を残した最初の異世界人は初代九世の一人、つまり1万年前だ。それだけの時間が経過しているのにいまだに帰還方法がわかっていない。」
「そーなんだよなあ、、、、、。実力が必要って場合でも九世にまでたどり着いた異世界人は何人かいたし、、、九世だから最強ってわけでもなさそうだけど一つの指標になるから実力が足りないってことはない気がするんだけど。」
「そうね。私の兄も転生者で九世やって言ったわよ?」
「それだけじゃねえんだなこれが。ダークエルフ最強の戦士って呼ばれてんだ。」
「実力不足ではなさそうだね。」
「でも兄は別に戻りたいとは言ってなかったわよ?どちらかといえば、「?俺の元居た世界?しょーもねーぞ?」って言っていたわよ?」
「でも何かは知っていそうだよね。」
「何か知っているって話なら、もう一度会いたい人というか、会ってみたい人たち?がいるんだよね。多分、、、いや、絶対なんかしってる。」
「断言できるだけのことがあったのか?」
「嵐の厄災と戦っているときに僕の体を再生させた人がいる。そん時に謝罪された気がする。」
「あの神聖魔法はあなたがやったわけじゃなかったの?」
「え?」
「私、モリディと向かったのよね。」
「え?」
「その時、確かに神聖魔法それも私ですら失らないレベルに洗練されたものを感知したわよ。」
「あ、いたんすね。モリディさんもいたんだ。元気してます?」
「してるわよ。討伐しているところも見ていたけど、、モリディうれしそうにしていたわよ。」
「なら手伝ってほしかったスねえ~」
「英雄へ至る試練、、、みたいなものなの。悪意で助けなかったわけじゃないのよ。」
「別に僕は英雄じゃないですけどね。」
「謙遜が上手ね。」
「いや、まて!二人で会話を続けるな!何者なんだ?その神聖魔法を扱うやつは?」
「まったくわからん。長髪の女性みたいな見た目だったような?」
「長髪の女性?、、、、聖都が崇めている神って、、、」
「ええ。長髪の女性の見た目しているわね。オリヴィアって名前の神様ね。」
「アメリカ行けば会えそうな名前だな。」
「確かに」
「ってことは、、、だ。神にあったのか?」
「神って印象受けなかったけど、、、、」
「モリディでさえもあの神聖魔法に困惑していたのよ?そのレベルの神聖魔法を扱える存在なんてわざわざ数える必要がないのよ?」
「なおさらもう一度会う必要がありそうですね。」
「だがどうやって?」
「厄災を討伐していけばまた会える気がするんすけどね。確証はないですけど。」
「なら、今後復活するであろう厄災を討伐すればいいからそこは楽だな。」
この後は元の世界とのギャップや
元の世界ではどんな生活をしていたのかなどを話し、
お開きとなった。
、、、、
11月5日
「アンスさんたちは出れないんですね。」
「そう。ここから先はこの世界の権力者たちしかいない。が、そこまで緊張することないよ。晨弥君も厄災を単独で討伐しているんだから。その時点で権力者たちの中に片足突っこんでいる状態だ。」
「あ~、、、おなかが痛くなってきた。」




