ひと時の平和であろうとも
帝国方面から
晨弥の厄災討伐を見ていた者たちがいた。
「モリディ、、あの子すごいわね、、、」
「ああ、、、まさか、、、壁を越えるとは、、、」
嵐の厄災の復活に気付いたモリディは
古くからの友であり
現在の九世の一人である帝国の魔女モーリンとともに
王都近郊まで急行してくれていた。
「モリディ?楽しそうね?」
「目をかけている者が育つのはいつもうれしいものだ。」
「、、、、私も弟子をとろうかしら?」
「楽しいぞ?」
====
10月2日 昼
厄災を討伐した晨弥は
いまだに大岩の上で寝転がっていた。
「あ~」
丁度よい気温と涼しい風
晨弥が好きな気候ということもあり
動く気が起きずにいた。
「おーい!し ん やー!」
大岩の下から声が聞こえてくる
だいぶ前からバリアスの呼ぶ声が聞こえてはいるのだが無視を決め込んでいた。
「し!ん!や!」
「はい。晨弥です。」
さすがにうっとうしくなったのか
大岩を下りる。
「そんな飄々と、、、いやそうじゃなくて、、、、勝ったん、、、だよな?」
「消滅しましたからね。勝ったんじゃねえですかね?」
「そうだ!お前は大丈夫なのか?」
「?、、、、たぶん?」
「ちょっと見てもらえ」
晨弥のもとに来た一団の中に聖都の騎士たちを見つける。
何でいるんだ?常駐の騎士いたっけか?
などと考えながら診断?を受ける。
「体に異常はありませんね。」
「ありがとうございます。」
厄災の反応はないものの
なにが起こるかわからないこの場所に派遣されるだけあり
かなり優秀なようだ。
その後、聖都の研究員たちが現れ
現場検証のようなことを開始する。
晨弥やバリアスを含む王都の者たちは
検証を見守るとともに周辺の警戒を行う。
その中で晨弥はバリアスから王都の状況を教えてもらう。
王都周辺で戦闘が始まったこともありかなりの損害が発生しており
死傷者も存在しているようだった。
戦闘が始まった地点ですらその被害
晨弥の頭にはなかったが
厄災との戦闘で主戦場となった空の付近にはマーチス領が存在していた。
今回の戦いで一番被害を受けているであろうマーチス領
被害の確認が急がれていた。
そしてもう一つ
厄災を討伐した際に使った大岩
これは干渉魔法で作成されており、
どう処理するかの問題も発生していた。
「大岩は俺らでどうにかしておく。」
「助かります。ところで現場検証終わったらどうするんですか?マーチス領手薄なら僕行きますけど」
「元気だなお前」
晨弥が王城から消えたのが確認されたとき
厄災と戦っているのではないか?
という説が出ていたため
さっさと王城に連れて帰りたいと考えていたが
人手が足りないのも事実だった。
とはいえ
厄災の討伐に成功した王国の英雄を酷使していいものか
大きな被害を被っていると予想される場所に連れて行っていいものなのか
バリアスは元気な晨弥を見て
内心頭を抱える。
「どうしたもんか、、、、、」
そうこぼさずにはいられなかった。
、、、、
結局バリアスのつれられ王都へと帰還した晨弥
国王からは若干の小言を言われたものの
聖都から嵐の厄災の復活とその討伐の確認を正式に受けたことで
晨弥の正式な厄災を討伐した英雄であることも確定したため
小言そっちのけで大勢でやいのやいのすることになった。
その後は国王直々に纏晨弥が厄災を討伐し
王国を救った英雄であると
ミルティコアに住まう人々と
各国に対して聖都公認で公表することになった。
このすべてが終わったのは討伐してから1週間以上たった
10月10日のことであった。
その間に王国の貴族連中との夜会もあったようだが
求婚やらなんやらで女性に囲まれ
初めて参加した時と比べて
対応があまりにも違い過ぎたこともあり
貴族連中も大変だなあ
と心の中で思ったり
国王から豪邸が送られそうになったこともあったが
晨弥が
「ならこの国出ます。」
などと言い放ったことで
国王が慌てふためきながら
建設の中止を高らかに宣言しているのを見て
おもろ
などと楽しめるひと時もあった。
もちろん楽しめることばかりではない
王都へと帰還した晨弥が一番最初に見たのは
大木が突き刺さった家々であった。
明け方だったことと外は嵐であったこともあり
多くの人々は家の中に居た。
なかには運悪く
大木によってけがを負った人々
だけでなく
死者すらも出ていた。
それでも
人々は晨弥を責めなかった。
良く討伐してくれたと
賞賛の声をかけてくる。
それが晨弥の心にはきつかった。
10月13日
晨弥は国王とその護衛たちとともにマーチス領に来ていた。
マーチス領の被害はかなりひどく
討伐から2週間が経とうとしている現在でも
半壊しているといっても過言ではないほどの被害だった。
そんな街を見て
そして
そんな街の状態であるにもかかわらず
ねぎらいをかける人々に
言葉に詰まる晨弥
それを見た国王が
「きみが傷つくことはない。それを背負うために国王がいるのだから。」
声をかける。
その後
晨弥はマーチス領に残り復旧作業に従事しつつ
モンスターの襲撃に対応する日々を送ることになる。
厄災と晨弥が放出した魔力の影響で
凶暴化したモンスターの襲撃などがあったが
特に問題はなかった。
人々と会話を重ねることでメンタルもある程度戻ったころ
マーチス領に再び国王が来たのだが、
国王だけでなく晨弥が見たことのない人々を連れてきていた。
「おお!晨弥君。元気になったようで良かった。」
「お久しぶりです。どうかしましたか?」
「私が、、いや私もか?そこはいいのだが、君にお客さんだ。」
「僕に?」
後ろにいる人たちかな?特に前の二人、馬鹿みたいに強いのは分かるんだけど。
だれなんだかわからん。でも片方は聖都の騎士団の戦闘装備、、、だよな?
もしかして聖都の騎士団長様か?確か九世だよな?
てことはもう片方も九世?
「っと、、、初めまして、、、、晨弥と申します。」
「申し訳ない。客である我々から挨拶すべきだったな。初めまして、私は聖都の星代騎士団団長をしているモラレドというよろしく。」
騎士団長が女性だとは聞いていたけど、、、マジなんだ、、、
歴代最強だったりしねえだろうな?なんかそんな気がする。確証はないけど
「僕は君と同じ王級冒険者のツェルクだ。よろしくね。」
ン?同じ?同じってなんだ?
「?同じ?」
「そうだよ?厄災を討伐した君はそれまでの階級がどこであろうとも王級になるよ?」
なるほどね?だからモリディさんとかが王級は概念って言ってたのか。納得
「もられど、、、さん?も九世でしたよね?そんな人たちが僕にどういったご用件で?」
「そんなに警戒しないでほしい。謝罪と感謝を述べに来ただけなんだ。」
「本来ならば僕たちがやらなければいけない仕事なんだけど、、、それをきみに押し付ける形になってしまったこと。そしてこれから先復活するであろう厄災たちに対してともに戦える者が現れてくれたこと。本当にありがとう。」
「星代騎士団としても心からの感謝を」
「それをわざわざ、、、、言いに?」
「「もちろん」」
「あ、ありがとうございます、、、?」
この返しが正しいのかわからないけど、、、まあいいや。気にしたら負け。
「今後、会うことも増えるだろう。その時はよろしく頼む。」
「じゃ!」
行っちゃった、、、、
何だったのかいまいちよくわからんかったな。
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マーチス領から離れた騎士団とツェルクたち
「ツェルクみたんだろ?彼のこころ」
「みたよ。なんか、、、なんというか、、、」
「なんだ?なにかった?」
「そういうわけじゃなくて、、、、ね?」
「なんなんだよ」
彼、モラレド歴代最強説提唱してたけど、、、ある意味正解ではあるんだよなあ、、、、、
「ふっ」
「なんで笑ってるの?怖いわよ?」
「いや、、、いい子だったよ?それは間違いない。感謝を言った時、彼の心にはあの領に住んでいる人のことを考えていたよ。心を読んだことを謝罪したいくらいだ。」
「そうか、、、じゃあ」
「彼は信用できる。」
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10月22日
晨弥が王都に戻ったころ
晨弥は王城内にある展望台のような場所で
何かを考えるわけでもなく
ただただぼーっとしていた。
「しんやにい?」
ウィルが呼びかけるが
反応がない
「しんやにい?」
「おぁっ、、、ん?」
「何してるのさ?」
「あー、、、平和を享受していた?」
「何言っているのさ」
「なんか用だった?」
「あ!そうだった。帝国から使者が来てね?しんやにいに会いたいって」
「まじ?」
「まじです。」
「しゃあない、行くか」
なぜウィルが呼びに来たのかはよく分からなかったが
ウィルに連れられ帝国の使者と面会
とくに当たり障りのない
厄災討伐後からさんざん聞いてきた言葉をかけられる。
「皇帝陛下もあなたにお会いできる日を心待ちにしているとおっしゃっておりました。」
もその流れで聞き飛ばしそうになるが
皇帝が異世界人であることを思い出し
これは本当かも?などと考えたりしていた。
、、、、
なぜウィルが呼びに来たのか
それは王族とアンス、バリアス、ヴァーロットの呼びかけにしか答えないからであった。
マーチス領から王都に戻った晨弥は一日のほとんどを何もせず
空を眺めぼーっとしていた。
溜まっていた疲れが出たからであり、
それでも
大事には対応できるように
上層の人間の声には反応できている。
皆が最初は思っていたのだが
時間が経つにつれ不安が高まっていった。
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ねえ!なんで、、、なんでお父さんをみすてたの!なんで!!なんで!
見知らぬ少女が目の前で泣いていた。
え?き、、君は、、、?
状況を把握できず言葉が詰まる。
あなたがあの時街に来ていてくれさえすれば私の夫は死なずに済んだ
街?街に行くかどうかの択を強いられたことなんて、、、
ねえ?なんで?なんで私のぱぱはしんだの?あなたが私の夫を見殺しにした。てめえ!どの面下げてきやがった!今さら来たところで俺の妻は生き返りはしねえんだよ!
な、、、何の話、、、を、、
しらばっくれるなクソ野郎!お前が殺したんだ!おまえがみごろしにしたんだろ!あとちょっと早く来てくれればママは死ななかった。わたしの夫が見捨てられた納得のいく理由を教えてください!大勢を見殺しにしたくせに何のうのうと生きていられるんだよ!ぱぱぁ、、、、ままぁ、、、どこぉ?小さい子からも親を奪ったごみクズ!どんだけ謝ろうが許す気はねえ!ねええ!ぱぱは?!パパはどこなの!?パパアぁぁぁぁママぁぁぁぁぁぁ!
・・・
おまえがあなたがてめえがおまえがおまえがお前がお前がおまえがあんたがてめえがあんたがおまえがあんたがあなたがおまえがあなたがてめえがおまえがおまえがお前がお前がおまえがあんたがてめえがあんたがおまえがあんたがあなたがおまえがあなたがてめえがおまえがおまえがお前がお前がおまえがあんたがてめえがあんたがおまえがあんたがあなたがおまえがあなたがてめえがおまえがおまえがお前がお前がおまえがあんたがてめえがあんたがおまえがあんたがあなたが
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人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し
・・・
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ガバッ!
「っっっっっっっっっっ!っはあ、、、、はあ、、、、はあ、、、、、ゆめ、、、?」
肩で呼吸をし
体は大汗をかき
気持ち悪い
そんな感覚に襲われているとき
「大丈夫?しんやにい」
その声に反応しあたりを見渡すと
周りには
ウィル、サラ、アルゼディア、ミレイ、アンスにバリアス、ヴァーロットと
王国上層そして晨弥が反応で来た声の持ち主たちがいた。
光を放つ両魔眼
魔眼が放つその光は心なしか
恐怖を押し付けてくるような
そんなひかりに見えていた。
平和を平穏を許さないのは
未来視か
それとも晨弥自身の問題なのか
その両方か
あるいは、、、、、、、
それ以外の何かか
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足音の主が人々の前に現れたこの世界で急がれるのは団結
団結の旗を掲げるため各国の王たちと
人々の希望たる九世が
命を未来に紡ぐため
集結する。
これにて「厄災の足音編」は終了です。
次回からは「生と死の都編」です。
この先の書き溜めがないため、ここから本当に毎日投稿じゃなくなりますが
今後ともよろしくお願いします。




