表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
界の渡り人  作者: ホトトトギス
厄災の足音
35/91

人災ー2

あれから数時間、一行はまだ森の中に居た。

 荷車の場所が森の奥だったことと

 ケイネスのペースを考える必要があるため

 森を抜けるのに時間がかかっていた。


 それでも熊の縄張りからは離脱できていたため

 休息をとっていたのだが


ドゴオオオオン!


 遠くで轟音が鳴り響く


「!どこからだ!」


「、、、この方角、、、熊のテリトリーじゃ、、、」


「、、、、この感じは、、、まずくないか、、、?」


「晨弥どうだ」


「、、、、、、、、、一匹、、、すごい速度でこっちに来てます。」


「、、、戦うにしてもここじゃまずいだろ。」


「ゴルドル、戦いやすい場所は近くにあるか?」


「少しそれた位置ではありますが、、、あります。」


「そこまでの案内を頼む」


 ゴルドルを先頭に戦闘になった場合に備えて場所を移している最中


「晨弥、まだ追ってきて、、、いるな、、、、」


「間違いなく僕たち狙いですね。でもなんでですかね?テリトリーに入ったやつを片っ端から殺しにかかるんですかね?というか、距離離れているはずなのになんでこんな追尾できているんだ?」


「まさかとは思うが、、、あの場から誰か何か持ってきてないだろうな?」


「そんなわけ「あ、僕たちが遺族に届けようと思って遺体の一部を回収してきました。」は?」


「はあ?!」


「それだ、、、、」


「?なんでです?できることなら遺体は遺族に返すべきでしょう?」


「この世界の熊って自分の物取られても取り返しに来ないんですか?」


僕が調べた感じそこは科学世界と同じはずだったけど。


「取り返しに来ますね。」


「とりあえず、その遺体だせ」


「え?っとこれです。」


 遺体を取り出す。


「魔力は、、、感じませんよね?」


「ということは、尿か何かをかけて、それを自分の魔力で探知している可能性が高いな。」


「アーベスってそんなことできませんよね?嗅覚が発達しているとはいえ、、、」


「あぁ。そしてあの縄張り内にあった爪痕の大きさ、、、、、明らかに普通じゃない」


「変異種なのは間違いなさそうですね。」


「アーベスには自分の餌を奪った犯人を嗅覚だけでミルティコア近辺まで追っていった事例があるが、、、この速度は明らかに異常だ。」


「まあ伯爵級はありそうだわなぁ。」


「なんで伯爵級の試験受けにきて別件で伯爵級と戦わなければいけないんでしょうねえ?」


「お前もついてないな!」


「うるさい版権だな~」


「おお、やめろやめろ」


 迎え撃つ地点に到着


「一旦、、、、持ってきやがった遺体、、、ブン投げ返してみます?」


「無駄だろうな。」


「ですよね。」


「なんてこと言うんですか!これは遺族のものですよ!先ほども遺体を熊が取り返しに来るって言ってましたけどこれは熊の物ではありません!」


「、、、、」


アホすぎてなんていえばいいのかわかんねえよ。

この顔は本気で言ってるんだからどうしようもないよな。


「え、、、っとね?それはヒトカス様の都合と申しますか、、、ねえ?今こっちに全速力で向かってきてらっしゃる熊さんに”これは遺族の物なんです!勘弁してください!”って土下座したところでしぬだけなんすよ。」


「でも!俺たちは冒険者じゃないですか!あなた方は、、、強いんでしょう?!だったらできるだけのことをするべきじゃないですか!」


「綺麗ごとをほざくのは勝手にしてもらって構わないけど、それを俺たちに押し付けるなよ。そもそもこうなったのはお前たちが依頼主を守るという義務を放棄したくせに、自分たちの安全が保障されてからあーだこーだとそれっぽい理由付けをして面倒ごと増やしやがって」


「あなた方は強いんですから、弱者を救うのは義務でしょう!そしてそこの方が言っていたことが本当なら熊は伯爵級なのでしょう!だったら俺たちがどうやったって勝てないんだから無駄死にせずに遺族に遺品を届けることができるんじゃないですか!」


「そもそもお前たちが出会った時点では伯爵級かどうかわからなかったのに依頼主という戦う術を身に着けていない弱者を見捨てて保身に舵を切ったお前たちに弱者を救うのが義務だとか言う資格はない。無駄死にせずに遺族に遺品をというが、熊が飯をとられたのに気が付くのが遅かったら、遺体は遺族に届けられ標的が遺族になるところだった。そうなった場合ネルゲスに住まう人々の多くが亡くなることになっていた可能性すらある。それについては、、、今はいいや。来るから」


「では私がタンクで」


「俺と晨弥がアタッカーか」


「救助者のお守りをしようか。」


「一応アスドラは下げておいた方がいいかもしれません。」


「?よくわからんがそうしよう。」


胸から背中にかけた白い線、袈裟懸みたいな模様。

たしか、、、北海道だかの熊害事件があったはず。

犬がどうしたこうしたって話があったかは覚えてないけど

別件でペットを狙った熊害事件があったはずだから念には念をね。


 わずか数秒後


グルォォォォォォ!!!


 木々をなぎ倒しながら巨体が晨弥達をめがけて突進しながら姿を現す


「うおおおおおお!」


 ゴルドルが前に飛び出し二つの大楯を構え突進に真っ向から迎え撃つ


ドオン!

 

 激しい音を立てながらゴルドルが突進を受け止めきる。

 その瞬間


「「風の太刀」」


 晨弥とクラウドが熊の両脇から攻撃を入れる

 が


「固ってえなあ!」


「クッソ、、、、」


普段使ってる刀と重心が違う。

こういう時に半人前の俺にはこの差がでかすぎる。

それはそれとして


「筋肉の塊が!」


 現れたのは予想通りアーベスであった。

 しかしその大きさは前例がないほどに大きな体格をしていた。


「アーベスの変異種だな」


 全員が役割をこなしながら全員の認識を一致させる。

 

 アーベスは目の前の三人からモリディたちの方へと狙いを変え突進する

 しかしモリディは突進してきた巨体を吹き飛ばす


「へ?」


「まじかよ、、、」


どうやったんだ?重力魔法の応用か?


 アーベスは考える時間も与えないというように立ちあがると 

 飛び上がり大腕を振りかざし

 着地と同時に振り下ろす。


ズドォォォン!


 さすがのゴルドルも回避を選択する。

 土煙が戦場にアーベスを隠すように舞い上がる


「俺かよ」

 

 感知していた晨弥がアーベスが自分の方向に動き出すのを感知する。


 感知通りアーベスが晨弥を狙う。

 腕を交互に振るう。


「そのホーミングひっかきは別モンスでもっとひどいの経験してきたもんでねえ!」


 絶妙な当たらない距離をとってかわし続ける。

 晨弥の回避に合わせて

 モリディがアーベスの顎に向けて土の柱を射出し命中する。

 

 アーベスが背を地につけた瞬間


ズドン!


 晨弥が即席で出せる最大の火球を腹にぶつける。


「効いてはいるんだけどなあ、、、、」


「体力も多いし防御も高いし自己治癒能力も高い、、、炎上案件だろ!」


「運営はナーフしろ!」


 異世界人たちが文句を垂れる。 


「あの人たちは何を言ってるんです?」


「気にするな。異世界人にはよくあることだ。」


 ケイネスのメンバーが目で追えない速度での戦闘の中で

 晨弥とクラウドの会話について話すモリディとゴルドル


 そんな二人を尻目に晨弥とクラウド

 二人の異世界人の呼吸が合い始める。


 そして


 異世界人たちが暴れ始める。


、、、、


 文句を垂れながらも

 晨弥とクラウドがアーベスを相手に高速戦闘を展開していく

 二人の回避力と戦闘の速さを考慮し、

 ゴルドルは前線から下がり、モリディと戦闘位置の中間を立ち回る。


ドッ


    ガッ


  ズドッ


         


             ガン!

          ドガッ


       ガン!


 高速で動きながらも被弾せずに攻撃し続ける。


グオオオオオオオ!!


 攻撃が当たらず、怒りがたまったのか

 咆哮をあげるアーベス


「なんで咆哮に風魔法だかがのってんだよ!咆哮でダメ入るとかどこのレックスだよ!」


「高級耳栓が欲しくなるなあ!」


「おい!版権がそれ言うと色々とまずいだろうが!」


 アーベスの攻撃を捌きながら

 軽口を叩きあう二人にゴルドルが声をかける


「お二方、行けそうですか?」


「まあ、時間の問題かと」


「第2形態あるかもよ?」


「ラスボスじゃねえんだから、、、、ないよね?」


「いやあ、、、すでに実質第2形態なんゃね?」


 アーベスは怒りの咆哮をあげてから 

 身に風魔法を纏っていた


「咆哮後にって、、、、本当に、、、、なんか知ってるんだよなぁ、、、、」


「救難信号日本に向けてうっといたわ」


「ナイ、、、ス?、、、、それもしかして去年もうった?」


「いつもうってるに決まってんだろ!」


「俺がこっちきた理由それじゃねんだろうなあ!」


「日本人入れば狩り楽だろうがよ!」


「狩りって言っちゃったよこの人」


 一通りの言い合いに満足したのか

 まじめな話を始める二人


「右腕の振りのほうが風魔法長く届きますね。」


「そんで左が短い分、密度濃い感じか。」


「魔力の比率的にも密度的にも右腕から崩したほうが良さげですね。」


「いっちょまえに雑な広範囲攻撃をする方と接近戦用の手と分けてんの腹立つな。」


「しかも俺たちの攻撃が接近多めだったせいで接近の方が比率多めになってるんすよねえ、、、」


、、、、


「モリディ殿、、、、なぜか急に分析のすり合わせ始めたのですが、、、」


「異世界人は私もよくわからん、、、」


、、、、


「ゴルドルさ~ん!左腕止めてくださ~い!」


 異世界人たちはすり合わせを終えると

 ゴルドルに話を振る


「了解しました。タイミングなどは?」


「俺が右腕の振りを誘発させたタイミングで突っこんで止めてくれ、そしたら晨弥が一発かます、、と」


「じゃ、俺ため始めますね」


「おう」


 討伐の手順は決まった。

 そう思ったのだが


「は?」


「これは少々面倒なことになりそうですね」


「晨弥!第2形態あったぞ!」


「見りゃわかるわ!そんなもん!」


 アーベスの背にはお世辞にもきれいだとは言い難い翼が生えていた。


「隠してやがったな」


「お利口な熊さんだなほんと。でもまあ正直あのままだったら伯爵級の威厳なかったし、、、」


「それもそうだな」


「俺飛べますけど、、、、どうします?別に飛ぶほどじゃない気がしますけど」


 アーベスが空から狙っているが

 ここにいる冒険者はみな、

 伯爵級以上の実力を持つ者たちであったため

 焦りはなかった。


グオオオオオオ!!


 風魔法の乗った咆哮


「月鏡 鏡映」


 難なく風魔法を無効化する。

 と同時に


ズドオオオオオオン!


 クラウドが砲撃といっていいほどの斬撃を放つ


「本当に面倒な耐久してるな」


グオオオオオオ!!


 再び咆哮をあげるアーベス

 先ほどとは違い風魔法は飛んでこない

 その代わりと言っていいのかわからないが

 アーベスを中心に巨大な竜巻を発生させていた。

 

 月魔法を準備していた晨弥は瞬時に火魔法に切り替え

 竜巻に向けて炎を出し続ける


 解析鑑定の魔眼と異世界人特有の膨大な魔力の暴力により

 炎の竜巻に変え

 中心にいたアーベスを焼く


 炎の竜巻は少しずつ弱くなっていき

 中からそれでもなお倒れないアーベスが姿を現す

 

 と同時にクラウドが再び斬撃を放つ


ズウウン


 この一撃によりアーベス沈黙


 念には念を と

 脳と心臓を念のため撃ち抜き

 ようやく決着


「攻撃性というよりは耐久力方面がすごかったですね。」


「相手が竜巻の中に居る。よし、竜巻ごと燃やそうって判断したお前もすごいけどな?良くも悪くも」


「それはまぁ、、、、燃やすでしょ?」


「日本人さては蛮族?」


「ほおん?」


「、、、、俺が悪かったからその顔やめろ、、、やめてください。こわいから」


「何はともあれ良かったのでは?」


「まあこれでネルゲスに熊が行くことはないか。」


「そうですね。一旦これでどうにかこうにか。」


「ただもう腹の中の物はもう溶けているか。」


「時間たちすぎてますからね。骨くらいは出てくるかもしれませんけど」


「んでえ、、、どうなっているんだい?」


 晨弥、クラウド、ゴルドルの目線の先には

 めんどくさそうな顔をしたモリディと

 モリディの結界のようなものの中で騒ぐケイネスの姿があった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ