短い時間でも濃いときってあるよね
いやぁ、ひどい目にあった。
他人の目の前で戻すことになるし、解析鑑定の魔眼の得意が物理で物理と言ったって色々あるわけで、聞いても
「それは本人の性格などが反映されるからそれ以上はわからない」
なんていわれるし、未来視の魔眼に至っては
「身体と完全に定着していない」
だかなんだか。その話は頭がまだクラついていたころに聞こえてきたものだからいまいち聞き取れなかったし。会話の前後が聞き取れなかったせいでもしかしたら大事なこと言っていたかもしれない。まぁ、念のため後で聞けばいいか。というか定着だのなんだのって写〇眼かな?
それはそうとして
そもそも異世界転移?を呑み込めていない。そりゃぁ漫画読んだりアニメ見たりしていたとも。でもあれって結局創作のものフィクションであるから面白かったりするわけで。経験してみたいと思ったことがないと言ったらうそになるけど。アニメやら漫画を見て経験してみたいと思わないほうが無理な話だと声を大にして言いたい。僕は見る専なのである。正直家に帰りたい。かえってゲームがしたい。アニメが見たい。漫画が読みたい。帰省予定だったから実家でのんびりする予定だったのになぁ。だからこそ帰りたいがゆえに聞けていない。そう、帰還の魔法の存在の有無である。無いなんていわれた日には、、、どうしようね?考えたくもない。
「異世界だヒャッホウ!」
だなんて本当にフィクション以外ごめん被る。間違いなく人生で最悪な日は今日である。
ちなみに今までで最悪な日に認定していた日は覚えていない。だとしても今日で更新されたのは間違いない。覚えていない時点でその程度だからね。
とかなんとか言っているうちにヴァーロットさんの部屋をでて、王城の地下までやってきた。ここで魔力の制御訓練を行うんだそう。
アンスさん曰く
「魔力の制御は人によって制御するイメージが違うから一概に「こう」とは言えないけど、全身の魔力を感じること。たぶん誰に聞いてもこんな答えが返ってくると思うけど、これが一番大切なことだからね。」
とのこと。
アンスさんはこれから仕事があるらしく、そそくさと出て行ってしまった。そこでここから僕の相手をしてくれるのがヴァーロットさん。さっきがさっきだったこともあり、かなり気が引けている状態だが、ヴァーロットさん曰く
「大体あんな風になる。」
とのこと。
良かったというべきかなんというべきか。彼自身気にしていないようなので僕も気にしないことにした。
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魔力制御の枷を外し、自身での制御訓練を始めてからどれくらいが立っただろうか?どうにかこうにか形になり始めた。ちなみに魔力が暴走したら危ないため、結界の中で訓練を行っている。もちろん何度も暴走した。止めるためのマジックアイテム?みたいなものを使って何度も止めてくれたヴァーロットさんには感謝してもしきれない。この人がいなかったら何度も死んでいた、とは言わずとも何度も死にかけていたのは間違いない。
「どうですかね?ヴァーロットさん?」
「だいぶかたちになりましたね晨弥さん。」
この時間でヴァーロットさんとはかなり親交を深めることができた。まぁ僕に話せる余裕ができたのは、ここ一時間の間ぐらいだけど。
「今日は、ここらで終わりにしておきませんか?もうあなたも休んだほうがいい。数時間やり続けていますからね。」
「あれ?そんなにやっていましたか?」
「えぇ、始めたのが午後2時ごろで今夜中の10時です。」
「そんなに時間がたっていたのか。、、、長い時間付き合わせてしまい申し訳ありません。」
「いいんですよ。私暇なので。そうだ、今夜は魔力制御の枷はつけて寝たほうがいいかもしれませんね。」
「そうですね。、、、ところで僕はどこで寝れば?」
「あぁ、晨弥さんが寝ていた部屋があったでしょう?あそこを使う許可をもらっておいたのでお使いください。」
「何から何まですみません。」
「いえいえ。いきなり知らない世界に飛ばされて大変でしょうからできる限りのことはさせていただきますよ。あぁ、そうそう。異世界人の体は強靭になっているという話はしましたが、他にもありましてね?睡眠時間の短縮もあるんですよ。大体2時間ぐらいですね。」
これは思わぬ収穫というべきか。自分の時間が増えた。これでショートスリーパーの仲間入りである。
「本当ですか?」
「本当ですよ。起きられたのなら部屋をでれば侍女がおそらくどこかしらにはいるでしょうから話かければ書物室や騎士団、魔導士団の訓練場に連れて行ってもらえますよ。ただ、魔力制御の練習と魔眼の練習はしないでくださいね?危ないですから。」
「そうですね。練習はやめておきます。、、、ちなみに風呂とかってあります?あと僕の部屋ってどこでしたっけ?」
この後は、ヴァーロットさんと風呂に入り部屋まで送ってもらった。明日の制御訓練は午前10時からになった。
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風呂にも入って、そこで服やらをもらい、部屋に戻って寝たのがだいたい24時だったはず。現在朝の4時。睡眠時間だいたい2時間どこ行った?だけどおおよそ理由には見当がついている。魔眼と肉体が完全になじみきっていないことから僕の体はまだこの世界に順応しきっていないんじゃね?説である。ヴァーロットさんに聞けばいいか。さて、ここからが本題。制御訓練の時間まで何をしようか?そういえば、起きてすぐにご飯を食べた後何も食べてないな。おなかがすいているわけでもないけど、食堂みたいなところを探すとしますかね。
ガチャッ
部屋を出ると部屋を出て左側に進んだところに侍女と思われる方が拭き掃除かなんかをしているのが見えた。さて、どうしたものか。話しかければ何かしらあると思うがなんて話しかけようか。おはようございます?お手伝いしましょうか?そもそもこの時間に仕事って夜勤なのだろうか?それとこの時間から働くのが普通なのだろうか?というか、侍女の方からすれば誰やねんこいつ状態になるのではなかろうか?どうしたものかね。、、、話しかけてみるか。それ以外にこの状況を打開する方法そもそもないし。
ということで、
「おはようございます。」
「?」
おっと。これはまずい。あきらかヤベーやつを見る目である。悲鳴なんて上げられたら終わるぞ?僕。
「あぁ、おはようございます。転移者の方ですよね?」
「そうです。そうです。すみません、お仕事中話しかけてしまって。というか、ご存じだったんですね。」
「えぇ、侍女長から転移者が来たことと、ヴァーロットさんから大体の人柄は聞いていましたから。」
「なんて言われたのか気になりますけど、怖いのできかないでおきます。ところで、もう仕事なんですか?」
「いいえ、私は夜中の掃除や食事の仕込みをする係なのでもう少しで仕事は終わりですね。」
良かった。ブラックではなかった。
ヴァーロットさん僕を部屋まで案内した後、侍女の方々と情報交換とかもしてたんだ。ちゃんと寝れているのだろうか。
「そういえば何か御用だったんですか?」
そういえばそうである。
「あぁ、起きてすることもなくてどうしたものかと思いまして、昨日起きてすぐ食べた時から何も食べていなかったので、とりあえず食事できるところでも探そうかと。まぁおなかがすいている訳ではないんですがね。」
「なるほど。食事をする場所なら言ってくだされば部屋までお持ちしますよ?」
「いえ、さすがにそこまで良くしてもらうわけには、、、」
「そうですか?なら、私たち侍女や執事などの従業員が食事をするところが向こうに見える階段を地下一階までおりていただければすぐにありますし、騎士団や魔導士団の食事場が同じく階段で一階までおりていただいて、すぐのところに外に出る扉があるのでそこにいる兵士さんに話しかければ連れて行ってもらえますよ。」
「すみません。わざわざ。お仕事中にありがとうございました。失礼します。」
「いえいえ、お役に立ててよかったです。」
あーどうにかなった。そういえばヴァーロットさんはどこで食べているのだろうか。これもあとで聞こう。とりあえずどうしようか。正直王国の兵士さんたちに会うのは気が引ける。だって、ねぇ?魔力制御もできない今の僕が行っても茶化しに来たと思われそうだし。かといって従業員の皆さんのところに行くのも違う気もする。仕事しているわけじゃないし。あれ?僕の居場所ない感じ?、、、考えてもしょうがないという結論が出たので階段をおりてみよう。確か僕の部屋があるのは4階だからとりあえず一階までおりる間に何か思いつくでしょ。というか、王様に部屋化してもらっていることへのお礼の言葉とか言ってないけどさすがにまずいよなぁ。なんて考えているうちに一階まで来てしまった。興味本位で地下にちょっとおりてみようか。何て思って少しおりてみたら朝食の仕込み?それとももう調理を始めているのか指示が聞こえてくる。うん。さすがに今行ったら邪魔以外の何物でもない。というわけで気乗りしないけど兵士さんたちのところに行くかぁ。言っててもしょうがないので向かう。
「おはようございます。」
とりあえず挨拶。挨拶大事だからね。一番無難だし。さて、なんてかえって来るだろう?
「「おはようございます。」」「念のため伺いますが、どちら様でしょうか。」
まぁ、そりゃそうだよね。というか警戒されてるよね。ここ王城だもんね。返答一つで首飛ぶは、こりゃ。
「えっと、こっちの世界でいうところの転移者?て呼ばれている存在です。確か会議中のところに落ちてきたって言われました。」
情けないよねぇ。これ。自分で言ってて恥ずかしいもん。なんだよ、会議中のところに落ちてそのまま気を失うって、無様すぎて涙も出てこないよこれ。
「あぁ、君がそうか。念のため名前を言ってもらえるかな?」
ここ王城だもんね。警備も厳重だよね。とはいえ、本当に言っていいのか不安がないわけではない。ないが、言うほかないよねぇ
「晨弥です。」
「情報と合致していますね。それでなんの御用でしょうか?」
さっきから思ってはいたのだが、どうしてあいさつしてからもう片方の人一言も発さないのだろうか?
これも考えても仕方がないことなのかもしれないけど。
「時間があったので、侍女?の方に聞いて食事をするところを探していました。」
「なるほど。今は、地下は王族の料理を作る時間帯か。じゃあ私たちと行きますか?ここの警護も交代の時間ですし。」
「すみません。よろしくお願いします。」
てな感じにしゃべっていたら次の警護の人たちが来て。引継ぎやらをして。外に出て。というかこの世界にきて初めて外に出て。兵士の訓練場みたいなものが見えるほうへ歩いていく。話を聞く限り、王城と隣接というか敷地がくっついている感じで王城で有事の際すぐに駆け付けられるようになっているらしい。どの国も同じ感じだから言ったところで特に何もないようだ。ちなみにこの二人は僕が来た時に王城の違うところを警護していたらしく、大変な目に合わせてしまったようだ。本当に申し訳ない。とかなんとか言っているうちに訓練場的な場所に到着。到着して談話室?みたいなところに入るとそこには筋骨隆々ながたいのいい人がいた。多分というか絶対あの人が騎士団長だろ。
「騎士団長警護の引継ぎを終え帰還しました。ならびに転移者を連れてまいりました。」
やっぱり騎士団長だったねぇ。
「ご苦労。次の任務まで自由にしていてかまわない。」
連れてきてくれた二人は敬礼して去っていった。
あっ、騎士団長がこっち見た。
「アンス魔導士団長から目覚めたとは知らされていたが、会うのはもう少し先だと思っていた。初めましてでいいかな?私はバリアス。騎士団長をしている。よろしく。」
「晨弥です。よろしくお願いします。」
とりあえずの握手
してたらほかの兵士の皆さんも自分のやることやりに行ってもう4,5人くらいしか残っていない談話室。そうすると残っている兵士もバリアスさんもいきなり砕けた口調で話し始めた。
「俺もあの会議室にいたからよぉ。あんときゃびっくりしたもんだ。いきなり落ちてきて気絶してるんだからよぉ。」
何度も聞いた話だが、初めて話す人には必ず言われるのだろう。聞いていてかなりつらいがしょうがない。
「本当にお騒がせしました。」
「ん?謝る必要なんてない。一番の被害者は間違いなくきみだろ?」
いやまぁ、それはそうなんだろうけども、、、
「何はともあれ、元気そうでよかった。今は魔力制御の訓練中か?ん?だとしたらここに何の用が?」
「騎士団長、あの二人に聞かないからそうなるんですよ。転移者連れてきたって言ってたんだから。カッコつけて「ご苦労」なんて言っちゃって。彼困ってるじゃないですか。」
「うるせぇ!悪かったなカッコつけ野郎で」
などと、みんなして笑っている。信頼関係の構築とメリハリがついているのだろう。良いことである。良いことではあるのだが、僕だけついていけないのである。勘弁してほしい。
「えっ、、、と?」
「あぁ、すまんすまん。で、何ようかな?」
「食事をここですれば?と話の流れでなったといいますか。・・・」
「なるほど。構わんよ。食事は今ちょっと人が多くなっているからもう少し先だがな。なんだったら時間まで暇つぶしがてらトレーニングやるか?この時間はいつも走っている。王城をかこっている城壁の上を」
なんて言われたので、強靭な肉体を手に入れてはいるものの完全に順応しきっていない説をどうにかするため、トレーニングに参加することにした。そもそも体力が増えているのかもわからないしね。
てなわけで走っているわけだけど。まぁ動きやすい。体が強靭になるってのは、間違っていないっぽいな。なんなら体力そのものも増えてるっぽい。これまで実感がなかったから体に関して話半分で聞いていたけど、これは本当にすごい。純粋な肉体のスペックだけで、訓練場がある城壁1㎞(騎士団長談)をだいたい1分で走れる。てか、多分もっと出る。これに魔力補正乗ったらすごいことになる。なんてことを思いながら走っていたら、
「食事のスペース空いたから食いに行こうぜ」
なんてさっき騎士団長にカッコつけだかなんだか言ってた人が、呼んでくれた。騎士団長は何かあるらしくいないけど、兵士の方々の話?を聞くことができた。
結局大剣が至高だの槍が良いだの戦斧が一番だの言いあいながら。本人たちが楽しそうだから好きにしてくれって感じ。ちなみに飯はうまい。今日はパン?に肉(何の肉なのかはしらない)、スープ(なんてスープかは知らない)。そんなこんなで、食事も終わり皆さんと別れ騎士団長に挨拶しておこうと思ったのだが忙しそうで、近くにいた人が伝えとくって言ってくれたのでそれに甘えることにした。
てなわけで、一人城に戻っているわけだけれども、現在朝の6時過ぎくらい。この世界に季節なんてものがあるのかはわからないけど、きれいな青空である。どの世界でも青空はきれいなものだと思ったりしながら城内に戻ってきた次第。とりあえず部屋に戻ることにするかね。
さて、自分の部屋近くまで戻ってきたのはいいんだけど、これからどうしようか?訓練の時間まで3時間以上あるしなぁ。なんて思っていたら
「ワンッ!」
なんだぁ?ふり返ると真っ白い犬?がいた。迷い込んだわけないだろうし、飼っているのだろうか?なんか、ハアハアいいながらしっぽふってるし。犬好きが見たら大喜びするのだろうか。僕は犬は得意じゃない。特段これといった理由があるわけじゃないがなんか純粋に怖いのである。とはいえどうしようか?なんかこいつ撫でられ待ちじゃね?、、、しょうがない撫でるか。
「クゥーン」
何がクゥーンだ。こいつそれにしてもでかいな。本当にこいつはどこから来たのだろうか?王族の誰かが飼っているのか、また別なのか毛並みはふかふかできれいに整っているからここ(王城)の子なんだろうけど。まーじでどうしよう、一通り撫で終わったしそれなのにお座りの状態のままでいるし、、、
「おて」
やってみた。
ポン
こいつ手を置きやがった!
[おかわり]
ポン
、、、この続きなんだっけ?適当にやるか
「三回回って」
くるくるくる
「はい、わん」
「ワン!」
、、、、やりやがったこいつ。もしかして人の言葉わかる感じ?
「お前人の言葉わかる感じ?」
「ワン!」
本当かよ?(疑問のまなざし)
「お前異世界人?」
「クゥーン?」
それは違うらしい。なんとも調子の良い犬である。
「おーい。シロー?」
なんか遠くから声が聞こえる。というかシロつった?もしかしてこいつの名前すっごい安直?
「お前、、、名前シロだったりする?」
「ワン!」
なんと言うか、もう少し考えてあげてもいいのではないかと思うよ?僕は。
「すみません。シロが迷惑をかけて」
おや、返事が聞こえて迎えに来たようだ。というかこの男性、服装てきに王族だ。
「いえいえ、癒してもらいましたので。迷惑だなんてとんでもないです。」
こう答えておけば大丈夫でしょ。
「なら良かっ、、、ん?もしかして例の異世界人の方ですか?」
「はい。異世界人の晨弥と申します。」
「そんなにかしこまらないでください。公の場ではないんですし、この城の使用人でもないんですから。」
「いえいえ、私も部屋を一室使わせてもらっている立場ですし。」
「お気になさらず。父上から聞いていたのでお会いしたいと思っていたのですよ。」
「会議室に落ちてきた変な異世界人にですか?」
「私も話しか聞いたことがないんですが転移者の場合どこに出るかはランダムらしくて残っている情報の中には、女風呂に出た方もいるらしくて、、、」
僕なんかより全然やばい人いた。とはいえこの世界でスポーン地点がランダムなら森の奥とかに出て食い殺される可能性もあるってことだから、ぼくもその人運がよかったってことには違いないらしい。それでももう少しいいところに落とすなり、気を失わずに済むなりあるだろと考えてしまうのは、人間の欲望の性ってやつなのだろう。
「それはまた、なんとも、、、」
「そうおもいますよねぇ、、、」
なんて話してたら
「殿下、朝食のご準備ができました。」
執事さんが迎えに来た。
「そうか。ありがとう。では、失礼します。いくよシロ」
「ワン!」
行ってしまった。王族ってのも時間やらなんやらに追われているらしい。王族は王族で大変なのだろう。
さて、本当にこれから3時間どうしよう、、、
こうやってなんとも幸せな悩みをするのであった。
晨弥の考えがまとまるまで時間がかかりそうなのでここで終わります。