強すぎる光は
4月25日
僕はギルドの依頼をこなし、報告に来ていた。
「依頼達成の確認お願いします。」
「はい。少々お待ちください。」
「は~い。」
この確認て結構時間かかるんだよね。
「おう。元気か?」
だれ?わからんけど冒険者ギルドにいると暇なやつとかが話しかけてくるから知らない奴と話すのは日常茶飯事なんだよね。
「おかげさまで。そちらは、、、聞くまでもなさそうですね。」
「おうよ。最近はゴブリンの討伐依頼が多いな。」
「ですねぇ。冒険者になってから何匹倒したかさすがにわからないですねぇ。」
「だよなぁ。ゴブリンが増えた影響で上の捕食層が食う量増えてさらに手に負えなくなっているみたいだぞ。」
「マジすか。」
確かに今日の依頼の相手は強かった。初めて戦ったけど、、、情報よりデカかったもなぁ。
「あぁ。最近はゴブリンすら凶暴になっているって話だ。」
「厄災復活が公表されてから怒涛のペースで状況が変わっていますもんね。ゴブリンまで凶暴になってると、、、面倒ですね。」
「全くだよなぁ。報酬も別にそこまでうまくないし、生きていくために受けてはいるけどさぁ、、、他の依頼がいいよな。その依頼が消えるほどにゴブリンが繁殖しているわけだけど。」
ゴブリンだいぶ繁殖しているみたいなんだよね。繁殖したのはいいものの、食料が足りなくて共食いをしているって話もあるし、、、繁殖がゴブリンなりの厄災に対する対抗手段なのかもしれないから、討伐しまくるのはどうかとも考えたりしたけれども、、、繁殖しすぎでは?山散歩していればそこら辺にいるし、、、
「しんやさ~ん」
「すみません。呼ばれたので行きます。」
「おうよ。」
、、、、
「あれ、異世界人か。」
「王城に住んでいるらしい。」
「は?」
「マジ?」
「良いよなぁ。異世界人。異世界人ってだけで引く手数多だしな。魔力量も多い。そりゃ王城によばれるよなぁ。」
「噂ではこの国の王子の護衛をやっているらしい。」
「マジか。いくらで雇ったんだろうな。」
「さーな。でもいよなぁ。安泰じゃん。」
「それな。しかも護衛で気に入られれば、次代の護衛にも雇ってもらえたり、なんなら個人的な護衛に雇ってもらえるかもしれないからな。」
「そうじゃん。なんで冒険者やっているんだろうな。」
「暇つぶし?」
「将来を見据えてって感じじゃない?」
「ただの煽りだろ」
「あいつ確か領主級だろ?異世界人ブーストもかかってそんなもんだろうけどいいよな、異世界人」
「俺も異世界人だったら行けるだろ。」
「いけないほうがおかしいよな。」
「本当にそれ。」
、、、、
「今日の報酬はかなりもらえたな。」
依頼内容が依頼内容だったからこんなもんか。
かーえろ。
・・・・
「ようしんや!今帰りか?」
「はい、おかげさまで ぼちぼちもらえました。」
「良かったじゃないか。また今度飯行こうな。」
「おごりっすか?」
「勘弁してくれ。」
「じょーだんすよ。」
「じゃ」
「お疲れさまです。」
王城に入るところにも、もちろん門番さんみたいな人もいる。実戦訓練であってたり、時間的なかみ合いだったりで顔見知りになっていたり、なんやかんや兵士の知り合いは増えたと思う。
「晨弥兄、今帰り?」
「やぁ王子。そうだよ。今日は依頼の確認で待つ時間がいつもより長かったからね。」
「なにかありましたっけ?」
「純粋に人も多かったし、どこもかしこもゴブリンで大変なんでしょうね。」
「同級生に冒険者やってる人もいるけどやっぱりゴブリンの依頼しかないって」
「僕もようやくゴブリン以外の依頼を受けれるようになったからゴブリン以外の依頼は受けられる人に制限とかかけてるのかも」
何て感じの談笑をして解散。
「晨弥殿。」
今度は誰かな?
「はい?」
あぁ。執事さんか
「どうしました?」
「国王陛下より伝言を預かっておりまして」
「伝言、、、」
呼び出しかな?
「2週間後、サラ王女様がへメロ領への視察に行かれるのは知っていますか?」
「話だけなら。」
「その視察の護衛をしてほしいとことです。」
へメロ領は、、、確かマーチス領とは真逆の位置にある領だったよな。依頼でそっち方面には行ったことあるけど、、、方面に行っただけだからなぁ。
2週間後は空いているし、、、まぁいいか。
「わかりました。お引き受けします。」
「ありがとうございます。護衛の内容に関しては明日、バリアス様にお聞きください。」
「団長も護衛ですか?」
「私もそこまで詳しいわけではないのですが、、、確かバリアス様は別件で国王陛下の護衛につく予定です。」
そういや国王もどこかに行くって言ってたな。王族が同じタイミングで別々の視察に行くのはどうかとも素人目線では見えるけど、、、この国、魔法世界屈指の安全国だからできることってことでもあるのかな。
「そうなんですね。ありがとうございます。」
「いえいえ。依頼達成帰りでお疲れのところ引き締めてしまい申し訳ありませんでした。では、よろしくお願いいたします。」
「了解しました。」
了解したけどさ、他の護衛メンバー気になるよね。まぁ、夜も遅いし執事さんが言っていたように明日聞きに行けばいいか。
====
おはようございます。今日も睡眠中の感知できました。まぁ、、、二度寝するんですけど。
、、、、
「おはようございます。」
「おう。晨弥。」
「あ、団長。昨日聞いたんですけど。」
「おう。その話な。今回は俺とは別だから、、、オーダのところに行ってくれ。」
「オーダさん?」
オーダさんは、、、武器の選定に立ち会ってくれた人だったよな。実戦訓練でも一度も戦ったことないな、、、でも話だけは他の上の人たちから聞けるし、聞いた内容的にはやっぱり強いんだよなぁ部隊長クラスの人たちは。
「あいつがお前のところのリーダーになるからな。」
「どこいます?」
「むこう」
向こうってどこだよ、、、あぁ。実戦訓練やってるところのもっと奥ね。行ったことないな。話によるとあそこで上の連中が実戦訓練やってるって話だけど。
「行ってきますね?」
「おうよ。」
、、、、
「こんにち、、、」
うわぁ。マジかよ。実戦訓練やってるけど、、、レベル違うや。今やってるのがここでどのレベルかはわからないけど、、、勝てる気がしないなぁ。やっぱり上の人たちは領主級が最低みたいな感じだね。
「どうかしたか?」
ここで訓練している人だよね?多分。
「オーダ部隊長に会いに来たんですけれど、、、どこにいますかね?」
「オーダならそこの部屋にいるぞ?」
「ありがとうございます。」
、、、、
コンコンコン
「どうぞ」
「失礼します。晨弥です。」
「お!晨弥君来たか。」
「今回はよろしくお願いします。」
「こちらこそよろしく頼むよ。話によると感知範囲が広いみたいだね。冒険者にもなったようだし戦力としても期待しているよ。」
「はい。よろしくお願いします。」
「まぁとりあえず、、、実戦やってみる?」
「へ?」
なんで?今そんな話の流れあった?つーか戦いたくねぇよ。あんなん見た後にやりたくないよ!
「相手は、、、誰がいいかな?、、、、まぁ僕がやるか。」
マジかよ。一番やばいところ引いたくね?
「よ、、、よろしくお願いします。」
、、、
ということで、オーダさんと実戦訓練を執り行うことになりました。ちなみに先ほど実戦をしていた方々は、ここでも上位の方たちらしいです。
さて、僕の実戦訓練のルールは、というかこっちに来るとルールも自分たちで決められるらしい。
そんなことはさておき、今回のルールは武器の交換あり(これにより、武器交換の時だけアーティファクトの使用許可)、魔眼の使用あり、魔法の使用あり、魔力操作または魔法、魔力操作の延長線上の技の使用あり
魔法の使用ありに関して、僕がいたところでは魔力を自分の身に纏うのはあり、身体強化の魔力操作はあり、身体強化の魔法はなしだったけど、今回は身体強化の魔法あり、攻撃魔法あり、防御魔法あり、
手っ取り早い話大体あり。殺せちゃうような魔法はもちろんダメだけど。実戦訓練って言っても限度ってものがあるからね。
というか身体強化は魔力操作でもできるし魔法でもできるのすごいよね。魔力操作だけで現在の魔法で強化できるところまで強化できるように訓練するらしい。
説明おわり。
「では、、、、はじめ!」
バババッ
晨弥が開始と同時に火魔法を放つ
火力ではなく速度に振っていたということもあったが、
オーダは容易くそれを捌く。
オーダもまた開始と同時に火魔法を放っていた。
晨弥は回避を選択し、これを回避する。
僕の魔法より早いけど、、、ナーザよりは全然遅い。こっからだな。
お互いに遠距離で魔法で牽制しつつ、隙をうかがう。
先にオーダが仕掛ける
火魔法をまばらに打つことにより晨弥の回避先をつぶし、
強制的な防御を押し付け
オーダ自身もまた防御しきったところを畳みかけられるように距離を詰める。
ここで晨弥は月鏡を使用
これにより相手の思惑を潰し、
晨弥もまた距離を詰める。
ガンッ!
晨弥の戦斧とオーダの大剣が激突する。
数秒のつばぜり合い。
オーダがつばぜり合いを制し、経験の差を見せつける。
距離をとらされる晨弥。
オーダが魔法無しに晨弥の体勢が整う前にと距離を詰める。
晨弥は手で地面に触れる。
その瞬間
オーダの目の前に土の針がいくつも発生する。
しかし、オーダは間一髪、後ろに回避する。
お互いの距離が離れる。
「!」
オーダ後ろに回避し体勢を整える過程で気が付く
晨弥の武器が戦斧から刀に代わっていることに。
そして晨弥が距離を詰めてきていることに。
ブンッ
オーダは大剣をふるう。
それにより、風の刃が発生する。
ガガガッ
晨弥が発生させた土の針山の先端部分を切り飛ばしながら晨弥に襲い掛かる。
しかし晨弥はまだ到達していない部分の針山を蹴り、
空中で回避する。
さらに、晨弥は切り飛ばされた針山に手で触れる。
その瞬間、針山は大きく形を変える。
針山は範囲を広げ、
形を変えて、
土の大きさの異なる柱で新たな地形を構築する。
風の刃を発生させた後、オーダもまた距離を詰めていた。
それゆえにオーダは晨弥の地形変化内に閉じ込められる。
「マジかよ。」
オーダの武器は大剣。
その大剣を存分に振るえないように
土でできた柱が設置されている。
想像以上に成長しているようだな。
オーダは晨弥と初めて模擬戦とすら呼べない模擬戦からの成長を感じギアを上げる。
この地形変化は晨弥が冒険者をやっているこの短い期間で
戦いを有利にするために編み出したものである。
この魔法は通常魔法であり、耐久も多少ある程度である。
しかし、知能が低いモンスターは慌てふためいている間に討伐可能であり、
知能のあるモンスターでも一瞬での対応のしづらさ
晨弥にとって戦いやすい地形であり、
敵にとっては戦いずらい地形であることからくる
精神的な苦痛による焦り、
これにより戦いを晨弥中心にすることができる。
ただ、これはモンスターに対してである。
もちろん、人間相手でも有効な時もある。
しかし、今闘っているのは人間の中でも上位の存在である。
オーダは何のためらいもなく大剣で柱ごと晨弥を狙う。
大剣が柱を切り飛ばす直前
ガンッ
大剣が止まる。
「!?」
土の柱は通常魔法で生成したものである。
それゆえに魔法の変化がしやすい。
晨弥は切られた瞬間、柱の硬度を上げていた。
それゆえに大剣は柱を切る前にとまる。
オーダは一瞬で大剣から手を放し
ここぞと仕掛けてきた晨弥の攻撃を避け
蹴り飛ばす。
「グッ」
蹴り飛ばされた晨弥は土の壁に激突する。
大剣を手放したオーダは隠してあった小太刀を取り出す。
そして柱を利用して晨弥に近づく。
晨弥は魔力感知を使用しながら移動予想位置の柱を爆発させていく。
できることなら柱を通る瞬間に爆発させたいが、
今の晨弥にそれをするだけの技術はない。
オーダはこれに気が付いており、
着実に晨弥を追い詰めていく。
晨弥は上空に飛び地形の全体爆発を選択する。
しかし、これはオーダによってうたされた手であった。
晨弥が飛び上がると同時に
「ガッ」
晨弥を空中で蹴り落とす。
そして、小太刀を突き付ける。
「勝負ありだな。」
「はい、、、僕の負けです。」
「勝者、オーダ部隊長」
「「ありがとうございました。」」
「晨弥君強くなったね。」
「いやぁ、、、爆発アレ読まれてましたね。」
「ま、こういうなんでもありの対人戦の経験を何度も積んでいるからね。でも、冒険者としてモンスターと戦う中で経験したことを糧に対人戦でも通用する戦術の組み立ては見事だったよ。特に地形を変えられたとき、あれは驚いたよね。武器を振りづらい位置に柱を設置させるのも見事だった。これからも強くなっていけると思うよ。」
「ありがとうございます。」
そのあとは、他の方たちからアドバイスやら雑談をしたり、今度やろうねとか恐ろしいこと言われたりしたあと、護衛メンバー招集。
、、、、
「よし。全員そろったな。」
「はい。」
「今いるメンバーが今回、サラ王女の視察の護衛メンバーである。晨弥君の実力は先ほど見てもらった通りだが、問題ないと判断した。何かあるか?」
「問題ないんじゃない?」
「あんだけ動けるなら大丈夫でしょ。」
良かったぁ、、、ぼろくそに言われたらどうしようかと思った。
「ではこれより護衛の内容を詰めていく。」
====
おはようございます。昨日はかなり遅くまで内容を詰めていた。ちなみにまだ全部詰め切れていない。
僕が参加するのは遠征と学校の視察だったし、冒険者に関しても正直なぁなぁで進んでいったからなぁ。遠征はそこまで詰めることもなかったし、まぁ僕が素人すぎて考慮してもらえたのかな。
学校の視察は王城出てすぐだし、、、みたいな感じだったし、
冒険者の方に関してもそこまでだったし、
今回初めて内容を詰めまくってる。だからかなり神経削られるんだよね。
今日も昼からあるんですけど。
まぁ頑張るか。
、、、、
「では、本日も昨日に続き内容を詰めていこう」
、、、、
「では、これで視察の護衛は問題ないな?」
「はい。」
「では視察出立の二日前に最終確認及び最終調整を行うので、同じ時間にここに集合すること。」
「はい。」
「では解散。」
、、、、
ほら、今日も気が付けば夜になってるよ。やになっちゃうね。
もう寝よ。
、、、、
おはようございます。二度寝します。
、、、、
おはようございます。二度寝してもまだ午前3時。素晴らしいね。
ま、特に何もない日と同じように過ごしていればいいか。
・・・・
なんやかんやで出発二日前の朝です。早もんですね。
ぼちぼち向かいますかね。
、、、
ちょっと早く着きすぎたな。
「あれ?しんや君じゃん。」
「おはようございます。」
「まだ時間あるし、一戦どうよ?」
この人も護衛の人だったな。ここで断ると後が良くないよね。
「よろしくお願いします。」
、、、、
結果。敗北。なんでもありの対人戦まぁ、、、いつもやってる実戦訓練よりも限りなく実戦に近い訓練
まだまだ経験が足りなさすぎる。あとは思い切りが足りないかな。
闘いそのものに関しても、精神的なものに関しても。
、、、、
「全員そろっているな。では最終調整ならびに最終確認を行う。」
、、、、
はい、ということでね、今日も今日とて夜までかかりました。
疲れたんで寝ます。
、、、
おはようございます。今日一日は時間あるけど、魔法やらの確認したら武器を鍛冶師のところに取りに行って、今日は寝ようかな。明日からきちんと睡眠をとれるか分からないし。
、、、
魔法はいつも通りかな。
、、、、
武器の回収もできた。
そういや団長たちは今日出発だったな。
というかもう出発してるんだったな。
どうすっかなぁ。寝るのにはまだ早すぎるし、、、魔力制御が一番かな。
「晨弥兄。」
「うぉ!?びっくりしたぁ。」
人がいるのは知っていたけど、、、まさか姫様だとは、、、
王子は見かけたら爆速で話しかけてくるからこの距離まで来ると侍女の方とか執事の方が通ってくだけだからマージでびっくりした。というか、王子のせいで姫様までこの呼び方しだしたんだよなぁ。
「どうしました?」
「明日からよろしくお願いします。」
「こちらこそよろしくお願いします。」
そういやたいして気にしていなかったからあれなんだけどこの国の王族は髪の毛紫色っぽいんだよね。濃い紫じゃなくてうっすい紫色なんだけどね。
冠位十二階かな?まぁいいや
、、、、
サラ王女にとって晨弥は不思議な人間である。
もちろん、異世界人だからだというのもある。
しかしそれだけではなく、
王族を含めた王城に従事する多くの人間に好かれていること
特に兄であるウィル王子に特に気に入られていること。
そしてシロに気に入られていること。
シロがなついたことは驚きだが、
それ以外の人に好かれていることは晨弥の雰囲気的にも
優しそうだという第一印象があるのでなんとなく理解できる。
ただ、騎士団魔導士団の人たちにも好かれていることが驚きだった。
王女が知っている晨弥はゆる~い男である。
もちろん冒険者になったのも、遠征で成果を上げたのも知っている。
しかし、王女が知っている晨弥からは想像ができなかった。
兄であるウィルに聞いても特に情報を得ることはできなかったが
兄が兄として慕っているので自分もとりあえず兄と呼ぶことにした。
別に今回の視察の護衛に晨弥がいることに不安があるわけではない。
護衛は強さが重要である。もちろん他にもあるが、、、
団長たちが反対しないあたりそこは問題ないと判断できる。
だからこそ、今回の視察の護衛で晨弥の強さを見てみたいと思った。
ただそれは道中で問題が起きてほしいという願いでもある。
護衛の人たちも自分も何もないのが一番だと考えている。
そのため、他の場所で晨弥のすごさというのを見てみたいと思った。
もちろんこの願いが非常に難しい願いであることは理解している。
それゆえに前日のうちに、謝罪も込めて挨拶に来たのである。
「お時間をとらせてしまい申し訳ありませんでした。」
「いえいえ、お気になさらず。」
行っちゃった。どうしたんだろうね?まぁ、いいか。
魔力制御やったら寝よう。
====
おはようございます。
今日は二度寝できません。王城の城門付近で集合だからもう行くか。
、、、、
「おはようございます。」
「おはよう。自分の準備は無出来ているかい?」
昨日寝る前も起きてからも確認したからね。
「準備できています。」
「それは良かった。全員が集合しているわけではないから、積み荷の手伝いしてもらってもいいかな?」
「わかりました。」
そして、準備の手伝いをすること少し。
「全員そろったな。」
「そろいました。」
「王女が来るのはまだ先だ。ここで仮眠でも取っておけ。」
ということで待ちますかね。
、、、、
「おはようございます。皆さんよろしくお願いします。」
「はっ!」
なんかもう疲れた。
まぁ、僕の護衛の位置は馬車の中での姫様の護衛だから椅子に座れるぶん、だいぶ楽、、、
全然楽じゃないけどね。
そんなこんなで出発。
ここからへメロ領は三日の距離。今日が5月九日だから、予定では12日の速くて昼過ぎ、遅くても夕刻までには着きたいところ。12日は食事会があるらしい。そして次の日は朝から視察であちこち回って、次の日には帰るらしい。視察ってもっといるもんだと思っていたんだけど、、、
化学世界と魔法世界の差なのかな。馬車の護衛である僕、というか、姫様を乗せている馬車は真ん中に位置しているので僕が全方位感知を広範囲で行うのが今回の僕の主な仕事。なんかこんなんばっかな気がするけど、、、しょうがないよね。
あとは、姫様の暇つぶし相手。こっちはどうにか、、、なるのかな?たいして話したことないよ?
こっちのほうがもしかして大変?
そんなことを考えながら、道中ゴブリンを感知して討伐したりしながら予定通り、昼過ぎあたりで
へメロ領に到着。
僕はこのまま姫様の食事会の護衛や視察の護衛をする。というかした。
ぶっちゃけ僕はついて回るだけだからね。話なんて聞いてる余裕僕にはないし、、、
行ったところと言えば、、、、
大農園的なところにも行ったし、兵士たちの訓練場も見たし、、、なんかいろいろ行ったな。
気が付けばあっという間に終了していたんだけどね。
そういえば、王女に聞いたところ、こんなもんらしい。領主としても来てほしいという思いもあるけど、
自分の領内で問題が起こったら面倒なことになるから1日が普通らしい。
この国ではあまり心配ないらしいけど、視察中に仕掛けて、王族が殺された事件が他国であったらしい。
だいぶ前の話らしいけど。
ま、1日だけってことで案外あっけなかったね。
ただ、へメロ領にいる兵士の方に話しかけられて、少し話をした。
どうやら僕の名前がこの町でも売れているらしい。
ある人は炎でモンスターを焼き尽くしていただの、モンスターの魔法を消し去っていただの
まぁ、身に覚えがある話だから、、、ねぇ?
名前が売れるのはうれしいことだけど、この程度ならまだいいけど、もう少し売れると僕のことを語るやつが出てくるから気をつけろって話をされた。可能性は考慮していたけど、現地の人に言われると、
何と言うか、、、そこまで来たんだという嬉しさと、めんどくささがあるよね。
、、、、
ということで帰り道。もう普段いる王都?でいいのかな。ここら辺の呼び方なんて言うのかいまいちわかってないんだよね。
それはともかく、もう見えはしたんだよね。あとは森を抜ければいいだけ、、、、
だったんだけど、、、
感知範囲に5つの反応がある。他にもアッシュウルフかなこの反応はとりあえずまぁある。
問題は5つの方。ペースがクソ速い。このままだと、森を抜ける前に追いつかれる。
「オーダ部隊長。後ろから5つすごいペースで向かってきています。ペース上げられますか?」
モールス信号をうつ。
「知り合いの可能性は?」
「へメロ領でも、王城でも感知したことがありません。それに一番大きい魔力は僕より最大魔力量は多いです。」
「そうか、、、未来視で見られるかい?こっちでペースは上げるから」
「了解。」
さて、、、、と。
、、、、
、、、、
、、、、
「まずい!」
「オーダ部隊長!」
「どうした。」
晨弥が報告してから馬車の隣に来ていたオーダが答える。
そこから小声で話し出す。
「僕が魔力を極限まで抑えて姫様抱えて王都まで走ります。時間稼ぎお願いします。」
晨弥のこの報告と、表情からオーダは理解する。
「わかった。タイミングは?」
「アッシュウルフが先に到着するのでそれへの対応として魔力を放出してください。そしてドアも明けてくださるとうれしいです。ドアを壊すと、姫様がいるという偽装ができなくなる。」
「わかった。頼んだぞ。」
「はい。」
この会話はオーダによって全員へ伝達されていた。
全員が言っている意味を理解できた。
オーダは見ていた。苦しそうに報告する晨弥の顔を
それは最後まで未来に賭けていたのだとわかる顔だった。
「晨弥、あと10秒だ。」
「了解。姫様、失礼します。」
晨弥は姫を抱きかかえる。
そして、
ガチャッ
バッ!
晨弥は魔力を今できる最大限まで抑え姫を抱え走り出す。
「モンスターの接近を確認!戦闘態勢!」
この声が聞こえ終わったころにはその声ははるか後ろだった。
王女は晨弥の初めて見る表情に驚いていた。
それは苦痛に満ちた顔でもなく、
泣き出しそうな顔でもなく
瞳が光を失い、恐ろしいほどに無表情だった。
王城にいる晨弥は表情が豊かだった。笑ったり、驚いたり、、、多くの表情をしていた。
しかし、今は恐ろしいほどに無表情だった。
そして、今の現状も理解する。
王女にとっても初めての経験だった。
晨弥が血相を変えたあの瞬間。
感じたことのない恐怖を味わった。
そして瞬く間に晨弥に抱えられ、馬車を離れていた。
理解する。襲われたのだと。
人生で初めての経験。
今、誰も乗っていない馬車を守っているのは自分を逃がすためだと、
自分のせいであそこにいる人たちは死んでしまうのかもしれないという罪悪感を、、、
晨弥は未来視を使った瞬間のことを思い出す。
最初に見た未来は、自分以外敵味方全員が死ぬ未来。
晨弥が敵のリーダーと思われる人物と戦闘している間に王女が殺される未来。
自分が死んで他の人たちも死ぬ未来。
そして一番多かったのは王女がさらわれる未来。
どの未来を見ても乗り越えられる未来がなかった。
そして、もう少し早く未来を見ていれば、感知範囲を伸ばしていれば
逃げ切ることができたという事実を
未来視は、無慈悲に晨弥に突き付ける。
晨弥は王女を抱え走る。
後ろから爆音が聞こえる気がした。
俺のせいで、、、違う。「うぬぼれるな。違う。あの人たちは、、、」
晨弥は気が付かないうちに言葉を漏らしていた。
「うぬぼれるね。違う。あの人たちは、、、」
この言葉は王女にも聞こえていた。
この言葉は王女には別の意味に聞こえていた。
今闘っている人たちは、お前のためではなく、
愛した国の未来のために戦っているのだと。
王女には、この言葉はこの極限の状態での晨弥からの励ましに聞こえた。
もちろん。普通に聞けば不敬罪に当たるかもしれない。
しかし、この状況、絶望の感情が渦巻く中で
君のせいではない。と言ってくれているように聞こえた。
都合の良い解釈かもしれないが、
今の王女の精神には救いになっていた。
====
晨弥よりもはるか先に
王城でもこの事件に気が付いている者がいた。
「ワンワンワンワンワンワン!」
シロが吠えながら、アンスのもとへ向かう。
「どうしたんだい?シロ。」
「ワンワンワンワンワンワンワン!」
鬼気迫る表情で吠えるシロに異変を感じた。
「問題発生かい?」
「ワン!」
「国王様かい?」
シロは首を横に振る。
「王女様かい?」
「ワン!」
吠える。
それを聞いた瞬間アンスは叫ぶ。
「王女様の身に何かあったようだ!動けるものは今すぐに出発する!」
王城の中は混乱が起こったが、執事長を中心に動いたことで混乱は収まったが、
王子は不安の中にいた。
そしてアンスたちも大急ぎでへメロ領から帰ってくるであろうルートを移動していた。
そして、王都の城門までやってきたとき、向こうから走ってくる男の姿が見えた。
「アンス団長!」
「あれは、、、魔力の感じ!間違いない!晨弥君だ!ん?、、、王女を抱えている?誰か、水をもってきてくれ!」
そう指示を飛ばしている間に晨弥は城門まで走り切った。
ここまで30分。魔力を制限している状態を考えると、恐ろしいペースで走ってきたのである。
晨弥は王女を兵士に託すと倒れこんだ。すさまじいペースで走っても体力には余裕がある。
それでも精神の疲労が大きすぎたのである。
「大丈夫か?」
アンスが優しく話しかける。
「行かなきゃ。」
晨弥はうわごとのようにつぶやく。
その言葉でアンスは理解する。
「助けに行くよ。」
優しくアンスは晨弥に話しかける。
優しく力強く。
安心させるように。
その言葉に晨弥は立ち上がる。
「はい。」
無表情だった顔は光を取り戻していた。




