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界の渡り人  作者: ホトトトギス
厄災の足音
20/89

力の差という恐怖

 氷の精霊

 数千年単位で生きるエルフ。

 長い時代(とき)を生き、後世に名を連ねる多くの者たちと面識がある。

 すべてのエルフが面識があるわけでは無論ない。

 必要なものは強さ。

 しかし、精霊は有名ではない。

 精霊が関わってきた者たちは伝記の中でさえも強烈な光を放つ。

 登場するだけの伝記も少なくはない。

 それゆえに多くの伝記に登場するはずの精霊は目立たない。

 時代が時代なら九世を超える力を有しているというのに


 歴史を長く見てきた精霊はパーティに加入した。

 多くのパーティに加入してきた。

 楽しい冒険もあった。

 加入を後悔したこともあった。

 それでも精霊は加入する。

 今まで見たことのないような功績をあげる者を近くで見届けるために。

 

 今のパーティに加入したのはパーティリーダーが精霊を知っていたからである。

 目の前で精霊の登場する伝記の話を永遠し続けたのである。

 長い時代を生きる精霊にとっても初めての経験であった。


 そして暇つぶしがてらに話しかけた異世界人

 彼もまた精霊の興味を引いた。

 異世界人の多くは、伝記になった人物に強く惹かれる。

 これが精霊が経験の中で出した結論である。

 しかし、彼は気が付いたのである。

 確かに最近読んだばかりだというのも理由の一つかもしれない。

 それでもオールデン伝記には一言程度しか出てこない。

 自分でヒントは確かに出した

 気付かないと思っていた。

 彼は気付いた。


 これもまた、長きを生きる精霊にとって初めての経験であった。


====


「あぁ~おなかすいたぁ~」

 

 出発して2日。 

 極力戦闘は回避して山を登る。

 普段よりハイペースで進んでいることもあり、

 消耗も普段より早いのであった。


 空腹がそのせいなのか本人の問題なのかは不明ではあるが。


「確かに今日はまだ休憩とってませんでしたね。」


「できることなら今日のうちに所定の位置まで行きたいからな。」


「そういうことだ。もう数時間歩けばつくんだ。もう少し我慢しろ。」


「えぇ~」


初めて他のパーティと組んでの仕事だからどうなるか不安だった(というか最初がさいしょだったし)が

陽の皆さんが+方向に吹っ切れているから士気がうまい具合に保たれている。

僕にはできないだろうから、、、助かるよね。正直。


 さらに歩くこと数時間。


「目的地には着いたな。」


「どうだい?しんや。位置的には」


「ここからなら問題ないですね。魔法の制御に少し時間がかかりそうですけど。距離的に。」


「その程度なら問題はないだろう。決行はいつにする?」


「腹減って死にそうなやつもいるし明日でいいだろ。」


「おなかすいたぁ~」


さっきからずっと言ってる。恐怖すら感じるよね。


「うちのリーダーがすみません。」


「申し訳ありません。」


「おなかすいたぁ~」


なんか、、、カオスだね。まぁいいさ。


 今後の予定も決まり、今夜は十分な休息に充てるのだった。


====


 朝。日の出よりも早い時間。


「では各々、所定の位置まで。」


作戦内容は、僕らが昨日陣取った場所から集落の地面を下げてその下げた分の土で周りを囲む。

氷の精霊がそこに向けて魔法を放って一網打尽。数名が集落近くに潜伏し、仕留め損ねた連中を撃破。

こんなところ。


「どうだ?」


「ぎりぎりですけど、、、いつでも行けます。」


「そうか。こちらも魔法はいつでも。」


「私たちは周りの警戒しとくね~」


潜伏は牛追いとメリゲスさんが担当。エレスタシアが魔法発動中の僕たちの警護


「もう始めてもよさそうな頃合いだがどうだ?」


「感知した感じ問題はなさそうですが、、、」


「そうか。では始めよう。」


「いきます。」


ドゴォォォォン


 目標地点から予定通りの爆音が聞こえてくる。

 その瞬間。


「よし。」


トン


 氷の精霊が氷の精霊たる所以を見せつける。

 杖で地面を撫でた。

 その瞬間、目標地点に氷の柱が出現していた。


マジかよ。


 晨弥は感知範囲の大半を集落に割いていた。

 それゆえに理解した。

 無詠唱。モーションは地面を撫でただけ。息一つ乱れていない。

 だというのに感知していて恐怖を覚えるような魔法を発動していた。


この感じは干渉魔法だよな?この範囲を一瞬で?魔法を準備しているときに魔力でばれる可能性があったから、パッと出せる中で高火力な魔法って頼んだけどさ?

氷の精霊って呼ばれるくらいには生きてきた年月をかけてきたってことか。

闘えば確実に死ぬ。


「どうだ?残党は」


「、、、えっ。あぁ。う~ん?」


干渉魔法で良くわからなくなってる。


「この感じは、、、いないですかね。」


「そうか。」


「いやぁ。一件落着。」


何事もなく終わってよかっ


「「!」」


「散開!」

「さんか


グチャッ


 グッ」


 いつかあった似た状況。

 すさまじい速度で飛んでくる爪。

 とっさに魔力でガードした晨弥の肉体に容易に食い込んでいる。


「ガッ」


 とっさに精霊が魔法を放つ。

 その瞬間爪を引き抜き距離をとる。


「だいじょうぶ!?」


 エレスタシアのリーダーが駆け寄る。そして回復役も魔法で癒す。


「あれは、、、ナーザ?」


前に僕が戦ったのは弱い個体だったのか?


「お前たち。晨弥を急いで回復させろ。あれは変異種だ。」


「!」


「そうか、、、だ、だから前に戦ったやつと、、、」


 以前晨弥が戦った個体とは明らかに違っていた。

 さらに鋭利に発達した爪。

 人間で言う水かきの部分の可動域がさらに広がっているように感じるほど爪を開く。

 大きさはあまり違いは見られない。

 しかし、それはあまりにも異質だった。


「あぁ。晨弥落ち込まなくていい。あれは王級レベル(こちら)の案件だ。」


 しゃべっている間も移動しながら様子をうかがっているナーザ。


「相変わらず面倒な速さだな。以前戦ったこいつの変異種よりはましだが。」


 ナーザが精霊を中心として晨弥と反対側に回った瞬間


ドン


 そこには地に付しているナーザがいた。

 周りには氷が四か所発生しており、それがナーザを取り囲んでいた。


「マジかよ。」


発生させている氷に重力魔法が付与されてる。それで檻みたいにして捕まえたのか。


 晨弥が思考しているのを他所に檻は少しずつ中心にいるナーザに近づき、

 それに比例して重力に圧し潰されるナーザ。

 そして、、、、


ブチッ


「さて、晨弥。体の方はどうだ?」


「魔法も使っていただいのでどうにか。」


「そうか。先ほども言ったが気にするなよ?」


「、、、、はい。」


「心配するな。お前ならたどり着ける。」


「おーう。お疲れ。なんかすごい音、、!?おい!どうした!」


 潜伏していた者たちも周りの確認をし、戻ってきたのだった。


「ナーザの変異種が現れた。討伐はした。」


「は!?ナーザ!?」


「しんや。大丈夫か?」


「メリゲスさん。どうにか大丈夫です。魔力でガードと腕も使ったので急所は避けられました。」


「そうか、、、、」


「、、、?いつもの元気はどうした?」


 士気向上に貢献していたリーダーが口を閉ざしていた。


「あの時、二人は気付いていたのに、、、私は気付けなかった。気づけたしんやさんですらこんな傷を負ったのに、、、私だったら、、、」


「ぶっちゃけ気付いたときにはもう僕には打つ手無かったですし、、、たいして変わりませんよ。」


そう。実戦訓練でボコられているときに何度も経験してきた一瞬での魔力ガード。あれの経験がなければ心臓まで貫かれていた。


「そうは言っても致命傷は避けていた。私は気が付いた時にはしんやさんが血を、、、」


これ以上僕が何か言うのは良くなさそうだ、、、

あの一瞬、、、死ぬと思った、、、あれが、死ぬという感覚。

思い出しただけで鼓動が速くなる。

通常のナーザの時も確かに死にかけたといっても良いだろうけど、、、

あれとは死の感覚のレベルが違う。

あの時とは、、、、


「とりあえず、目的は達した。帰って休もう。」


 帰りの足取りは重かった。死人は出なかったとはいえ、、、

 自分の実力に打ちひしがれる者

 同じ階級のはずなのに何か感じることさえできなかった者

 そんな者たちに何を言えば良いかわからない者たち

 もし、自分がその場面に遭遇していたらどうなっていたか考える者たち

 そして、その者たちが再び立ち上がることを信じている者

 それぞれであった。


 ギルドに戻り報告。

 直ちに聴取と神聖属性持ちによるケガの確認と治療が行われた。

 想定外の事態があったこと、その想定外を打ち破ったことで報酬は増えたが、、、

 増えた分を受け取るものはいなかった。

精霊って種族はこの世界にいないんですけどね?なんで二つ名で精霊が出てくるんでしょうね?


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