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起源ー(2)

「ん、、、?」


知らない天井、知らない部屋、見たことがあるのかないのかわからない家具、等々。眼鏡をかけていないこともあり、ぼやけている視界。


「メガネ、メガネ」


眼鏡を探そうと思い、近場を見渡すとライトのようなものの隣に置いてあった。『あった。』心の中で見つかった安堵をこぼす。


「んで、どうなってんだ?」


眼鏡をかけたことでクリアになった視界であたりを見渡しても少なくとも日本では見かけないようなものの数々、その中に少数ではあるが見知った(使い道がわかる)もの。ある程度部屋を見渡しながら自分の記憶をさかのぼる。


『えっと?最後のレポートを終わらせて?寝ようとして?、、、なんか知らない空間をみた?んだっけか?そんで、、、』


思い出すと同時に焦りながら自分の体を確認する。が、体には何の異常も外見上は見られなかった。


『なんだ?』


と思いつつ少し体を動かしてみる。


『いや、眼鏡を探すときにこのくらいは動かしたか。』

そう思い、とりあえず立ってみる。

『立てたし、、、動ける。』

生活に支障が出なさそうだと安心する。


「となると、、、」


ここがどこなのか?それが一番の問題である。整っている部屋。牢屋とかではなさそうである。ただ、右手の枷?のようなものがついている程度。しかもついていることもあまり気にならない感じ。少しの余裕が生まれたので、眠っていたベッドに座りいろいろと考えてみる。


「ドアもあるし一回出てみるか?でもなぁ、それでなんかあったら嫌だしなぁ、、、ここ、どこなんだろうなぁ、、、でもこうなる前にレポート終わって良かったよなぁ、来年もう一回とか地獄だぞあれ、、、多分今夏季休暇だよな。」


などと考えるうちに別のことがどんどん出てくる。その中でふとおもう。

『これ、帰れるよな?』


「、、、まずくね?どうすんだこれ、夏季休暇中に帰れる保証はないし、ここが日本ならどうにかなると思うけど、海外とかだったら不法入国もいいところじゃねぇか。」


できたはずの余裕は完全に消え去り、頭の中では、


『やばいやばいやばい、どうすんだこれ、あーマジでどうしよう、てか親への連絡とかしてねぇぞ?』


これの繰り返し。こんなことを考えていてもどうしようもないことなのかもしれないが、頭がいっぱいいっぱいなせいでこれ以上の進展ができない。そんな時だった。


コンコンコン

部屋のドアが鳴った。


「はい」


反射で返事をしてしまった。

『あ、これ返事したらまずかったか?』

などと考えている暇もなく一人の男がドアを開けた。


「よかった。目が覚めたようだね。」


そういいつつ、後ろに誰かいたのか、 食事を二人分 と言いながら入ってくる。


「初めまして、私はこの国で魔導士団で団長をしているアンスという。よろしく。」


『結構気さくな声だな』

警戒はしたままのほうがいいっぽいけど。


「いやぁ、びっくりしたよね。会議してたらいきなり君が降ってきて、気絶してるんだから。」


「それは、、、ご迷惑をおかけしました。」


ここまでで、不安を覚えた点の一つは”魔導士団”という言葉である。そんなものが日本というか地球にあるとは到底思えない点である。まぁガチモンの秘密結社的な存在があったらあれだけど。ただ、おかしな点はここだけではない。このアンスさん?が話している言葉を日本語として理解できている点である。名前的には日本人ではない。無論日本人でなくとも日本語を流暢に話せる人は存在する。しかし、このアンスさんの言葉は説明が難しいが脳で直接理解しているところにある。普通耳から入ってきてと順番があると思うが、それをすっとばしているような感覚である。


「いいんだ。それも役目の一つではあるからね。それでこっからが本題なんだけど。えっと、君は異世界人というのであっているかな?魔力がない世界の住人っていうのがこの世界での異世界人の定義なんだけど。」


『あぁ、終わったんだぁ』

定義を聞いたら、まぁこう思うよね?だって、、、ねぇ?


「はい。僕の住む世界には魔力なんてものはなかったですからね。」

ここで、嘘をついてもしょうがない。


「やっぱりそうか。国王陛下たちとそうじゃないかって話していたんだ。こっちの世界に来る異世界人も極たまにいてね?そういった人たちの特徴がいきなり現れる点と、魔力制御っていう概念がないから膨大な魔力まき散らす点なんだよね。赤ちゃんとしてこっちの世界にくる転生の場合はこの限りではないけどね。」


「なる、、、ほど?」


そんなこと言われたってどうしろというのか?僕と似たような人たちがいるっぽいのが唯一の救いである。それはそれとして、この状況の中で平静を保っているこの僕を誰かに褒めてほしいものである。


コンコンコン

またドアが鳴った。


「お食事をお持ちしました。」


「ありがとう」


などとアンスさんが言っている間に侍女?の方があっという間にアンスさんと僕の食事を並べ終える。


「失礼しました。」


ものの一分くらいでセッティングをして出て行ってしまった。さっき会話の中に国王陛下とか言ってたからもしかしてここ王城?だとしたら侍女も優秀なのだろうと思える。まぁ優秀な侍女ってやつを知らないのだが。それはそれとして本当にここが王城なら面倒ごとになりそうでならない。


「この国にも君と同じ異世界人はぽつぽつといるからね。君の口にも合うと思うよ。君、一日寝ていたからね。おなかもすいているでしょ?食べながら、、、なんていうんだっけ、、、あぁそうだ、君の世界でいうところの聞き取り調査ってやつをするけど、悪人相手にするようなことはしないから安心してね。」


「、、、僕1日寝てたんですか?」


「そうだよ?だからねぇ、ノックして返事が返ってきたときは、驚きもあったけれど、安心もしたんだよねぇ。ということで、聞き取りを始めるけど、名前からいいかな?」


晨弥(しんや)といいます。」

聞かれたのは名前だからね。フルネームを言って悪用やら契約やらをされても困るし。

唐揚げみたいなこの肉料理うまい。


「しんやさんね。異世界人ってことだけど出身って日本?日本って名前であってるっけ?」


「?なんでわかったんです?」


「この世界に来る異世界人の多くは日本人なんだよね。ほかの国の人少なからずいるけど。例えば現帝国の皇帝も日本じゃない国の転生者だし。」


「そうなんですね。」


などという他愛もない質問が繰り返され、食事が終わるのと同じくらいのタイミングで質問も終わった。


「しんやさんから聞きたいことは?」


「僕の右腕についている枷って魔力制御か何かですか?」


「よくわかったね。それを付けている人は、それを外さない限り魔力を扱えないんだよ。」


「ついていることそのものは特に何ともないんですが、ただ変な違和感があったので。」


「なるほどね」


「ほかには何かあるかい?」


「いきなり降ってきたやつをこんな拘束とかもなく自由にしてていいんですか?」


「あぁ、それは今からやる検査の説明がてらしようとしてたんだよねぇ」

といいながら部屋から出るよう促され、城の中を進んでいく。


「簡単にいえば魔眼ってやつの能力なんだよね」


「目に何かしらの力があってそれで拘束する必要ない判定を受けたと?」


「日本人てみんなここをすぐ理解するんだけどなんでなんだろうねぇ?」


「みんな?」


「ほらさっき言ったように異世界人がたまに現れておおきな魔力をまき散らすから私とかが出張って解決するんだけど、その時すぐに理解するんだよねぇ。」


間違いなくアニメやら漫画が原因だが、とりあえず黙っておく。


「話を戻すけど、魔眼は全員が持っているわけではなくて、たまにいるって程度なんだよね。ちなみに私も持っているし、魔眼保持者の目にはそれぞれ紋様があるんだけどしんやさんの場合、両目にあったからその目の能力を専門家に聞  きに行くところなんだけど、ついたね。」


なんというか、教会で見かける感じのドアである。


コンコンコン

「アンスです。目が覚めたようなので連れてきました。」


「どうぞお入りください。」


教会のようなドアなだけあって内装も教会っぽい雰囲気を纏っていた。その部屋の主もまた神聖そうな服を身に纏った初老の男性であった。


「あなたが例の異世界人ですね?初めましてヴァーロットと申します。」


「初めまして、晨弥です。よろしくお願いします。」


「よろしくお願いします。では、さっそく目を見せていただけますか?」


「はい」

眼鏡を外し、用意された椅子に座る。


「まず、右目ですが解析鑑定(かいせきかんてい)の魔眼ですね。これは魔眼のなかでは珍しくかぶりやすいですが、解析鑑定の得意分野が分かれているので、一言で解析鑑定の魔眼といっても種類があります。」


「得意分野、、、」


「純粋な魔力の流れであったり、各属性の魔法であったり、生物であったりと様々ありますが、これが得意だからこれがダメということはなく、他が70で得意分野が100みたいな感じです。」


「なるほど」


「ただ、しんやさんの場合というか日本の異世界人の場合、総じて解析鑑定の魔眼を持っていてさらにまだ、さらに変化する可能性が残っているんですよ。その変化がどんなものかはまだわからないのですがね。」


「それは、変化した事例はないけど、変化に必要な紋様はそろっているということですか?」


「えぇ、その認識であっています。ちなみに、しんやさんの解析鑑定は物理が得意なようですね。」


物理かぁ、高校の時物理とっていたけれども


「さて、気を取り直して左目ですが、未来視(みらいし)の魔眼の可能性がありますね。」


「可能性?」


「歴史上で持っていたとされる人が1人しかおらず、そのひともはるか昔の人だということもあり、文献にしか残っていないのですよ。」


「では、ここでやってみます?」


アンスさん?なにを言っているんですかねぇ?可能性があるだけで別物の可能性だってあるわけで、、、

ヴァーロットさん?あなたもなんで乗り気なんですかねぇ?そんなこんなで僕自身に結界を張り、さらに結界を部屋に張ることで準備万端みたいな顔をしている二人。僕、魔眼の扱い方なんて知らないんですがね?そもそも僕魔力制御を一人でできないんですがね?魔力を枷で放出できないんですがね?


「しんやさん!左目に意識を集中するんだ。」


なるほど?とりあえずやってみよう。左目に意識を、、、


多分だけど未来視であってるっぽいアンスさんが揺らいだと思ったらその揺らいだ位置にアンスさんが重なったからだ。


「グッ、、、」


うん、これはやばい頭痛くなってきた。これどうやって未来視やめるんだ?意識を左目に集中するのをやめてみたら未来視はやめられた。ただ、気持ち悪い、


「ウゲェェェェ」


うん、二十歳の男が他人の前で戻すのはなかなかきついものがある。


晨弥が戻してちょっとつらいとのことなので終わります。

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