6話―「あっという間に1年が経ちました。 らんは小学生、椿は高校生、僕は――になりました。」
こんにちは、腎臓くんです(*'ω'*)
えー、とりあえず今出勤前に投稿しているのですが、さすがに遅刻しそうなので割愛させてください。
ごめんなさいの腎臓くんでした( ..)φ
――あれから1年。
高校を卒業した僕は、先生の友人を紹介してもらい裏口入学で防衛省の「防衛隊員」になった。
本来なら基礎体力及び身体能力が足らずに合格できなかった。
だが、1年の間で先生から紹介された「六教官」の下で働き冒険者資格も取るなら合格して入ったことにしてもいいよ。という条件の下、仮就職が許された。
ただ、これが、もう、ほんとっ……地獄過ぎて、もうっ、ほんとっ……。 チクショウ……。
当初は「冒険省は無理でもギルドに就職して現場で学びながら冒険者資格の勉強をしたほうが早く海に出られるのでは?」
と思っていたのだが、それについて先生がおっしゃるには「民間でやっているギルドの訓練の質は未だまばらであり、染のように身体が強くないのは洗脳されて一生事務仕事をさせられてしまう可能性がある」と言われた。
確かに1年間この業界にいて分かった事だが、ギルド業界には「体育会系脳筋ゴリラ性欲男子」が多い気がする。
彼らからすると、僕みたいに空気に馴染めなさそうなのは事務作業を永遠とやらせておけば大丈夫。 的な扱いをするのが一番いいだろう。
そう考えると、防衛省で良かったと思う。
ちなみに、防衛省と冒険省もタイプ性が違う。
防衛省は「知性系言い訳ッ子男子」が集まり、冒険省には「自分のファンむさぼり喰って逃げちゃうか道端に捨てちゃう系男子」が集まる傾向がある。
やはり、それぞれの環境で仕事に求めるモノが違うので集まる人間の属性が変わるのだ。
だが、僕の所属した「第15部隊前線歩兵隊」には知性系言い訳ッ子男子が集まるとかなんとかじゃない。
この前線にあったのは――知性も品性もクソも欠片も無いただの「生き残る願望」だけだった――。
入隊して3日目。
銃の訓練はもちろん、ほとんど防衛省についてのガイダンスばかりで訓練を一回もこなしていない間に、所属する部隊の教官に浜辺へと連れてこられた。
この人が――「六教官」。
爽やかなセンターパート分けの頭髪にパリッとした大きめの白Yシャツをつなぎの軍服にシャツインしている。
上まで繋がっているつなぎは腰で巻いて教官ぽさよりダル着を着た工場のあんちゃんに見える。
20代前半に見える若々しさがあるが、実は30代後半の煙草が大好きな変なおじさん。
あだ名は「個人単位で無法地帯」。
今まで1000人以上相手にしてきたが、独自のやり方を貫き、この人の部隊で1年間居られたのはたったの10人も満たない。
つまり、それ以外の人間は病院に入院して来れなくなったか、所属部隊を変更して消えたか、防衛省自体を辞めていったかのどれかだ――。
煙草に火を付けて、髪をかき上げてから喋り始める。
「えーっとおまえはー槍ね、おまえはーたーぶーん、デカいから盾。 そこのちっこいのはーうーん、剣ぽいな。 で、女の子のおまえはー、弓な気がする」という適当なはこびで武器を持たされる。
当たり前だが、隊の中に不穏な空気が流れる。
そんな中――爆音で警報音が鳴り響く。
隊員全員が身体をビクッ!と震わせて耳を塞ぐ。
「あっ、来た来た」
呆気からんとした六教官の声と共に、海辺から1m50cm~2m30cmほどのまばらなサハギンが5体ほど水面から顔を出して歩いてくる。
僕たちを喰うためなのか、息が荒く目は充血している。
そして初日の任務で言われた一言、今でも忘れはしない。
「よーし、作戦だ。 とりあえず、あれだー、あれ。 えーっとーまぁ、生き残ってみろ――」
ご愛読ありがとうございます(*'ω'*)