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22話―「3つの災害いるですけどッ!」

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 その後はそれぞれ全員が持ち場から離れ談笑している間、陽帝はコントロールパネルでなにやら操作をしている。

 ここで1つ調整が終わったのだろうか、休憩の切り上げをした。


「では、そろそろ上がりましょうか。 上がる際もインベーダーに襲われる可能性があるので油断せずにいきましょう」


『はい!』


 みんなは気づいていない。

 あれはまるで――子供のエゴが破裂した表情。

 親の愛情が欲しくてたまらず、手段を選ばないで全てをぶっ壊してでもその矛先をもぎとる、そんな表情。


 彼が現在何をしたという訳ではない。

 ただ――僕の「生きたい」って欲求に危険信号を与えた、それだけは間違いなかった。



 潜水艦は1000メートル地点から時間をかけ進み、1500メートル地点に到達した。

 その瞬間だった――。


 バゴンッッ!


 大きな何かが潜水艦に衝突した。

 

 船内は大きく揺らされ全員の身体が宙に浮く。


「500m地点ッ! 巨大な何かに衝突ッ! インベーダーの可能性ありッ! 全員戦闘準備に迎えて下さいッ!」

「ッ――了解ッ!」


 さすがのことに陽帝も動く。


「全員自分の役割に集中をお願いしますッ! 設内望遠鏡から僕が確認しますッ」


 陽帝は直径30センチメートルはある望遠鏡のガラス口からその正体を見定める。

 正体を目の当たりにした陽帝は口を大きく開く。


「うっ、嘘だろ……。 な、なんでこの区域に……」


 とっさにフシロムが叫ぶ。


「陽帝さん! なにかいましたか!」

「……」

「陽帝さんッ?」

「……。 しッ! 至急浮上速度を限界まで上げろッ! 補助は至急灯りを消しッ余波で出ている熱を消すことにとりかかれッ! 敵意をむけさせるなッ!」

『はいッ!』


 潜水艦の浮上速度が限界速まで引き上げられる。

 体験したことのない大きな重力が身体にのしかかる。

 だが、さすがは冒険者を志す者の集まり。

 誰一人一切の狼狽えを見せなかった。


 そして、なにより陽帝から尋常じゃなく垂れる汗がその重力よりも危険なそれを僕達に伝えていた。


「陽帝さんッ! 状況の説明だけください!」

「……。 現在、深海には『3つの災害』と呼ばれるインベーダーがいる。 1匹目、君達がさっき楽しそうに話していたインベーダー。 海華満ちる人魚 『海精霊』(セイレーン)」


 全員が息をのむ。

 そうか、ほんとうに、いたのかっ……。

 喜んでいる状況ではなかったが、ふと口角が上がってしまった。


「2匹目は海を統べる深海の王 異能魔帝王イニグマン

「いに、ぐまん……」

「そして3匹目は――目の前にいる、こいつだッ……!」


 陽帝の言葉が終わった瞬間、潜水艦がまた大きく揺れた。


 次は激しく大きく揺れる。

 重力のおかげで誰もぶっ飛ぶことは無かったが、素の状態であれば間違いなく全員がひっくり返っていただろう。


 次の瞬間――それがフロントガラス前に優雅に現れる。


「――ッ。 ……おいっ、これが、深海かッ……――」


 超巨大な白銀色の大蛇が刃の付いた黒いチェーンを身に纏い、うねるようにグルグルと身体を回転させ海の水を切り裂きながら、潜水艦の周りを囲う。

 眼光は真っ赤に輝くワインような深赤色、龍の如く長い口が大きく開くと全長4メートルはあるこの潜水艦すらも余裕で丸呑みできる大きさだった。

 そんな死をより鮮明に感じさせる威圧感を、陽帝を含め全員に与えた。


 蛇に睨まれた蛙のごとく僕らは何もできずに立ち尽くす。


 また潜水艦を衝撃が覆う。

 同時に浮上機能が故障し、潜水艦の動きが止まる。

 共に強大な重力から身体が解放される。


 そのとき僕は気づいてしまった――。

 その瞬間、冷汗が止まらない。


 この大蛇は今まで攻撃をしてきた訳じゃない。

 身体の一部である、鎖のような刃が「たまたま」潜水艦にかすっていただけ。


 もし――口からむきでているあの鋭利な2本歯で噛みつかれでもしたら、僕らは――僕らはッ――間違いなく死ぬ――。




ご愛読ありがとうございます(*'ω'*)

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