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2話―「はい、そうです。 貧乏家族はお風呂にすら入れません」

こんにちは、腎臓くんです(*'ω'*)


今日の朝ごはんがはらこ飯だったらいいなぁなんて思いながら寝ます( ..)φ



「ただいま~」

「おかえり~! せんにいしゃん!」

「おかえり~。 だいぶ降ってるね」

「うん。 だいぶ強くなったね」


 現在、ボロボロの畳の1Kが僕たち家族のすべてだ。


 僕の家庭にはまだ4歳の弟と中学3年生の妹がいる。

 両親は脱サラを決め込んで冒険者になり、そのまま死んだ。

 僕達を残して。


 ほんとうに笑えない――。



「みんな、お風呂に入った?」

「……」

「……」

「?」


 全員だまりこくり、弟はおもちゃを握ったままうつむいた。


「あ」


 僕は台所の湯沸かし器を押す。

 やはり反応が無い。


「そうか。 ついに止まったか……」

「……うん」


 よく見ればこのワンルームにかけてある妹の制服もびしょびしょだ。

 そうか、洗濯機も止まったのか。


 そう。

 僕の家庭は両親が冒険者になってからほとんど収入がなく、弟の「らん」を作ったらぽっくりあの世に逝っちまったので、どうしようもない程のじり貧なのだ。


 残ったのは収入0円という現実。

 なんとか、市役所に現状を伝え国から支援金をいただいて生活しているが、まだ小さい子供とこれから高校生活を控えている妹がいる家庭には雀の涙ほどの額だ。


 だから――僕は死んでも冒険者なんかにはならないのだ。

 どうしようもない両親の似の前にならないために。

 絶対にっ――絶対にだっ。



「よし! 今日はいっぱいタオルを使っていい事にしよう!」

「え! いいの?」

「うん、いいよ」

「わあぁ~い!」


 雨で濡れた身体を拭いた後、大量のタオルでおいかけっこもしたら楽しい雰囲気で今日を終えることができた。


 ナイス! アイデアマンの僕!


 布団にくるまり就寝につく。

 らんは既に寝息を立てている。

 僕はそんな弟の毛布をかけ直してから自分の毛布にくるまった。


 少し時間が経ってから、隣に寝る妹の「椿」が僕に背をむけながら小声でしゃべりかけてきた。


「あのさ……」

「ん、どうした?」

「私も、就職するよ……高校行かない」


 針に刺されたような痛みがこみ上げる。

 チクリと僕を刺激して少し大きな声に変えた。


「心配するな。 お前は高校に行きなさい」

「でも……」

「いいんだよ。 そんなことお前が心配する必要はない」

「……。 分かった。 ――。」


 最後にかすかな声で「ごめん」と聞こえた気がした。

 椿はボロボロの上がけの毛布をさらに深くかけた。


 その言葉に、その姿に涙腺がもろくなる。


 もう、今年の4月から高校生か。

 本当は化粧したり、オシャレしたり、友達と遊んだり、ご飯食べに行ったり、いろいろしたいんだろうな。

 青春したいだろうな……。


 すまん、本当にすまんな……。

 椿。



 これが、冒険者が就職先になった世界で僕達に落ちた現実だった――。




ご拝読ありがとうございます(*'ω'*)


僕は染が大好きです( ..)φ

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