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18話―「すまん。 降参」

こんにちは、腎臓くんです(*'ω'*)


今日は回転ずしを食べに行きました( *´艸`)

間違って隣の席の人のお皿を食べちゃって、「あの~すみません。 何度も間違えているので気を付けてくたさい」って怒られちゃいました。

僕の母親が……。


僕は腹抱えて笑いましたwww


以上、家族との休日の腎臓くんでした(*'ω'*)



 今まで一方的にやられていたリクルートスーツの小さな巨人が、今度は一撃をお見舞いしてやった。

 そんな場面の切り替わりに観客はドッと湧き、審査員も、テレビの向こう側の人間達も空気の一転を感じ取った。


 広場のテレビで観戦している六教官はにやっと笑う――。



「その天狗の鼻、もげるまでボコボコにしてやるよ。 全力でかかってこい」

「そうか。 やってみてくれ!」


 今度の爆速の速度は違った。

 鎧の内から溢れる筋肉が鎧すら邪魔だと言わんばかりに押し上げ、その爆速をさらに加速させた。


 目の前に瞬間移動したかと思うほど、距離を詰められる染はとっさに盾を構える。

 が――すでに時遅し。

 一瞬で背後に回られ腹部に剣を叩きつけられる。


 ドスッッッ!


「グッふッッ!」


 馬鹿ッはえェェェッッッ!


 またもやぶっ飛ぶと誰もが予想したが、染はその剣の衝撃をこらえ浮いた身体を空中で回転させ剣を思いっ切り韋駄天の顔に叩きつける。


「ウラァァあアアアッッッ!」


 染の振った剣は韋駄天には届かずもう片方の剣でいなされてしまう。


 ッ!


 韋駄天は腹部に当てた剣を次は染の顔めがけ振り切る。

 それをギリギリでかわす染。

 余裕ができ、とっさに次の攻撃に移ろうとするが既に韋駄天の前蹴りが胸部に飛んできていた。


ドスッ!  バァッン!


 まるで銃撃を受けたような音と共に転がる染。

 息が切れ視界がぼやける。


「どうした。 口だけか?」

「ハァハァ。 いや、まだ余裕……です……」

「そうだったか。 失礼した」


 またロケットのように飛んでくる韋駄天。

 試合を開始してからずっとこの繰り返し、防いでも離れても圧倒的実力差が一向に縮まらない。

 だが、1回は無意識に防いだあの拳。

 多分剣をくらってもぶっ飛ぶ理論は同じ。

 何回も受ける中で染には『ぶっ飛んでしまう理由』がつかめてきていた。


 次は一か八かの『理論検証』――最大撃のカウンターを出す。


 韋駄天が染の目の前にまたやってくる。

 振り上げた両手剣を染の頭上から振り下ろす。


 染は呼吸を整え、身体の力を抜き盾で受けた瞬間に腰を軽く落とした。


 ドスゥッッんッ!


 んッ?



 ついに――韋駄天の勢いは止まった――。



「ハァハァ、『衝撃波』ってところですか? 韋駄天さん」

「まさか、攻略するとはっ……あははははは!」

「次は、こっからッ! ですよッ!」


 この子。

 自分の耐久値を利用して少しずつ私を分析していたのか。

 ……。 六くん。 この子は――。


 空いた片手剣で韋駄天を真正面から叩き切る。

 もちろんこの程度では剣でいなされてしまう。

 が――片手剣がいなされた瞬間、剣から手を離し韋駄天のむなぐらを掴む。


「やっと捕まえたッ……ゴキブリがァっ」


 驚く韋駄天は瞳孔を大きく開く。

 染を大きく振りかぶり、そのまま盾で韋駄天の顔面を殴りつける。

 直撃した韋駄天は鼻血を出しのけぞるが、染の掴んだ手がそれを許さない。


「ウラァァあアアアッッッ!」


 何度も殴りつける。

 素早く何度も。

 5回、6回、となったとき何かが腹部を貫いた。


 ドスゥッッ!


 鉄よりも、鋼よりも固い拳が染のみぞおちを衝撃波で貫いたのだ。

 全身の神経がイカれる。

 染は白目になり、膝が崩れる。


「いやぁ~……強かったよ。 いや、強すぎるくらいに」


 もう足に力が入らない染。

 吐き気にめまいに身体のあっちこっちが傷だらけで、もはや肩から先は痺れて感覚が麻痺している。

 唯一の希望は韋駄天を掴んだ手だけは離れていないこと。


 染を見下ろす韋駄天にまた盾を当てる。

 今度はほとんど力が入っていないため殴っているというより触っているに近いだけ。

 でも――それでも――染は試合を放棄しなかった。


「まだ……やり続けるかい」

「……」


 その言葉を無視して――いや、最早聞こえていないまま飛んだ意識が染を咎めボロボロの盾で叩き続ける。


 韋駄天は頭をぽりぽりかいて溜息を吐いた後、剣を放り投げた。

 そして――染を抱きかかえ片手を上げる。



――「すまん。 降参」



 会場が理解できず一瞬で静まりかえる。

 開始の合図を出したMCがおどおどしながらマイクで問う。


「あ、え。 ど、どちらがでしょうか」

「私だ」

「えっ?」


 まだ状況が分かっていないようだ。

 それを察したのか演技こみで本心を話す。


「いやぁ~、まぁ~だってなぁ~。 これ以上危害を加えたらこの子死んじゃうし、でも盾でめっちゃ叩いてくるし、割と痛いし……。 あはははははは。 無理ゲー」

「……。 あ、えっ、あ、で……では、よろしいのですね?」

「うん。 ありがとう。 ほんとうに、ありがとう」


 そう言って観客と審査員に頭を下げ、テレビカメラの方にも頭を下げた。

 そのまま染を抱きかかえ医務室の方へ歩いて行った――。




ご愛読ありがとうございます(*'ω'*)

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