11話―「え、え? まじか。 オマエいんのカヨ」
こんにちは、腎臓くんです(*'ω'*)
本日は定休日でゆっくりまったりできました( ;∀;)
料理をしようと思ったのですが、身体がなんらかのバグを起こしてはま寿司に連れていかれました。
非常に美味しかったです(*'ω'*)
以上、腎臓くんでした(*'ω'*)
広場には大柄なゴリラのような男から小柄な少女、仮面とフードを被り中二病宣言しているような受験者が100人ほど集められていた。
リクルートスーツで来ている染を見てほとんどの受験者が「ん? ん?」と2度見したのは言うまでもない。
そんな染の状態を感じ六教官が距離をとったのも言うまでもない。
そんなことを知らずに染は広場を見てワクワクしていたのも言うまでもないだろう。
全員を目の前に曲がった腰を気にしながらゆっくり歩いて来るおじいちゃん。
そう、この男がこの世界に「冒険」を持ってきて『冒険者社会』を作った男。
「未不可 全」だ――。
「よっこらしょーいち。 えー、おはよう。 わしが未不可全じゃ。 この冒険省の全管理をしておる。 これから友達になるからよろしこね!」
誰一人笑わず地獄みたいな空気が流れる。
「え。 ……。 よろしこね!」
「……」
受験者同士お互い顔を見合わせて「おい、誰か反応してくれよ」的な空気が流れる。
「んッんん。 まぁそんな堅くならないでほしいぞ。 今日からの試験は1週間にわたって行う。 簡単に2つ、個人戦とチーム戦じゃ。 個人戦は2回戦まで行いそれぞれの戦闘力を見る。 チーム戦はその名の通り協調性を持って共に戦えるか、深海ではどういう役割で最大限パフォーマンスをするかを審査する。 そのときの注意点はもろもろ伝えるが、こちらで危険と判断した場合は残念だがその場で帰ってもらう。 ここまでよいか?」
『はいッ!』
「うん。 そしたら個人戦をすぐに開始するぞ。 それぞれ闘技場で戦ってもらうため番号の付いたカードを引いてもらう。 その番号と一緒の者が一回戦目の相手じゃ。 ここで負けた者には悪いが帰ってもらう。 よいか?」
『はいッ!』
「うん。 じゃあ後はよろしこね! 陽帝くん!」
ん?
どっかで聞いたことあるぞ。 そのクソみてぇな名前。
「はいッ! 後はお任せ下さいッ!」
未不可に向かって敬礼をビシッと決める長身のイケメン。
全員の目の前に立ち全体の指揮を執る。
「それではせんえつながら私がこの場を仕切らしていただきます。 陽帝 英雄と申します。 よろしくお願いいたしますっ!」
ウワっ……、オマエカヨ。
まって――。
こいつが指揮するってことは僕、不利じゃないか?
最悪じゃん……。
『はいッ!』
僕以外の全ての受験者が元気よく挨拶をする。
「では、早速受験者の皆様にはカードを引いていただきます。 このボックスの中に手を入れ一枚お選びください。 もちろんこちらの八百長を無くすためにもこういった形式にさせていただいております。 では、1人1人回りますのでその場で待機して下さい」
陽帝はそれぞれの受験者の下に足を運びながらカードを引かせていく。
だんだんと僕に近づき顔を見合わせる。
小声で挨拶を交わす。
「合格おめでとう。 染くん」
「……」
なんだこいつ、記憶障害か。
まるであのことを忘れているみたいな言い方だな。
すると陽帝は真顔になりその場で謝罪し始める。
「あのときは本当にすまなかった。 あの頃の僕はどうかしていた。 この冒険省で人に見られる立場になってからようやく僕の人間としてのダメさが認識できた。 ほんとうにすまないことをした。 許さないと思うけど詫びだけは入れさせてくれ。 ほんとうにすまなかった……」
今回は口が二つ付いていない。
どうやら本気なのか?
いや、こいつの事だ。
心の底では笑ってんだろうな。
「いや、別に。 お気になさらず……」
その言葉で陽帝は悲しい顔になるが僕は気にも留めなかった。
「あ、あの! よかったら君の実力に合う受験者を選んできた。 君のことは実力があると噂で耳に挟んでいたから弱い受験者を選んだらプライドが許さないだろう。 だから、よかったら受け取ってくれないか?」
ボックスの下からこっそりとカードを出す。
はっ?
こいつなにやってんだっ!
そんな八百長まずいだろ!
というか、さっき自分で「八百長は~」とか偉そうに喋ってたろッ。
僕は視線をカードに向けてから陽帝に向ける。
陽帝の目からはどこか引け目があるように感じた。
「許されないとは分かっている。 ただ、この試験を合格できたら潜水艦の試験だ。 その際に僕が合格するまで誘導する。 そしたら僕のチームで一緒に戦ってくれないか。 君のその実力を買いたいんだ」
その言葉に心が揺れる。
このクソ野郎は自分の負を認め僕を必要としている。
よく考えれば、たしかにたった一言言われただけ。
その程度も許せず人生なんか生きていけないことは知っている。
ただ、そう簡単に人間は変わらないことも知っている。
どうする、どうする、どうするんだっ僕ッ!。
冷汗が頬から流れ手汗が噴き出る。
ゆっくりと僕はカードに向けて手を伸ばす。
そして――カードを押し戻した。
「分かった……分かったよ。 あのことは許すよ。 僕もあれから1年が経った。 いつまでも根に持っては成長できない。 だから、許すよ……。 でも、正々堂々この試験を受けさせてほしい」
僕は真顔で返答した。
「そうか……」
そう言うと陽帝は僕の手の平をグッと押し無理矢理カードを掴ませる。
んん?
「ちょっ!」
「合格楽しみにしているよ! 染くん!」
陽帝は軽く微笑みそのまま次に進んだ――。
陽帝ではない他の冒険者がMCをやり始めた。
「えーっでは! 対戦発表を行います。 1回戦目――防衛省からやってきたひょっこりスーツのお人ッ! ブフっ。 黒糸 染ッ!』」
ちょっと待って。
こいつ一瞬笑わなかった?
それに、ネーミングダサくない?
染は赤面しながら全員の前に出る。
周りからは「うわっ、ぜってぇよえぇじゃん」「……まじでスーツで戦うんだ。 舐めプすげぇぇ……」と受験者の声がひそひそと聞こえる。
「えぇ~、対戦相手はッ! 大手ギルド『キング』にて新人賞を総なめ! 幼少期から柔道の大会を8度にわたり全地区優勝! おまけにご両親は冒険省の元超人気冒険者ッ! 才能に溢れに溢れた名言は『もう目標がない』ッ! 身長3m30㎝ッ! 体重280㎏! 第8地区生まれの狂戦士ッ! キングコングの異名を持つ最強の新人ッ! その名はアバランッッ!」
明らかに僕とは人種が違う巨大過ぎる肉体を持った怪物が歩いて来る。
対面して分かる。
この化け物感。
背中にしまう木製アックスが赤子のように小さく見える。
僕は震えながら陽帝を見る。
陽帝は口パクで――。
「ハ・ヤ・ク・キエロ。 ゴ・ミ・クズ」
――クソがァァァァァァァァァッッッああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
ご愛読ありがとうございます(*'ω'*)