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装備品の購入

 少し歩いて、剣と盾が描かれた看板の建物に入る。ギルドに一番近い店で、ギルド程ではないが大きい建物だった。

カランカランと来店を知らせる音が鳴り、店員の少女が来店者に気付く。


「いらっしゃいませ。何をお探しですか?」


「…何か着るものをください…」


 買うものを決めていなかったことを思い出し、今一番欲しいものを正直に伝えた。


「ええと、鎧とかローブとか、そういうものはこちらです。」


 少女は入口の正面にある階段を昇って行った。雑にまとめて樽に入れられた剣や、壁に掛けられた弓などを見ながら付いていく。高級そうなショーケースに入っている杖や、模様のような文字の並ぶ布に巻かれた斧らしきものもあった。


どうやら二階は防具、一階は武器という風に分けてあるみたいだ。


鎧やローブなど、胴体に装備するものが並んでいる場所に着いた。


「手前が軽装備、奥が重装備になっています。手に取れるものは試着が可能ですのでお試しください。サイズの調整は購入後にお申し付けください。」


 そう言うと少女は一階へ戻っていった。


 奥に見える鎧はどれも重そうだ。金属製のものや鱗のようなものでできたのもあるが、多分合いそうにない。やはり軽装備が良いだろう。というよりは早く普段着として使えるものが欲しい。

そう、例えばこの服なんか良いのではないだろうか。


タグの説明を読んでみる。


 鉄製の防護服

見込み修正値  防御+25 敏捷-2

値段 1シルバー

制作 セーラ

説明

 鉄製の板を胸、腕、背中に仕込んだもの。

 動きやすさを重視し、重量的な問題から鉄板は基本的な軽装に使う物よりも薄くなっているため攻撃を鉄板で受け止めようとしないほうが良い。

 着心地は悪くなく、整備も簡単。


 試着するまでもない。購入確定だ。

早速これを一階の会計所まで持っていく。


「これをください。」


「はい、銀貨一枚になります。」


 早速銀貨を取り出し払おうとしていると少女はいつの間にか、ズボンのようなものを持っていた。


「お客様、こちらの防護レギンスはいかがでしょうか。こちらの防護服と同じ製作者のもので普段使いする人もいらっしゃいます。整備も簡単です。」


「じゃあ、それもください。あっ、値段は?」


「こちらも銀貨一枚になります。」


 ということで銀貨を二枚取り出し、渡そうとすると今度は金属で補強された、木製の僕の背丈ぐらいある棒を持っていた。何か模様も入っている。


「お客様、こちらの長棒もいかがでしょうか。初級刻印が入っているため攻撃と防御だけでなく魔力にも補正がそれなりにかかります。お値段は銀貨二枚になりますが、損はしませんよ。」


「…じゃあそれも。全部で銀貨四枚ですね。」


 すると少女はレジ下からバックパックを取り出した。


「お客様はギルドに登録したてかとお見受けします。靴やバックパック、グローブはお持ちですか。

補正値は他の部位と比べて小さいですが、あるのとないのでは冒険時の生存率が大きく変わります。

そのためこちらのおすすめセットをお勧めいたします。革製のグローブと靴、リュックサック、ベルトポーチとおまけに装備の整備用品がはいって銀貨一枚です。初心者限定ですよ。」


「…わかりました。」


 少女に銀貨の入った袋ごと渡した。少女は嬉しそうに、袋の中身を確認せずに受け取った。


「剣コーナーの奥に着替えるための部屋がございます。サービスとなっていますので是非ご利用ください。」


 軽く会釈してその部屋に向かい、タグを外してから装備した。


 鉄製の防護レギンス

見込み修正値  防御+10 敏捷-1

値段 1シルバー

製作 セーラ

説明

 鉄製の膝あてのついたもの。

 鉄製の防護服とセットで使うことを想定したため、防御よりも敏捷を重視している。

 着心地は悪くなく、整備も簡単。


 木、鉄製の刻印入り長棒

見込み修正値  攻撃+25 魔力+15 防御+10

 (内刻印補正 魔力+5)

値段 2シルバー

制作 ナタリー

説明

 木製の長棒の両端に鉄製の部品を取り付けたもの。

 初級の刻印が魔術の補正と滑り止めとしても施されている。

 木製の部分がほとんどな為、濡れたまま放置しないように。腐ります。


 バックパックに入っていたベルトポーチや手袋、靴もすべて装備してみる。

ベルトポーチにギルドでもらった回復薬や道具をセットし、バックパックに本をしまい、長棒をホルダーに刺して軽く固定する。


 ローブだけの時と違い、安心感がある。少し動きづらい感覚があるが、それがまたうれしい。

気分的には知恵の実を食べたアダムだ。今からまたローブだけ着ることになったら耐えられないかもしれない。


 ローブを上から着て部屋を出る。そして店の出口へ向かう。

扉に手を当てたところで、


「ご利用ありがとうございました。」


 と声がかかった。彼女は人としての尊厳的な意味で命の恩人である。

振り返り、軽く頭を下げて、町に出た。


 さて、次はどこに行こうか。


 目的地は決まっていないのに、少年の足取りは軽かった…




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