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宿屋二日目

/『イニサル町付近』夜/






 帰り道の途中からすっかり光は遠ざかり、星々は鮮やかに輝き始めた。静かな道で、計6体分の魔物焼き肉をどうしようかと考えながらもイニサル町の門に着く。




 紛れ込む魔物や忍び込む悪人が来ないかと警備している衛兵に挨拶をして、灯りの下で朝に貰ったメモを取り出す。




 メモには手書きの地図と宿屋の名前が書いてある。


『せせらぎの畔』という宿屋が住宅街ではあるが商店街に近い場所にあるようだ。




 依頼の報告は後回しに今日の寝る場所へ急ぐことにしよう。あまり遅いと迷惑になるかもしれない…






 冒険者たちの酒盛りの声が漏れる商店街を抜け、静かに灯りが零れる住宅街を歩き、『せせらぎの畔』と書かれた看板が扉にかかっているのを見つけた。




 扉を開けるといくつかのテーブルが並び、奥で今朝の衛兵の人がジョッキを片手にカウンター越しに女性と話をしていた。




「しかし、どこから来たんだろうなぁ。飢饉が起きたって話も聞かないし、家出にしては躊躇いがない気がするしなぁ」




 木のジョッキを持ち上げて中の酒を揺らしている。




「そうねぇ…小綺麗なローブ着てたってことはお偉いさんの子なのかしらねぇ。」




 カウンターの上に開かれた帳簿を確認している。


 どちらもまだこちらには気づいていないようだ。カウンターまで移動しよう。




「確かに、頭は良さそうだったなぁ。でもそれなら尚更連絡が来ないのがおかしいんじゃないか。いつもの家出娘のだって毎回連絡が来てる。」




 言い終えるとジョッキを大きく傾けて飲み干した。




「いま噂の稀人だったりするのかしらね…あら、お客さんが来てたのね。いらっしゃい、部屋は空いてるよ。1泊500ブロンズ、食事は別料金ね。」




 視界に入って気づいたのか、衛兵とその女性がこちらを向いた。




「おっ、来たか。こいつが例の子だよ。一昨日くらいに冒険者ギルドに登録したばっかなのにちゃんと依頼をこなしてるみたいだな。」




 その妙齢の女性はこちらをしばらく見た後、一つうなずいた。




「…うん、良いよ。まあ任せられるのは掃除と力仕事ぐらいなんだけどねぇ。一応確認だけど働きに来たってことで良い?」




「はい。泊まり込みで働いて良いと聞いて伺いました。エイレ・フィロネイアと申します。よろしくお願いします。」




 自己紹介は意思疎通の基本だ。




「あたしはマイアだ。そこのブライアンの嫁をしてるよ。それじゃあ上の階の一番奥の部屋に荷物を置いてきな。まずは洗い物からだよ。」




「はい」




 そこにいるのがブライアンさんで、この人がマイアさんというようだ。さあ、労働の準備をしに行こう。




「頑張れよ坊主、うちのかみさんは人使いが荒いからな」




「うん?あんたの部屋も客室にしたっていいんだよ?」




 /


 心なしか嬉しそうに階段を上る白いローブを横目に、女店主は考えていた。




「おいおい、そしたら俺はどこで寝ろってんだよ。」




 衛兵の男は酔った体を椅子に預けている。




「ここでいいじゃない、一泊一シルバーで。いやそんなことは良いんだよ、それよりどうしようかねぇ。」




「何を?」




「給料とか休みとか、冒険者ギルドもやっているんだろう?」




「ああ、まあ休みに関しては本人に聞けばいいんじゃないか。給料は…分からん。まあ俺の小遣いに影響が出なければいくらでも良いと思うぞ。」




「まあ、そうねぇ。忙しい時に雇ってたのと同じ金額にしておくかね。後は働き次第ってことにしよう。どんくらい働くかも分からないし。」




 住宅街寄りの宿屋なので普段は混雑することがないが、旅行ブームなどで急に部屋がいっぱいになることが稀にあり、そのときは冒険者ギルドや身内から臨時で人を雇うようだ。




「そうだな…いやあ、バイトとは言ったけど泊まる場所を貸してやるつもりだったんだが邪魔だったかもなぁ。」




「また変なこと気にして…本当に嫌なら断ってるさ。ま、これから嫌になるかもしれないけどね。そんときはサボるように言ってやんな。」




「おう、そうするよ。」




 衛兵は立ち上がって自室に戻っていった。


 それと同時に階段を降りる音も聞こえてくる。




「さて、使えるようにしてやらないとねぇ。」




 /




 荷物を適当におろし、二階から一階に降りるとカウンターの奥に立っているマイアさんを見つけた。




「今戻りました。」




「よし、それじゃあ今日は洗い物を覚えてもらうよ。灰汁を使うときもあるけれど、基本はこの洗剤をスポンジに染み込ませて使うよ。で、洗い終わったらこの棚にかけておくんだ。じゃあ今日の分をやってみな。」




「了解です。」




 腕まくりをして、マイアさんの隣に立つ。木の桶で薄い黄緑色をして、草や土の匂いがする洗剤に茶色いスポンジ、何か魔物の一部なのだろうか、それを浸し、シンクの中に積まれている鍋や皿を適当に洗っていく…




「汚れの少ないものから洗うようにしな。よし、そうだ。あ、刃物には気を付けるんだよ。血で汚しちゃ仕方ないからね。」




 …




「うん、洗い残しはないね。丁寧なのは良いことだよ。別に急ぐ必要はないんだ、睡眠時間が減るだけだからね…いや冗談だよ。寝不足じゃうまく稼げないからね。」




 …




 思ったよりも早く洗い終わった。シンクの中は空で、スポンジも洗った。乾燥棚には食器が並んでいる。




「よし、ばっちりだ。手はこの布で拭きな。さて、一つ確認なんだけど冒険者ギルドはどうするんだい?」




 冒険者ギルドに行く必要はなくなった。この世界を知るにはちょうど良い場所ではあるけれど、安定した生活の方が優先されるだろう。




「そうですね…ここで働ける間はこっちに専念しようかと。」




 セレ姉やライラさんには良くしてもらったから、申し訳なさがあるが…




「…いや、駄目だね。折角装備も買ってあるんだ。どうせなら冒険者ギルドもやれるだけやらないと勿体ないよ。うちの手伝いは月火水の週3で良い、そんなに忙しい店でもないしね。」




「ありがとうございます、マイアさん。」




「良いんだよ、別に奴隷が欲しいわけでもないんだ。ただその分、しっかり働いてもらうから気張りなよ。じゃあ今日の仕事は終わりだ、もう遅いし早く寝な。明日も仕事はあるからね。」




「はい、おやすみなさい。」




「うん、おやすみ。」




 階段を上り、自室に戻って寝る準備をする。廊下は暖かな光で照らされていた。




 気を使わせてしまった。けれどそれでも、ありがたかった。


 確かに、冒険者ギルドも続けたい気持ちもそれなりにあったのだ。自分で始めた事でもあるし、知らない場所を行く感覚は良いものだった。




 やはり、ここに来て良かった。マイアさんは良い人だ。もちろんブライアンさんも。いつか、恩返しができるように頑張りたい。




 そんなことを考えながら装備を外し、ローブだけ着てベッドに入る。柔らかく軋み、夜の寒さは無かった。




 そういえば、昼間に狩った素材はどうしようか、捨てるにはもったいない。明日はどんな仕事をするのだろうか、しっかりと役に立てるだろうか…




 静かな夜は更けていく…










 身体を貫く強い衝撃、火に触れているかのような熱、喉が詰められたような窒息感、ガタガタと勝手に震える体、襲い掛かる恐怖、湧き上がる悲痛と激情。




 熱い、熱い!熱くて苦しい!息が出来ない!熱いはずなのに体が震える、寒気がする、苦しい、おかしい!なんで、なんで、なんで、不当だ!不条理だ!理不尽だ!こんなの認められない!助けて!ふざけるな!誰か!許せない、許さない、許せない!嫌だ、こんなの嫌だ、許さない、殺してやる!あああああ!




 誰かが叫ぶ。その声は聞こえないのに叫んでいることが分かる。しかしその違和感をそのままにしてしまうほどの焦燥感がある。理由は分からないが、早く何とかしなければ、という強い感情だけがある。けれど、どうにかする手段などなく、仮にあったとしても既に手遅れだ。だというのにこの焦りは強まるばかり。どうにかしなければ、気が狂いそうだ。何をすればいい?何をしたい?何が要る?何故だ?何故だ?何故?




 焦りが膨らむ中、微かな理性でふと気づく。




 見下ろす自分の体を槍のような根が貫いていることを。


 血液が漏れだし、意識が薄まっていくことを…




 ああ、そっか。叫んでいたのは私だ。








 …窓から日が差し込み、外だけでなく部屋の中までもが朝の光でいっぱいになる。朝が訪れた。




 瞼越しの明るさで目が覚めた。布をどかし、ベッドから出る。そして、外していた装備を身に着け、窓を開けてみると、他の建物のドアや窓の開く音や鳥のさえずりが聞こえてきた。


 静かで、明るい始まりの朝だ…




 部屋を出て1階に降り、身体を拭くようにと桶と布を渡され、裏手の水道で身支度を整えた。朝食にパンとスープを貰い、衛兵のブライアンさんが仕事に行ったあと、マイアさんは店を開けた。




 さあ働こう、生きるために…








 その日は仕事を教わりながらこなし、時々、お客さんやマイアさんと会話をしながら店を手伝った。客足は多くは無いが閑古鳥が鳴く程でもなく、緩やかな時間が流れていた。指示を受けながら働いていれば、いつの間にか一日の大半が終わり、日が沈みかけて客足も途絶えた頃にこの前狩った肉も食べつつ夕飯を頂いていた。




「今日はあと食器洗いと…いや、それだけ頼むよ。やっぱり人手が増えると仕事が少なく感じるね。」




「分かりました。早く仕事を覚えないといけませんね。頑張ります。」




 使った食器を持って洗い場へ行く。そして、洗剤の桶とスポンジを取り出して食器洗いを始める…




 …最後に入れられたジョッキまで洗い終わった頃には、外はすっかり暗くなり、ランプの橙の灯りが部屋を照らしていた。




「よし。終わりました、マイアさん。」




「うん。じゃあ今日の仕事は終わりだ。おやすみエイレ。」




「はい、おやすみなさい。」




 マイアさんは帳簿を書いていたようで、夜の挨拶を言い終えると振り向いていた顔をすぐにまた台紙へと向けていた。




 ここも2日目で仕事にも慣れてきた。まだまだ覚えることはあるのだろうが、とりあえずは明日のために寝よう。




 自室に戻るために階段を登ろうとしたところで、


 ゆっくりと扉の開く音が静かな夜に響いた。


 当然音の方を注目してしまう。




「悪いけど夕飯はもう出せないよ。部屋は空いてるけど…うん?」




 扉を開けたと思われるのは少女だった。


 暗き夜闇を背にただ立っていた。


 深緑の長髪にボロボロの麻のチュニックを着ているが、なにか人ならざるものの雰囲気を感じる。


 背丈は自分と同じか少し高いぐらいだろうか。


 やや不健康そうにも見える白い肌、前髪の隙間から覗く瞳は紅く光り、首に提げたネックレスの石もまた紅く煌めいていた。


 細い腕には黒い蔦が這い、その両手の指先は赤黒く染まって滴っている。




「な、なんだいアンタ!?」




 紅く輝く瞳がマイアさん、そしてこちらを捉えたあと口を開いた。




「…なんで、私が…私だけが…それなら…こうしても…オカシクない…でしょ…」




 黒い蔦は蠢き出し、憎悪を感じる目つきで睨んでいる。


 急いでマイアさんの居るカウンター前に立ち、呆然とする彼女に声をかける。




「マイアさん!ブライアンさんを呼んでください!早く!」




 戦闘だ。




「死ンで!」




 少女が右腕を前に突き出すと袖から蔦が刺すように伸びてきた。


 反撃する。


  そもそも攻撃の手段がない。蔦を殴ったところで意味はあるだろうか。


 受け止める。


  素手で受け止めるのは難しいだろう。それに、蔦が同時にいくつ来るかも分からない。


 回避する。


  時間さえかければブライアンさんが来てくれるだろう。そしてなによりこれぐらいしか取れる手段がない。




 右に飛んで回避する。


 槍のように来る蔦は、ぎりぎり身体には当たらなかったが後ろのカウンターに突き刺さり、指程の穴を開けていた。


 射程範囲はどれくらいだろうか。


 彼女は未だ入口に立ち、自分はカウンターの前に立っていた。ということはその蔦は大人2,3人分は伸びるようだ。


 ひとまず、もう少し距離を取っておくべきだろうか。例えあの槍のような蔦が無限に伸びるとしても離れるだけ避けやすくはなるだろう。




「ヨけないで!」




 ズズズ…と地鳴りのような音が聞こえる。少女はこちらを睨んでいる。すると、今度は両腕をこちらに構える。次の攻撃は凌げるだろうか…




 机を倒して遮蔽を作るか、ローブを投げれば目隠しになるだろうか、カウンター裏に隠れればダメージは少ないだろうか、部屋奥の台所まで行って今からでも武器を取りに行くべきか、それとも…




 思案していると布が勢い良く擦れる音が鳴り始めた…来る!




 一本目が見えた、左へ足を踏み込む。


   二本目が見えた、半ば跳ねるように左へ向いて逃げる。


    三本目が見えた、もう一度跳ぶ。バキッと床に蔦が刺さる鈍い音が聞こえる。


 攻撃は目視せずにただ走れるだけ走る。一、二、三、四、五回と蔦が次々に床やカウンターに刺さる音が鳴り、それはどんどん近くなる。


 弾け飛んだ木片が頬を掠めていく。


 壁もまた近くなる、が、音が止んだ。自分の早くなった脈拍と少しの苦しさを感じる。


 足は止めずに相手を見ると、腕は少し下がり、顔は俯いている。赤い瞳はこちらを殺そうと未だ睨んでいるが、しかし肩で息をする様子も見られる。




 彼女の様子を見るに、あの蔦のようなものを伸ばす攻撃は疲れるようだ。


 しかし、何故こちらに踏み出してこないのだろうか。あの華奢な体から考えると近距離戦が不得意なのかもしれないが、しかし近い方があの攻撃も当てやすいだろう。


 また、あの攻撃が来る前に時間を稼がなければ。


 状況を認識して言葉を発している以上知能があり、対話は可能かもしれない。


 今のうちに次の回避に備えるべきか。


 何か攻撃の手段を探すべきか。




「ハァ…ハァ…貴女は一体誰なんですか?…話をしてくれませんか?」




 すると彼女は一度歯を食いしばり、より目を鋭くした後、まるでひたすら叫び続けた後のような嗄れた声を発した。




「ゥるさいッ!死ね!」




 怒らせてしまったかもしれないが、時間稼ぎにはなっているだろう。そしてどうやら会話は可能なようだ。返事があるということは対話を必要と思っている部分があるのだろう。




「ハァ…、僕たちを殺してどうしたいんですか?何か養分にしたり、供物にしたりするつもりですか?…それとも僕たちが貴女に何かしましたか?」




 息も整ってきた。しかし、両足の疲労感は少し残っている。




「関係なイ!おまえは殺される!黙れェ!」




 すると突然足元に振動を感じた。ほとんど反射のように体を後ろに跳ねさせる。




 眼前を風きり音と共に蔦が通り過ぎる。


 と同時に左右から挟み込むようにまた襲いかかる。


 後ろへの勢いのまま倒れるようにしてなんとか回避する。




 次はどうする。まず体勢を戻すか、それともそのまま追撃に備えるか、なにか反撃の手は無いだろうか。




「うぉぉおおおらあっ!」




 急に男の声が響き、少女の身体へ棒状のなにかが突き刺さる。


 槍のようだ…ということは、どうやら間に合ったみたいだ。




 後ろを見るとブライアンさんが寝巻き姿で立っていた。腰に剣を携え、片手にはまた槍を持っている。




「大丈夫か坊主!」




「ええ、生きてます」




「邪魔するなァ!」




 よく見ると少女は身体を蔦で槍から庇っていた。反射的なものだろうか。


 槍の刺さった蔦から槍を引き抜き投げ捨てる。




 衛兵をしている彼はすかさず前へ駆け出す。


 当然それを迎え撃とうと少女は両腕を前へ掲げる。




「腕から蔦が来ます!ここまで1秒少しの速さです!」




「死ンで!」




「なんのこれしきぃっ!」




 放たれた1本目と2本目は槍で打ち払い、3本目は槍を投げて止めた。間合いまであと一歩のところで4本目は腰の剣を抜く動作とともに切り払い、その軌跡を逆になぞって魔物の身体を切りつける。




「ガああアアッ!」




 迅速な攻撃から慌てて身を庇うように伸びた蔦に止められることなく刃は振り抜かれ、黒い液体が血のように飛沫を上げる。




「ウウゥ…」




 負傷した魔物は呻き声をあげ、赤い眼光をこちらへ向けつつも怯えたように夜闇へ逃げていった。


 地中を何かが這うような音ももう聞こえない。


 戦闘終了だ。




 するとマイアさんが駆け寄って抱きしめてきた。




「大丈夫かいエイレ、怪我は?」




「はい、何とか無事でした。怪我もしてないと思います。」




「…はあ、良かった、良かったよ…一緒に逃げるべきだってのに、頼っちまったから…」




「一応自分も冒険者ですから。ああ、それと、ブライアンさんを呼んでくれてありがとうございました。ブライアンさんも、助けてくれてありがとうございます。」




「いや、これが仕事だしなぁ。とりあえず無事みたいで良かった…いや本当に。出来たら嫁さんと逃げて欲しかったが、そうもいかなそうだったみたいだし、よくやった。」




 ひとまず、一件落着だろうか…




「大きなけがはないようだけど、擦り傷とかはあるかもしれないから一応見てみよう…ねぇ…」




 抱擁を解いたマイアさんが立ち上がり、動きを止めた。その視線の先にはほぼすべての机や椅子が砕け、折れ、崩れており、床やカウンター、壁や天井にまで傷や穴があり…一言で言うならば、見るも無残な姿であった。




「マイア…明日は俺も休養で家に居るから、いっしょに片付けるから…あー、その…また、買えばいいさ。な、坊主もそう思うだろ!」




「…そうですね、命の危険があったわけですし。宿泊のお客さんに怪我がないか、明日の朝食とかは出せるか、確認して、あと壁とか机の修繕にかかる費用と時期と、がれきの撤去と、倒壊の危険性が生じてないかの検査と…あっ、いやいやともかく、無事だったんですから、これからがありますから!





「あぁ…私の店が…せせらぎの畔がぁ…ブライアン…ミラ…うう。」




 あのマイアさんが泣いている…少し意外だが、無理もないだろう。商売人にとっては商品は子供のように大事だという。それにここは家でもあるのだから尚更だろう。




「おお、よしよし。とりあえず今日は寝ような、明日になったらなんとかしよう…坊主も今日は疲れただろ、寝とけ…じゃ、おやすみな。」




 ブライアンさんはマイアさんを慰めながら自室へ戻っていった…




 ふむ、確かに少し疲労感はあるが…どうせ後々やるのなら、やれるときにやってしまえばよいだろう。


 


 まずは、ごみを片付けるところからだ。段々と鳥や虫の声も聞こえてきた。静かな夜に働こう…



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