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魔王城

 俺たちは、魔界の異様な圧に耐えながらなんとか魔王城の内部へとたどり着いた。


「みんな着いてこれているか?」

「大丈夫」

「大丈夫です

「大丈夫かな」

「大丈夫だね」


 一人でも脱落者が出ないように俺たちはこんな風に定期的に点呼をとっている。


 魔王城は、守護者のいるダンジョンのように迷路な入り組んだ構造はしていなかった。


 むしろ、その逆。ただただ真っ暗な空間に真っ直ぐな一本道があるという単純な構造になっていた。


 ただそれが逆に俺たちが前に進んでいるのかを迷わせ、不安にさせた。


「ねえこの道前も通らなかった?」

「いや、そんなことはないはずだ。きちんと前に進んでいる……はずだ」


 こういう一本道のお決まりとして、実は進んでいるように見えて元の場所を行ったり来たりしているという

ものがある。


 それを危惧しての心配なのだろうが、そうであったらお手上げだ。


 ただ冒険というのは常に最悪の事態を想定して、動くべきだ。


 ならば、何かしらの対策をとって行動をすべきだろう。


 ありきたりだが、こういうときによくとられる対策といえば──。


「おい、皆今からパンクズを床に落とそうと思う」

「え! 貴重な食料ですよ? もったいなくないですか?」


 ルリが至極まっとうな疑問をぶつけてきた。


 少し考えて、レイが俺が考えている意図に気がついた。


「なるほど、そのパンくずを目印にしようという考えだね。シンプルだけど悪くない発想だと思う」

「だろ? 反対のものはいるか?」


 俺は皆に意見を求めるが、誰一人反対を言うものはいなかった。


「よし決まりだ! パンクズを撒いて、目印としよう」


 俺はさっそく、貴重な食料であるパンをちぎって欠片とし床に撒いた。


 この時注意しなければいけないことがある。


 あまりにパンくずが小さすぎると、風などでパンくずが散らばってしまい目印の意味をなさなくなる。


 俺は貴重な食料である、パンを一欠片ほどのサイズにして一つ置いた。


 そしてまた歩き出した。


 俺たちは、点呼をとるたびにパンを置くという方法をとった。


 五回目の点呼の頃だった。


「未だに目印のパンは出てこないな」

「ということは、ちゃんと前に進んでいるということだね」


 俺たちはホッと一息ついて更に進んだ。


 そしてその点呼から更に五回たった時だった。


 いかにも怪しげな扉が俺たちの前に現れた。


「これって──」

「魔王の部屋だろうね」


 俺たちはついに魔王の部屋の前までたどり着いた。

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