魔界
俺たちは魔界に辿り着くと、その異質さに驚いた。
そこには植物や動物などの生命の息吹が感じられるものなどなにもない。
ただあるのは、膨大な魔力と淀んだ魔物の臭気のみ。
「うっ……これが、魔界ですか?」
「物凄い圧を感じる……」
ルリとサーシャがそれぞれ魔界に対する感想を述べる。
レイとアマタに至っては、何も言葉を発さず気分が悪そうになんとか立っている状態だ。
俺も、この魔界の圧倒的な異質感には面食らっていたが、彼らほどではなかった。
それはなぜかと考えてみたが、答えはすぐにわかった。
それは魔力感度の差だ。
普通魔力が大きいものは、魔力感度と呼ばれる魔力を感じ取る力が強いとされている。
しかし、俺に至っては魔力を持ち合わせていない。
だから魔力を持つみんなよりは魔界の特殊な魔力による影響をあまり受けないのだ。
(ここに来て、魔力を持っていないことがいいように働くとはな……)
俺は、皮肉な事実に思わず笑ってしまいそうになった。
しかしそんなことをしている場合ではない。
魔力がない俺でさえ、気圧されそうになるのだ。
魔法職のアマタ、レイ、ルリは相当な負担を感じていることだろう。
まさか魔界の環境がこれほどまでに過酷はだとは思わなかった。
「すまん。正直言って準備不足だった。一旦街に戻って仕切り直そう」
俺がそんな提案をした時であった。
「帰るってどうやって……?」
「え?」
俺は今入ってきたばかりの扉を探す。
(あれ、ない! 扉がないぞ)
そう俺たちは、知らぬ間に魔界という荒野に投げ出され戻ることのできない修羅の道を
ある化されることになっていたのだ。
「クソッ! なんてことだ」
俺は後悔したがもう遅い。
こうなれば、魔王を倒すまで一直線に突き進む。
それが今俺達に残された唯一の道であろう。
俺は皆に苦労を強いることを、詫びつつも檄を飛ばした。
「みんな、今回は俺の失態で皆をこんな窮地に追い込んでしまった。だけど、それを悔いてもしょうがない。
魔王倒すまで俺についてきてくれるか?」
「もちろん!」
「みんな……」
俺は、魔王討伐を目指し魔界の奥へと歩みを進めた。
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