レイが追放された理由
「アマタ、改めてだけどよろしくな!」
「……よろしく」
アマタをパーティに加えた俺は、歓迎会を開いた。
当然アマタがいつも食べているであろう高級なものは振る舞うことはできない。
いつも俺たちが食べている庶民の味に慣れてもらう。
そうすることで、魔界に行った時に「こんなもの嫌だ」などと言った駄々を捏ねる可能性
を潰すことができる。
それを踏まえて、俺はいつも行く大将の店へアマタを連れてきたのだ。
アマタは食堂という慣れない空間にすっかりと縮こまってしまっている。
ここは年長者として、俺が彼をリードしてあげるべきだろう。
「アマタ、何も心配する必要はないぞ。俺がついている」
俺は、震えるアマタの手を握りしめ緊張をほぐす。
こういったボディタッチでのコミュニケーションは案外有効だ。
「別に心配しているわけじゃないよ」
アマタはどうやらご機嫌ななめな様子だ。
強がってはいるが、案外大人の男性にこういったお店へ連れて行かれるのは緊張するものだ。
俺も親戚のおじさんに居酒屋へ初めて連れて行ってもラったときは緊張したものだ。
きっと、アマタも同じ気持ちだろう。
「よーしここは俺の奢りだ、アマタ好きなもの頼んでいいぞ」
しかしアマタは無言を貫いた。
俺ならばこの台詞がかかったならば、好きなものを食べれるだけ頼むだが。
案外慎ましいのかもしれない。
「なあレイ、普段からアマタってあんまり食い意地張っていいないのか?」
「ナユタは、ちょっと押し引きの駆け引きを学んだほうがいいね」
そう言ってレイはチクチクと俺のことを詰ってくる。
こんなことを言ってはあれだが、レイはチクチクと詰ってくる場合かなり面倒くさい。
さっさと別の話題に切り替えてしまうことが無難だ。
そして意外な人物が助け舟を出してきた。
「それ……姉さんが言える台詞かな?」
アマタだ。
「ちょっとそれどういう意味かな?」
「姉さんが王宮を追放された理由ってまさしくご飯関連のことでだろ?」
「え、そうなのか? レイ」
「……ああ、そうだよ。お爺さまが振る舞ってくれた料理を、一口食べたらその」
「あまりの不味さに吐き出しちゃったんだよね」
なんだその追放理由。
くだらなさすぎて、溜息がでる。
今まで気を使っていた俺の身にもなってほしい。
その後も小さな姉弟喧嘩は続いた。
だがどれも年相応にくだらない内容で、逆に微笑えましく感じた。
「おいおい二人とも、あんまりペチャクチャ喋ってないでそろそろ注文しろよ?」
だが二人は俺の言葉に耳を貸そうともしない。
再び、俺は溜息をつく。
(はぁ……入ってきてそうそうに喧嘩か。どうしたものか……。ん? そうだ──)
俺の頭にある作戦が浮かんだ。
いよいよ新章です!
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