最終決戦③
──
「なあレイ、そんな便利な能力を持ってたら戦闘では苦労しないんじゃないのか?」
「いや、そんなことはないよ」
「本当か?」
「例えばだけど、正面から真っ向から突っ込んでくる敵にはこの能力は意味ない」
「そうなのか?」
「うん。真っ直ぐに突っ込んでくることがわかっていても、避けようがないでしょ?」
「たしかになあ」
──
俺は、同じユニークスキルを持ったレイの言葉を思い出していた。
レイが言うには、未来予知のスキルには力押しが有効だそうだ。
つまり俺が取る作戦は一つ。
(真っ向から一直線に突っ込む……!)
俺は、地面を蹴り木製の短剣を片手にアマタの懐目掛けて斬りかかった。
(これが決まれば……!)
俺はそんな淡い期待を抱きつつ、突っ込んでいった。
けれど、未来予知が使えるアマタには、俺の行動は読めている。
俺が、突っ込んでいった軌道に合わせて木刀を振り下ろしてくる。
しかし俺もそんな甘くはない。
木刀が振り下ろされるより前に、駆け抜ける。
俺の攻撃は──彼の脇腹をかすめた。
「うぐっ」
(しめた……!)
うまく攻撃が決まったことにより、アマタは体勢を大きく崩す。
本来ならば、この時点で彼は倒れて動けなくなっているはずだ。
しかし今俺達が握っているのは、木製のもの。
彼は倒れることなく、なんとか踏んばった。
「やるな……!」
「はぁはぁ……」
彼は息を荒くしながら、なんとか立っている。
(そうだ、それでこそSランク冒険者だ。まだまだこんな程度じゃ終わらない……!)
俺は、隙だらけとなった彼に向かって、連続で突きを放った。
これで決まったかと思ったが、違う。
彼は、俺が放った連続突きを木刀ですべて受け止めた。
(なに……!? 俺のほうが剣術は上のはず。それに──)
それに、至近距離まで迫った状態では短剣のほうが木刀よりも攻撃速度が速いはずだ。
「やるな……!」
俺は心の底から思っていることをついつい口に出してしまう。
本来剣士は、鎧を纏っているため動きが盗賊系の職よりも遅い。
だが、今のアマタは鎧を纏っていない分動きが俊敏になっている。
それがアマタが急に成長したように見える正体だろう。
(守りを捨てた、攻撃と回避重視のこの戦い方。俺がもっと先を見せてやるぜ……!)
俺のほうがこの戦い方には慣れている。
アマタに負けたくないという気持ちももちろんある。だが、アマタがいる地点よりももっと先の場所を見せてやりたい。
そんな気持ちで俺は、本気を超えた本気を見せることにした。
俺は、回避すら捨てた攻めとスピード特化の連続突きを、アマタにお見舞いした。
「こんなもの……!」
そう言って三十発放った連続突きのうち二十八発まで弾き返した。
が、残りの二発をモロに食らってしまうアマタ。
「……が、ガハッ」
流石に木製の短剣とはいえ、モロに受けては流石の彼もギブアップのようだ。
「おい、倒れこんじまったぜ。このまま追撃してもいいけど、この場合はどうなるんだ?」
「は、はい。勝者ナユタさん!」
俺は最終決戦で勝者となった。
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