追放勇者が残したもの
俺達は王城へと連れてこられ、会議が始まった。
(一体アマタはなんで俺達のことをかばうんだ?)
俺ならばもし鍵を四個見つけたらそのまま勝ったと申告するはずだ。
しかしアマタはそれを良しとはしなかった。
それとも何か彼に考えがあるのだろうか?
どちらにしろ俺には彼の考えていることがわからず戸惑っていた。
──とりあえずは様子見だ。俺は、彼が何かを述べるまで待つことにした。
俺達が黙っているのを見かねてか、アマタが口を開いた。
「久しぶりだね、ナユタ。その節はどうもありがとう」
開幕そうそうに彼は、皮肉めいたことを言ってきた。
その節とはおそらく、俺達が海底遺跡で彼らのパーティを出し抜いて
鍵を奪取したことについてだろう。
だけれども、あれはウカウカしていた彼らが悪い。
そこは譲るつもりなどなかった。
「言っておくけど海底遺跡の件は謝らねえぞ! 俺達は落ちていた鍵を拾った、ただそれだけ」
「そのことについてケチをつけるつもりはないよ。ただぼくは君に大きな貸しがある、そのことが気に食わないだけさ」
俺に貸し……? 何かナユタに貸しなどあっただろうか?
俺は必死に考えるが何も浮かんでこない。
それに痺れを切らしたアマタが、ぼくに怒鳴り声をあげる。
「もう気がついてないようだから言うけどさ! 君を追放した勇者バベルを倒す時ぼくは助けられた。
そのことが気に食わないからここで決着をつけようとしているんだ」
(あ、ああ!)
俺は過去のこととすっかり忘れていた追放勇者バベルのことを思い出した。
たしかあの時は、俺達が討伐しかけていたがバベルの汚い一手により窮地に陥った。
それをアマタが加勢する形で、なんとかバベルを倒したそんなことだったように思う。
今更だがそんなことを気にしていたのかと俺は驚く。
「あれ以来ぼくは君に貸しを感じながら生きていたいんだ。それがどうしても気に食わない」
そう言ってアマタは思っていることをぶちまけた。
「わかった。じゃああの時のことをここで決着させよう。もしここで俺が勝てば、あれは俺達のおかげ。
もし君が勝ったならば、君が助けてくれた。そういうことにしよう」
俺はその提案を投げかけた。
「……わかった。君がそう言うならばぼくはそれで納得する。きっとぼくじゃあ君には到底及ばないと思うけどね」
「ふーむ。お前達話はついたようじゃな? つまりここで鍵一本分をかけた対決をする。
それで勝ったほうが鍵四個となって勝ち、それでいいわけじゃな?」
「そういうことです、お祖父様」
「もしそれでお願いできるなら、そうしてくださない。王様」
「ふむ、正直言ってワシもこれで決着は少々味気ないと思うのじゃ。だったらここで、二人とも全力を出してお互い
納得して貰ったほうがワシとしても面白い」
「ありがとうございます!」
俺とアマタはそう一礼して、地下の試験場へと向かった。
ここで俺達は、最後の対決をする。
勝ったほうが次の国王となるまさしく最終決戦だ。
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