守護者ゼロの本体
(クソ……! これじゃあ埒があかねえ)
俺は奴がなかなか姿を現さないことにイラついた。
守護者であり、人外である奴に長期戦を挑むのは俺達が不利だ。
奴は、おそらく俺達の体力が尽きるまで一生出てこないつもりであろう。
それに対して、Sランク冒険者と言えど俺達は人間だ。
流石に体力は有限なものだ。
つまり俺達は、次に奴をどうにかおびき寄せる必要がある。
(こうなれば賭けに出るしかねえか……)
俺はとあることを考えついた。
(確か前に不意打ちを食らった時も、これをやろうとしていた時だ)
俺がこれからやろうとしていることは、簡単に言えば囮作戦だ。
問題はどうやれば、奴がノコノコと顔を出すかであった。
奴は逃げ回っているだけで、俺達に勝てるのである。
相当なことがなければ、俺達の目の前に現れることはないだろう。
しかし、奴をおびき寄せる唯一の方法を俺は知っていた。
「スキル発動! <バインド>」
それは、奴から奪った拘束スキルを使ってみせることである。
どうやらこのスキルは奴にも利くようで、以前俺が使おうとした
その寸前に奴が現れて詠唱がとまってしまった。
「させん! 五月雨斬り!」
そう言って奴は、俺目掛けてノコノコと姿を現す。
(──かかった。よし! ここは回避だ)
そう考える間もなく、自動発動するスキル<身躱しの術>が発動し、俺は奴の
放った五月雨斬りを後ろへのけぞりながら躱す。
俺は結局攻撃を受けることなく、全て躱すことに成功した。
ただそこには、ノコノコと姿を現した間抜けがいるだけであった。
そしてその間抜けにすかさず、レイが炎魔法を叩き込む。
「くらえ! <フレイムギア>」
これには流石のゼロも意表を突かれたのか、躱すことができず攻撃を受けてしまう。
そして、鎧は全て焼けてしまい奴の本体が顕になった。
顕になった奴の本体を見て絶句するパーティメンバー達。
俺も覚悟はしていたが、本当にそうだとは思わず口をすぼむ。
「嘘でしょ……?」
「いや本当だ、ルリ」
事実を受け入れられないルリに対して俺はそう言った。
──なんと奴の本体はもう既に消滅していたのである。
奴は鎧と剣だけになっても死にきれずに、亡霊となってまで守護者を続けていたのだ。
魔王だっていつかは滅びるのである、その配下である守護者が生き続けられる道理はない。
結局奴の鎧と剣がドロドロに溶けた後残ったのは、守護者を倒したという証である鍵だけであった。
これで俺達はくしくも三個目の鍵を手に入れることに成功した。
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