守護者ゼロ
俺が教会の地下室にあった扉を開けるとそこに守護者ゼロはいた。
彼がいる地下室の部屋は、円形の丸みを帯びた構造をしている。
しかし、これといって何か罠があるわけでもなく、ただ部屋の中央でただただ
突っ立てるだけである。
俺達はその異様な雰囲気に飲まれ、敵の前でありながら何も出来ず立ちすくんでしまった。
それを見てゼロは余裕の表情を浮かべながら、語りかけてくる。
「どうした? 私はただこうして突っ立てるいるだけだ。攻撃してこい、でなければお前たち
は死ぬぞ?」
敵にそんなことをさとされるまでもなく、そんなことはわかっていた。
ただ剣を抜いて戦おうにも、奴の圧倒的な雰囲気の前に身震いが止まらずに体が言うことを聞いてくれない。
それでも俺達は、世界を救うという目標のためにも戦わなくてはならない。
リーダーらしく討ち死に覚悟で、短剣を握り奴の懐に向かって斬りかかった。
──そのはずであった。俺は確かに攻撃をしたはずなのに、何も体が動いていない状態のままであった。
どういうことだ? 何が起きた? 俺は確かに奴に攻撃を行ったはずだ。
それがまったくの無に還してしまっている。まさか! やつの名前から推測するに……。
こいつまさか自分への攻撃を全てゼロにする、そんな能力を持っているのではないか?
そうか、自分は攻撃を負うリスクは全く無く相手にだけ一方的に攻撃を決められるこの能力。
それこそが奴の絶対的な自信たらしめている要因であり、数百年間倒せる者が存在しなかった理由であったのか。
俺は今更になって、後悔を始めた。こんな化け物に勝てるわけがない。
レイの言う通りもう少し考えて、勝てる相手にだけ戦いを挑めばよかった。
人間の能力には限界というものがある。しかし敵はその能力の圧倒的外側にいるまさに人外である。
こんな相手をどう倒せばいいのだろうか。そんなことを考えていると俺達を絶望の淵に落とすかのごとく
鞘から剣を抜いた。
どうやら今までは、自分への攻撃が通るかどうかを試すための準備期間であったようだ。
全てのメンバーが自分に敵わないことを確認し終えた。だから攻撃へと転ずる次のフェイズへと移行したようだ。
「どうした? 私を倒すのではないのか? 私の懐はガラ空きだぞ? 撃てるものなら撃ってこい」
そう言って奴は俺達を挑発してくる。
──クソ。本来ならば奴に攻撃を仕掛けることが出来ているはずなのだ。
だがなぜか攻撃を仕掛けたと思っても、元の位置へと戻されてしまう。
そんな圧倒的な絶望を前に、奴はニヤリと勝利を確信し俺の頭上へと剣を振り下ろしてきた。
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