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ルーレット

 俺達はカジノの席へとつくと、ディーラーからゲームの説明が始まった。

 まずディーラーは、俺達の小切手が本物なのかを確認した後、チップが机の上へと置かれた。

 チップの総数は、総数百枚であった。

 この百枚のチップが、俺達の全財産すべてだ。

 これを三十倍にしなければならない、並大抵の強運ではこのゲームを制することはできないであろう。

 だがルリが自信満々に、吹っ掛けたギャンブルである。何かしらの策はあるだろう。

 そう考えて、俺はルリに尋ねた。

「なあルリ、お前がここに座ったってことは何かしらの考えがあってのことだろう? その考えを早く

教えてくれよ」

「策? そんなのないよ。ただただルーレットで一番いいのを当てたら三十倍になるってのを聞いたことがあるから

このギャンブルをやろうって考えただけだよ」

 ルリはすました顔でそう俺に告げるので、絶句した。

 そんな安易な考えで俺達の大切な命銭を賭けようとしていたのか。

 俺は呆れてものも言えなかった。

 こうなれば、さっさとチップを小切手に替えてもらって、店仕舞といくのがいいだろう。

 その際に多少手数料をとられるかもしれないが、それは勉強代としてしょうがない。

 そう考えて俺が、席を立とうとした時であった。

「待って!」

 サーシャが、俺の手を握りこのままいて欲しいという顔を浮かべている。

 彼女は物こそ言わなかったが、暗に俺に例のマジックアイテムを取って欲しいと告げているようであった。

「サーシャ、流石にこれはリスキー過ぎる」

「でもこれがあれば間違いなく戦力は増大する」

 こうなると、サーシャはてこでも動かないであろう。

 博打をうちたい派が二人と、安全に行きたい慎重はの俺が一人。

 数的有利でいえば、向こうがとっていた。

 それでもこのパーティのリーダーは俺だ。無理にでもこの席を立つことはできる。

 しかし、俺は一度ここで落ち着いて考えてみることとした。

 先程までは、俺が外すという前提でばかり物事を考えていたが当てた場合はどうなるであろう?

 もしもだ。本当に俺達にあれだけの効果を持ったマジックアイテムが手に入るならば、それは数十倍の

リスクに見合ったものではないのではないか?

 確かにそう感じさせるものである。

 そのためには、このルーレットというゲームを知る必要がある。

 俺はまず五枚だけ黒のマス目のところに、チップを賭けてみることとした。

 するとルーレットが回り始め、黒い数字のマスに入り俺達は勝った。

 これで賭けたチップは倍になった。なんという簡単なゲームであろうか。

 たった一振りで、賭けていた額が倍になったりゼロになったりする。

 それに俺は、黒でも赤でもないゼロと書かれたマス目があることにも気がついた。

「すみません、このマス目はなんなんでしょうか?」

「これに賭けていれば、三十六倍になってチップが返ってきます。はい」

 ディーラーがそう告げると俺はニヤリと口元を綻ばせた。

 そうか、これが例の三十倍になるというマス目か。

 このゲームなら俺達は、絶対に勝つことができるかもしれない。

 そう考えて、俺は二人を席に残しトイレだと言って席をたった。

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