大臣宅の魔物
俺達は、封印を解くために壺を割ってもよいか大臣に尋ねた。
「おーい、大臣さん。この壺割ってもいいんだよな?」
「あーよいぞ」
その言葉を確かに聞き取り、言質をとったということで俺達は壺を割った。
すると、壺の中からモクモクと煙が立ち上がってきた。
そのあまりの煙たさに俺達は咳をし、思わずむせる。
ゴホッゴホッ……。物凄い噴煙が消え失せると、そこにはモンスターがいた。
「我が名はラジーン。誰だ? 我が眠りを妨げる者は」
そう言ってモンスターは、俺達に質問を投げかけてきた。
しかし、このモンスターからはなぜだか敵意は感じない。
「俺の名前はナユタだ。すまないな、お前は眠っていただけなのに起こしちまって」
「本当にいい迷惑だ。ところでナユタ、私を眠りから覚ました者には一つ褒美をやられなくてはならない。
そういう決まりでな」
「はぁ……」
俺はラジーンと名乗るモンスターからいきなり褒美をやると言われ、思わず拍子抜けしてしまった。
まず、このラジーンというモンスターだが封印されていた割に態度がでかい。
おそらく俺が一発でも斬撃を食らわせれば、消し飛ぶであろう。
しかし、基本敵であるモンスターが俺達に褒美をくれるとはどういうことだろう?
ラジーンの言う決まりとやらが、関係しているのだろうか?
「なあラジーン、どうして敵である俺達の願いを叶えてくれるんだ?」
「何度も言わせるな。そういう決まりなのだ」
ラジーンと名乗る魔物はその一点張りで、俺の話に耳を傾けてくれない。
しょうがないから、俺達はそのラジーンから褒美をもらいこの場を丸く治めることとした。
「なあ褒美って言っても何か欲しい物あるか?」
俺がその場にいるルリとサーシャに尋ねる。
二人は困った様子を浮かべるばかりで、基本的には俺にお任せといった調子だ。
俺達はこれからあの大臣から金銭的な報酬を貰うことができる。
つまりは、基本的にお金に関するものはあまり必要ないのだ。
となると今、俺達が一番欲しい物と言えば……。
「なあラジーンそのご褒美とやらは、物みたいな形あるものじゃなくてもいいのか?」
「よいぞ、例えば若返りたいとか、昨日食べた夕飯を思い出したとか言った情報でも大丈夫だ」
情報! それこそが今俺達が追い求めていた物だ。
「じゃあラジーン、俺達がまだ討伐していない守護者の居場所を全部教えてくれないか?」
「おいおい、随分と欲張りさんだな。与えられる褒美は一つまでだ」
ラジーンというモンスターは、万能な能力を持ちながら随分とケチな奴だ。
俺は少し心の中で悪態をつく。
「分かったよ! じゃあ俺達がまだ倒していない守護者の居場所を一つだけ教えてくれ」
「分かったぞ、ほれ」
そう言うと、俺の脳裏にまだ討伐していない守護者への道筋が頭の中に刻まれた。
そして、そのラジーンと名乗るモンスターは消滅していった。
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