事件の詳細
俺達は、大臣の話を聞かされるため裏へと通された。
大臣は表向きでは、とても威厳のある表情を崩さずにいた。
しかし、裏へと通されると大臣は一気に態度を崩した。
「ところで君たち、相当腕が立つと聞く」
「はぁ……」
大臣はとてもじゃないが、依頼する側の人間とは思えないような態度で、俺達へと接してきた。
しかし俺にはこの大臣の本心は、とうに見抜いていた。
ようは俺達に何か助けて欲しいことがあるのだろう。
ただそのことを俺達に見せると、弱味を人前に晒すことになる。
それは避けたいというのが大臣としての面子というやつなのだろう。
しかも面倒なことに俺達がわざわざ察してあげなければならない。
ここは意地悪をしてもしょうがない、大臣の気持ちを察して話を聞いてあげなければならない。
「まあ俺達全員Sランク冒険者ですけれども」
するとまた面倒なことに、大臣の燗に触ったらしくヘソを曲げてしまった。
「これ君たち、私は大臣だぞ」
「すみません、私達全員Sランク冒険者なので、お力になれるかと思います」
そう言い直すと、大臣は機嫌を直したらしく、明朗に話しだした。
「うむ、ならば君たちに正式に依頼を出そう。実は我が家の蔵に魔物が住み着いてしまったしいんだが」
「魔物が?」
俺は大臣に聞き返した。魔物が蔵に住み着いたということは、相当に危険なことのはずだ。
しかし大臣はなぜか妙に落ち着いている、これは一体どういうことなのだろうか。
「もし魔物が蔵に住み着いたというのならば、大臣の家は大丈夫なのでしょうか?」
「その件に関しては心配いらん。専属の魔術師に封印をかけてもらった」
そう言って大臣は俺達に自慢げに現状を報告した。
つまるところは、封印したはいいがその封印がいつまで持つかはわからない。
それで俺達に魔物を倒してほしいということを、この大臣は持ちかけてきたというわけだ。
これは面倒なことになったなと思い、ルリとサーシャに目を配わせた。
二人は「うーん」と唸り声をあげるばかりで、最終的な判断は俺に任せるといった具合のようだ。
俺はこれはまいったなと頭を抱えるてしまう。
普段ならば、レイがいてそれで相談やら戦力やらになってくれる。
それがこの王都には事情があってレイは来ることができない。
つまり実質俺だけの独力でこの事態を収集しなければならないということだ。
なるほど、なるほど。そう考えると面白い。
それならば、これはある意味挑戦状とも言える。
叩きつけられた挑戦状には受けて立つというのが、俺のスタンスだ。
一先ずこの事件の報酬が何を貰えるかどうかは置いておいて、俺はこの事件を自力で解決したい。
そう考えて俺は、大臣の手を握って言った。
「任せてください、この事件俺がなんとか解決してみせます」
「おお、本当かね!」
そう言うと大臣は、今までの尊大な態度を翻しウキウキと浮足立った態度を見せ始めた。
俺はその態度を見てニヤリと口元を綻ばせるのであった。
ブクマ、★、感想等いただけると大変励みになります。




