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対決

 俺達はマーマンを自称するその守護者と対峙し、短剣を抜いた。

 奴がどんな攻撃を仕掛けてくるかわからないため、俺達はなるべく距離を取る立ち回りをしていた。

 それをわかってか奴はジリジリと俺達に近寄って、俺達を部屋の隅へと追いやろうとしてくる。

 だが奴とて、俺達がどんな戦いをするのかがわからない以上必要以上に距離は詰めれない。

 お互い達人の間合いで、牽制をしあい目に見えぬ攻防を繰り広げていた。

 この駆け引きこそが、雑魚との戦いにはない守護者との戦いそのものだ。

 先に痺れを切らしたのはマーマンの方だ。

「五月雨斬り!」

 俺達に対して銛のような武器を、ジグザクにしならせて全体攻撃を放ってくる。

 しかしその攻撃もサーシャのスキル『守護』を持ってすれば、なんてことない。

 俺はというと、サーシャから奪ったスキル『身躱しの術』で、全ての斬撃を軽くいなした。

「ふーむ」

 奴は困り果てた表情を一瞬浮かべるが、まずは盾となるサーシャを潰しにかかってきた。

「一閃突き!」

 巨大な銛を、サーシャに対し放ち押し潰そうとしてくる。

 しかしその行動をこちらは読んでいた。

 奴が強力な単体の大技を仕掛けてくることを見越して、ガラ空きとなった懐へと俺は斬りかかった。

 通常の敵ならばこれで勝負ありといったところだが、どうやら奴は一味違った。

「グゴッ!」

 痛々しい悲鳴こそあげるものの、硬い鱗が天然の鎧となって攻撃があまり通っていないようだ。

 流石は守護者といったところか一筋縄では行かない。

 奴もこのままでは防戦一方だということを察したのか、銛を持ち替えて薙ぎ払いにかかった。

 それを防ぐサーシャと、ヒラリと身を翻す俺。奴は俺達の術中の完璧に嵌っていた。

 

 俺はニヤリと笑みを浮かべるが、奴とて守護者を任されるだけのことはある。

 俺達の想像の上を行く攻撃を仕掛けてきた。

「いかなる上は……!」

 なんと奴は、銛を天井めがけて何度も突き刺し始めたのだ。

 一見無意味に思えるこの行動だが、俺達は意図を素早く察知し冷や汗をかいた。

 奴はこのダンジョンごと破壊し、俺達を海へと投げ出し抹殺しようと企んでいるのだ。

 こうなると俺達が劣勢に立たされる。

 このダンジョンが崩壊する前にさっさと奴を退治しなければ、俺達は殺される。

 戦況は、長期戦になると思われたがまさかの短期決戦を強いられることになった。

 こうなってくると、奴が有利だ。

 俺達はアタッカーが不足しているため、奴の硬い装甲である鱗を貫くには攻撃力が不足している。

 それに対して奴は、老朽化したダンジョンの天井を突き破ればいいだけ。

 早く奴を仕留めなければ……! 気持ちばかりが先に出るが、俺達は地団駄を踏むことになった。

 その時であった。レイがこんなことを囁いててきた。

「ねえ、一か八かになるけれど奴を倒せるかもしれない方法があるとしたら?」

 普段なら時間をかけてゆっくりと検討した後、答えを出すのだが今はそんな余裕はない。

 一気に畳み掛けなければ、ジ・エンドという状況だ。

 何も考えていないないわけではないが、リスクとリターンを考えると今はリスクを取る時だ。

「その一か八かの賭けのるぜ!」

 俺は速攻で決断を下すと、レイはニッコリと笑って言った。

「流石ナユタだね。それで正解さ! さあ衝撃に備えて」

 そう言ってレイは、巨大な術式を展開し始めた。

「賢者レイが命じる彼の者を焼き払え『フレイムギア!』」

 そう彼女が言い放つと、奴の体が炎へと包まれた。

「グアアアアアアッ!」

 奴の鎧は、物理的な攻撃には滅法強いがどうやら魔法攻撃に対しての耐性はそこまでといったようだ。

 俺は奴が大ダメージを負って、守りの体勢を崩した隙を見計らい全力の斬撃を打ち放った。

 すると奴は、大きく体を仰け反らせ苦しみのあまり攻撃の手を止め銛を落としてしまった。

 これで決着はついた。どうやら奴がダンジョンを破壊する前に俺達の攻撃スピードの方が勝った。

 奴は膝を崩し倒れたので、ようやく俺は奴の首を刎ねることが出来た。

 すると奴の体は崩壊を始め、最後には鍵だけが残った。

 それと同時に守護者の部屋への入り口が思いきりよく開いた。

「クソッ! 出し抜かれちまったか」

 悔しがるアマタ達を尻目に俺達は帰還魔法を唱えて、ギルド役場へと帰った。

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