心理戦
俺達はまたスキル『潜入』を使って、モンスターから距離をとり攻撃を受けないようにしていた。
その上でどうすればアマタを出し抜けるのかの相談を始めた。
「まさかアマタが俺達が来ていることを織り込み済みとはな」
「全くだね。ナユタの脇の甘さもそうだけれど アマタの抜け目のなさにも目に見張るものがあるね」
レイがいつものように俺への嫌味をグチグチと言い始めた。
レイは俺のことを、パートナーだと呼んでいたが本当にそうだとは俺には思えない。
なんだかいつも彼女のほうが上を見通しているというか、大局観がある気がする。
それなのに肝心の判断は俺に任せて、自分は口を出さない。
そういうところになんだか意地の悪さを感じるが、それは今関係のない話だ。
俺はとにかく、この場面をどう乗り切るかにおいてリーダーとしての資質を試されている。
早くいい案を浮かべなければ、漁夫の利を狙おうとしていたのがあべこべになってしまう。
そんな時俺にある案が思いついた。
それは一度スキル『潜入』を解いて、サーシャだけ左側に向かわせるという作戦である。
レイの言うことを信じるならばだが、右が正解か左が正解かはまだわかっていない。
それはアマタだって同じはずだ。
もう一度整理するが、アマタの作戦とはこのようなもののはずだ。
まず俺達に気がついていないフリをして、左に向かう。
そして、スキル『潜入』を解いた俺達が右に向かってモンスターを掃討したのを見計らって
左から逆行するというものだ。
一見抜け目のない作戦のように見えるが一つだけ欠点がある。
それはまだ正解かもわからない、左方向がガラ空きになってしまうことだ。
つまり俺達が、逆に左方向に進んでしまえば向こうとしては常にもしかしたら左が正解だったのでは? という不安を
抱えながら進まないといけないというわけだ。
しかし、そのために全員を左に向かわせるのはリスキー過ぎる。
まずやられることのないであろう、サーシャだけを向かわせて相手の出方を伺うのが賢明だと考えた。
俺はそういう考えで、サーシャの『潜入』をわざと解くと相手は一瞬訳のわからない顔を浮かべた。
しかし、それもすぐに意図を理解して青ざめた顔をアマタは浮かべた。
「しまった! 向こうにも半分手勢を向かわせろ!」
流石に動くのが早い。こういうときの判断力の素早さはピカイチである。
それを見た俺は、次にもう一度スキル『潜入』をサーシャに掛けた上で、探知無効魔法をレイに掛けさせた。
そうすることで、相手は完全にこちらの出方を見失ったはずだ。
その上で俺達はあくまで右方向が本命だということに賭けた。
なぜならば、アマタがまだ右に残り続けているからである。
ということは、アマタも薄々右が本命だということに気がついているということだ。
それにどうせ守護者の部屋を見つけたとしても、アマタがいなければ守護者を倒すことはおそらく無理だろう。
そうなれば、俺達全員が右に残るという選択肢は至って普通の考えなのだ。
これが俺の考えた作戦であった。さて、アマタはどう出るかここからが観物であった。
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