運命の分かれ道
俺達はそのまま一度も戦闘を行わずに、スキル『潜入』を使ってアマタ達の後ろをついて行き上手くタダ乗りできていた。
しかしそんな中、文字通り運命の帰路へと辿り着いた。
「別れ道があるね」
アマタがボソリと呟いた。
曲がり角の右手には比較的大きな道が続いており、逆に左手には程々といった具合の道が続いていた。
これは言うまでもなく運命の分かれ道であった。
ここでアマタが進まなかった方に俺達は進むことになる。
つまりは自分達が進むべき道を他人に委ねるという、好ましくない状況がやってきたのだ。
(どっちに進むんだ……? 右か? 左か?)
俺は内心焦りを感じつつも、必死に自分を落ち着かせ平常心を保った。
アマタも選択を迫られる者特有のあの焦燥に駆られているようで、何やら魔力探知等を使って右か左かを考えている様子である。
俺は固唾を飲んでそれを見守っていたが、数分後答えが出た。
「よし、左に進もう」
この瞬間俺達の運命は決まった。右に進むことになったのだ。
俺達は、左に進んだアマタに気が付かれないように数分時間を置いてスキル『潜入』を解いて右に進んだ。
ここまでは手筈通りで問題ない。しかし、ここからが大きな問題だ。
それは右に進むのが本当に正解だったのかどうかという問題である。
ダンジョンには当然トラップのように、無数に行き止まりが存在している。
つまり彼が左に進む選択をした時点で、直感で選んだわけでなければなにかしらの理由があってこちらを選択したことになる。
その理由がもし、右に進むと行き止まりだと言うことが彼の並外れた力で感知していたならば、俺達は大きく時間をロスすることなる。
そうなると非常にまずい。俺はレイに頼んで本当に右で大丈夫なのか魔力探知をして貰うこととした。
「なあレイ、魔力探知で守護者がこの先にいるかを調べてもらえないか?」
「わかった、できるだけやってみるよ」
そう言ってレイは、集中する姿勢を見せて探知魔法を使いだした。
俺達は結果が出るのを固唾を飲んで待つ。
この結果次第で俺達の今後の指針に大きく変化が出てくる。
レイの魔力探知の結果が出ると、彼女は訝しげな表情を浮かべていた。
それはまるで、この結果が気に食わないと言いたげであった。
「どうだったんだ? この先に守護者はいるのか?」
「……わからない。だからアマタも迷っていたんだと思う。けど大量のモンスターがいるのことは確か」
そう言ってレイは、進むべきとも進まないべきとも言わなかった。
あくまで決断は俺に委ねる。そう言ったスタイルなのだろう。
俺は少しの間悩んだ。このまま進めばこちらにも被害が出るかもしれない。
かと言って折返して向こうにまた小判鮫戦法を使おうにも、それはまたナユタに不利をとるという事を意味する。
俺は苦難を覚悟し、右に進むことを決めた。正直言ってこの選択があたっているという保証はない。
しかし、一度模擬戦闘という形で雑魚敵と戦っておくことも重要なのではないか? そんな考えから俺はこちらを選んだ。
果たしてこちらに進んだことが吉と出るか凶と出るか。それはまだ誰にもわからないことであった。
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