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サーシャの能力覚醒!

 俺はさっそく情報収集のため、スキル『利き耳』を使い王宮の中の内緒話を盗聴しようとした。

 しかし俺は異変に気がつく。スキルを使っているはずなのに、使っている感覚が全くわかない。

 これは一体どういうことだ? 俺は困惑を浮かべる。

 今の状況の不味さはすぐに察知できた。

 俺の頭の中に、直接テレパシーのような形で声が伝わってきたからだ。

 『警告! 警告! あと十秒以内にスキルを解除しなければ、あなたの脳を直接破壊します』

 あと十秒だって!? 俺の利き耳というスキルは、Sランク冒険者というだけあって人よりも強力な

ように作られている。

 しかし、その分解除するのにも時間がかかってしまうという普通ならば大したことがないデメリットもある。

 けれども今は、それが非常に厄介なことになってしまった。

 警告通りにスキルを解除したくとも、どう頑張っても十秒以内に解除することは不可能だ。

 それに脳を直接破壊するという文言だが、流石にSランク冒険者の俺を仕留めることなど無理に近いだろうが

相当なダメージを負うことは確定だ。

 俺は顔を真っ青にし、動揺するがどうすることもできない。

 ──甘んじて受け入れるしかないか。

 俺は大ダメージを負うことを覚悟し、せめて俺がダメージを負ってしまった時のことを想定した行動をとることとした。

「なあルリ。もし俺がいきなり大ダメージを負ってくたばりかけたら、すぐに回復魔法を俺にかけてほしい」

「え! いきなりどうしちゃったんですか?」

「ちょっと義賊としたことが、盗み損ねちまった」

 俺はそんな言葉を吐きつつ、脳内に響き渡るスリーカウントの警告に大ダメージを覚悟した。

 

 結局俺は、スキルを解除することはできなかった。

 しかしだからといって、ダメージを受けることもなかった。

 それはなぜか? その秘密はなんとサーシャにあったのだ。

「咄嗟にとは言え間に合ってよかったです。どうやら、私のユニークスキル『護る』がナユタさんを守護したようです」

 どうやらサーシャは、裏メニューを食べたことによってステータスではなくユニークスキルを開花させたようなのであった!

「でかしたぞ、サーシャ! 君のおかげで俺の命は守られた」

 俺は彼女の思わぬ活躍に、喜びを高鳴らせた。

 それに対し照れた様子で、サーシャは対応する。

 おそらく奴隷時代はろくに褒められたこともなかったその反動だろう。

 その様子が可愛らしくて、ついニヤケ面を浮かべてしまう。

 ルリは、俺達に何があったのか付いてこれておらずただポカーンとした顔を浮かべるのみであった。

 しかも俺達にとって更によいことが起きていた。

 どうやら先程のセキュリティをユニークスキルで突破できたことにより、利き耳による盗聴が可能になっていたのだ!

 俺はそのことによって全く想像だにせぬ形で、様々な利を得ることができた。

 一つはサーシャのユニークスキルを知ることができたこと。もう一つはこれから、王宮内での情報収集が可能になることであった。

 ただ王宮を探るにしても、中は広くどこに有益な情報が落ちているのかは検討がつかない。

 俺は手始めに王宮の最奥部にある、玉座の間で盗み聞きをしようかと考えた。

 しかし、またあの面倒な盗聴防止スキルが仕掛けられていないという保証はない。

 それに俺達が掴もうとしている情報が、あのお爺さんから聞けるとはとても思わなかった。

 こうなれば一度本丸への侵入は避けて、侍女達のいる部屋を探ってみるのも一興。

 俺はそう考えて、侍女達が住まう場所へと侵入した。

 

 スキルを使っている間、ルリ達はただ俺が棒立ちしているようにしか見えないため彼女たちは大変暇そうな顔を浮かべている。

 しかし、それももうすぐ終わりだ。

 とんでもない情報を掴んできっと帰って来る。

 俺はそんな予感に胸を高鳴らせ、侍女達の部屋へで利き耳を立てた。

 侍女達がする話というのはとても退屈で、俺が馬鹿話をしているのと大して変わらない。

 しかし、居酒屋で利き耳をたてるよりかは幾分かマシに思えた。

 なぜならば、侍女達の住まう場所では王族達への愚痴も聞くことができたからだ。

 まさか王宮の内部を、盗聴できる者がいるとは思ってもいないのだろう。

 しかし盗聴できる人間がここに一人いた。

 俺は侍女達のするよからぬ噂話に利き耳を立てレイの話題が出るのは今か今かと待った。

 するとだ。俺が盗聴を初めて二十分ほどして、ようやく目当ての話を彼女たちは始めた。

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