情報収集
とりあえず裏メニューの件は保留として、俺達は本題へと移ることとした。
そう、ダンジョンに関する情報収集だ。
それとついでになぜレイが王都に来ることを嫌がるのかそのことについても知りたい。
とにかく今の俺達には、情報が足りなかった。
情報収集のためにはやはり、ここギルド役場が重宝する。
俺達はさっそく、受付嬢にダンジョン探索について何か情報はないか尋ねた。
すると受付嬢からは二時間程お待ちいただければお答えできますとの回答を頂いた。
二時間待ちと聞くと物凄い、ことのように聞こえるが実情はそうでもない。
なぜならば、王都に集まってくる情報量は俺達がいた街よりも文字通り段違いで集まってくる。
そのため何か調べ物を依頼すると、物凄い情報を手作業で一から調べてくれるのだ。
本来ならばお金をとって然るべきぐらい大変な作業なのだが、それはギルド役場の慈悲でもって
無料となっている。
それだけでも本来俺達は、ギルド役場の人に感謝しなくてはならないのだ。
そのため俺達は、素直に二時間待ちの列に並ぶこととした。
それに同時並行してやりたいことが、俺達にはあった。
あまりやるべきではないのかもしれないが、レイがなぜ王都に来ることを嫌がったのかその素性を探る
ことだ。
これは決して邪な感情からではなく、今後彼女と付き合っていく上で必ず知っておかなければならない
ことだからだ。
──ただほんの少しも、好奇心がなかったといえば嘘になるが。
ともかく俺達は、なぜレイが王都に居づらいのかその理由を探るべく調査を開始した。
調査を開始したのはよかったが、調査は全くもって捗なかった。
それはなぜかというと、こういった表立っては聞きづらい情報を探るのにどうすればよいのか検討がつかなかったからである。
当然ギルド役場でこんなことを聞けば門前払いにされることだろう。
ここは王族のお膝元だ。王族であるレイの悪口を言おうものなら、どんなことになるのか考えただけでも恐ろしい。
俺達は完全に捜索に難航していた。
ただ全く望みがないわけでもなかった。
それはサーシャの存在である。
もしかすると、先程食べたあの裏メニューが何か効果を発揮しているかもしれない。
そもそも裏メニューを頼めたこと事態がラッキーだったのである。これもなにかのめぐり合わせであろうし、可能性はゼロではないはずだ。
そんな微かな望みに身を託し、俺達はサーシャにレイの居場所がどこなのかわからないかスキルを使ってみてくれと頼んだ。
しかし、サーシャは首を横に振る。
当然の如く前衛守備職の彼女に、そんな探索系の能力は付与されていないからだ。
するとルリはこんなことを言い出した。
「あの失礼なんですが、ナユタさんの方こそ探索系のスキルとかってお持ちじゃないんですか?」
「俺が?」
しばし時間を置いて考えてみた。
そうだ、俺は義賊。どちらかというと、探索系のスキルが得意なはずだ。
現に俺は、『利き鼻』というスキルを使ってバベルの位置を探り当てたことがあるではないか!
なんとういうイージーミスだ、これこそ灯台の元暗しだ。
俺は『利き鼻』の耳バージョンとも言える『利き耳』というスキルを使って街中のあらゆる声という声を拾ってみた。
まず手始めに酒場の辺りを盗み聞きすることとした。
酒場というと荒くれ者達が集まりやすい場所である。
それに今は昼間だ。昼間から酒場に入り浸っているような者たちがどんな者達なのかを想像してみると大体がネガティブなイメージがつきまとうだろう。
しかし、今は逆にそれがありがたい。
こういった「下世話」な話こそ、酒場に聞くに限る。
物はつかいようとはよく言ったものだ、今こそ活用させてもらおう。
しかし開始数分にして、俺はこれはダメだと察した。
聞こえてくる話は下世話は下世話なのだが、俺が思う下世話な話とは違った。
とても聞くに耐えない、雑音に近いような話しか聞こえてこなかった。
盗み聞きという余り道義上よろしくないようなことをしているのはわかっている。
しかし、それにしたって文句が言いたくなるような内容の話しか聞けず俺はガッカリしてしまった。
「どうした? 何か有益な情報とかって?」
俺は首を横に振る。 とてもではないが、ここでルリに話せるような内容のことを酒場では話されていなかったからだ。
「そうでしたか」
露骨にガッカリするルリ。
こうなれば伏魔殿である王宮の内情を探ってみようか?
俺はついに禁断の領域へと足を踏み入れようとしていた。
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