サーシャの能力覚醒?
俺達がゴチャゴチャと話をしている間に、裏メニューは届いてしまった。
こうなるともう注文をキャンセルすることはできない。
そうなると、自然とサーシャが裏メニューを召し上がることになるのだがルリと俺の二人は目を見合わせたまま
サーシャに裏メニューを食べさせるか悩んでいた。
俺はもう一度サーシャの顔をよく見て、どんな者なのかを品定めする。
サーシャの見た目は、透き通るような金髪ロングのフランス人形風の女の子といった顔立ちだ。
正直言って奴隷として扱われていたのが不思議な位可愛い。
しかし、今はそんな話をしているのではない。
彼女が信頼に足り得る人物かどうかを品定めするための時間だ。
よって、彼女が可愛いだとか綺麗だなとかは全く問題にならない。
むしろ可愛い顔をして裏では……といった危険性も秘めている。
俺はじっくりとサーシャの顔を深々と見る。
──しかし、わからない。当然だ。俺はパーティリーダーとしての歴も浅いし人相学に精通しているわけでもない。
今、彼女がどんな存在なのかを言い当てる等土台不可能な話なのだ。
ええい、こうなったら面倒くさい。彼女を信頼することにしよう!
そもそも彼女を奴隷解放することになったのも、何かの縁だ。
この際彼女が滅茶苦茶強くなったとしても、ましてや独り立ちする存在になったとしても構わない。
そんな半ば投げやりな気持ちで彼女を信じ、裏メニューを食べさせることとした。
「裏メニュー届いだぞ。食えよ」
「あ、はい。わかりました」
そう言って彼女は届いた裏メニューを一瞥した。
裏メニューの内容はというと、なんとも奇妙な形を透明なゼリーのような麺料理だ。
食べ物の例えに出すのも変化もしれないが、まるでクラゲのようなひんやりとした印象を受ける食べ物だ。
思わず名前が気になるところだが、おそらく裏メニューということで名前は設定されていないだろう。
食べろよと言ったはいいものの少々食べさせるには、抵抗がいるメニューだ。
しかし彼女は、俺が裏メニューを食べろと言ったところ素直に応じてそれを食べだした。
「どうだ? 美味しいか?」
俺が尋ねるが、それを意に介さない程の勢いでそれに対してガッツいてしまっている。
どうやら相当美味しいのだろう、いよいよ食べ尽くしたところでようやくボソりと一言呟く。
「ひんやりしていて美味しいです」
「そうか」
彼女は、普段はあまり笑わない子であったが今日ばかりはニコりと笑顔を浮かべてそれを食べほした。
その笑顔がまた可愛くて、裏メニューを食べさせてあげてよかったという気分になる。
俺達はお代を置いて、食堂を去るとさっそくギルド役場へと向かった。
彼女がどの程度強い冒険者になったか確かめるためだ。
俺は受付嬢を呼ぶが、いつも応対してくれるあの娘では当然だがなかった。
「このサーシャという娘の能力測定をしてもらいたい」
「わかりました」
俺が頼むと、受付嬢はビジネススマイルを浮かべて優しく応対をしてくれた。
結果はすぐに出た。
やはりSランク冒険者というだけあって、かなりの高水準のステータスをしていた。
しかしだ。裏メニューで覚醒をしたはずなのに、の数値はちょっと少ないのでは?と感じる。
俺は受付嬢にこの数値で間違いないか念押しするが間違いないと答える。
「一体どういうことだ……」
俺が今起きていることの不可解さに頭を悩ませていると、ルリが横から割って入ってきた。
「あの、もしかしてで悪いんですけれど彼女って元々Sランクだったじゃないですか? 元からランクが高いとあまり伸びしろがないとか?」
「うーん」
ルリのイマイチ釈然としない理屈に俺は、頭を悩ませる。
確かにルリは元々Bランク冒険者だったため、裏メニューでの覚醒したのに回復系統でしか数値が伸びなかった。
対して俺は、元がFランクであったためかSランクにまで一瞬にして上り詰めた。
わからない。そもそも裏メニューを頼んだ回数が三回しかないため、実証できるデータがそもそも少ない。
だが数値で現れていないだけで、彼女の中でなにかしらの変化が起きているかもしれない。
裏メニューの謎は増々深まるばかりであった。
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