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王都に向かえ

 女の子連中が買い物へと赴いている間、俺はギルド役場へと向かっていた。

 俺にはどうもあの雰囲気が合わない、よって二人に彼女のことを任せるのが最善と考えたからだ。

 それに今俺達がこうしている間にも、ナユタがダンジョンをクリアに向けて動きだしているかもしれない。

 そう考えると、俺には止まっている時間などなかった。ただ前に進むため、新しいダンジョンの情報を

求めにギルド役場へと足を運ぶのであった。

 俺はいつも通りもうすっかり顔馴染みとなった、受付嬢に挨拶をする。

 向こうも最初こそよそよそしかったが、今はもう慣れしたんだご近所さん程度の感覚だ。

 それに今日でギルド役場から貰う後払いの、お金が全て完済されることもあり文字通り貸し借りなしの関係となった。

 俺はさっそく、気軽にこう尋ねた。

「何か新しいダンジョン攻略の依頼とかって来ていないか?」

「ダンジョン攻略の依頼ですか。少々お待ちを」

 そう言って彼女は、一枚一枚紙をめくって調べ物を始めた。

 ギルド役場には、毎日大量の依頼がもたらされる。

 それを一件一件ランク毎に振り分けて、索引しやすくしているとはいえやはり時間はかかる。

 俺はどちらかというと気が長い方ではないため、この待ち時間を送るのもソワソワしてしまう。

 俺がやったこととはいえ、ナユタに鍵を渡してしまった。

 つまり、彼の方が鍵の争奪戦では一歩前進している。

 このまま何の情報も得られず、時間切れというなんとも呆気ない幕切れとなれば鍵の個数が彼の方が上のため、俺は

ナユタの下僕となってしまう。

 もう下僕として生きていくのは嫌だ。それはバベルの件で身に沁みている、

 それに俺に着いてきてくれている皆のこともある。

 せっかく俺を慕って着いてきてくれている皆の期待を裏切ることになる。

 それだけはパーティリーダーとしては絶対に避けないといけないことだ。

 俺は縋るような思いで、依頼が来ていることを願った。

「お客様、結果が出ました」

 明朗な挨拶で、受付嬢は俺のことを呼ぶ。

 これはもしかすれば期待できるか……? そんなことを予感させる反応だ。

 

「お客様がお探しの情報ですが……その残念ながらございませんでした」

 俺はその言葉を聞いた瞬間、物凄い寒気に襲われた。

 不味い……! このままでは彼に負けてしまう。そんな焦りを俺は覚えた。

「あの……何か変わった出来事とか、それこそきっかけになりそうなことでもいいので何か教えてくれないでしょうか?」

 俺は必死の思いで受付嬢に泣きつくが、彼女は困惑の表情を見せるのみで何もいい返答は得られなかった。

 そうしていると、奥から俺達の騒ぎを聞きつけ上司と思われる年配女性がやってきた。

「あらあら一体何の騒ぎですか?」

「上席、実はこの方がどうしてもダンジョン探索に行きたいとおっしゃておりまして……」

「あらあら、そういうことでしたか」

 そう言って上司と思わしき年配女性は、首を傾げ何やら考え込む様子を見せた。

 きっとその年の功に見合うだけの知識を俺に分け与えてくれるに違いない。

 そんなことを俺は期待した。しかし、年配女性はうんうんと唸るばかりで何も返答をしようとしない。

(どういうことだ? 何か言いづらいことでもあるのだろうか?)

 あまりに返事が遅いので、俺は痺れを切らし何か言いたいことがあるのか尋ねた。

「あの、すみません。そろそろ時間も押しているので何か答えてほしいな。なんて」

「ああ、そうでしたね。えーと正直に申し上げましてこちらでは、対処しかねる事態です。王都のギルド役場でしたらもうしかしたら……」

 俺はそれだけの返答をするのにいくら時間を費やしたのかを考え、思わず呆れて声も出せなかった。

 しかし方針は定まった。王都に向かえば、ここよりもより多くの情報や武器、防具、冒険者にあふれているに違いない。

 そう考えると俺はむしろ胸が高鳴り、一礼して役場を去った。


 役場を出ると、そこには俺が与えた金で防具や服を買い揃えたサーシャの姿があった。

「おお、やっぱりモノが揃うと、様になるな!」

 俺は率直な感想を述べると、サーシャは恥ずかしげな表情を浮かべた。

「えらく上機嫌だけど、何かいいことでもあったのかい?」

 レイが俺に質問をぶつけてくる。

「これからどうしようか決まったんだ。王都に向かおうと思っている!」

「王都に……?」

 その時レイの表情に変化があったことを俺は見落としていた。

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