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美味しい買い物

 俺達はサーシャと呼ばれる少女を買い、仲間として迎えいれることとした。

 それに対してルリが苦言を呈するようなことを耳元で囁く。

「あの……本当に彼女を仲間にするんですか? 正直言ってこのまま解放してあげるだけでも十分過ぎる待遇な気がするんですが」

「ルリ、お前の言いたいことや気持ちはよくわかる。だが一度仲間にした奴は切らない。それが俺の考えなんだ、わかってくれるか?」

 俺は一度追放された側の人間だ。追放されることが辛いことなのかは理解しているつもりだ。

 なので彼女は現状役に立たないかもしれないが、なんとか特訓をして前線に立たせるそれが俺の考えであり曲げられない思想であった。

 俺とルリが何やらそわそわしているのをレイはどうやら察して声をかけてきた。

「ねえ、お二人さん。もしかして彼女が役立たずだと思ってない?」

「そ、それは……」

 俺はレイから飛び出して来た爆弾発言に、戸惑ってしまい何も言い返すことができなかった。

 しかし彼女がただ単に空気を読まずにこんな発言をぶっこんできたとは思えない。何か真意があるはずだ。

「なあレイ突然どうしてそんなことを言い出したんだ?」

「答えないってことは思ってたんだね。まあしょうがないよね。まさか彼女の回避する癖がスキルによるものだなんて思いもしないだろうし」

「え?」

 俺はレイに本心を見抜かれていたこともそうだが、何より彼女が回避してしまうことがスキルによるものという事実に驚きを隠せなかった。

 しかし、彼女の回避する癖がスキルによるものだとして、それがどうしたというのだろう。

 俺は首を傾げて、一生懸命考える。

 考えだしてから数十秒後、閃光のような考えが舞い降りてきた。

 そうか! このことが言いたくてレイはわざとこのような発言をしてきたのか。

 俺は彼女の思慮深さに感心を覚えた。

 原因はわかった。となれば、やることはただ一つだ。

「なあサーシャ、俺の前に立ってくれ」

「は、はい」

 そう言って俺は彼女を自分の前へと立たせて、右手を彼女の頭の上へとかざした。

「スキル発動『スチール!』」

 そう言って俺は彼女から身躱しの術と呼ばれる、自動回避してしまうスキルを盗んだ。

 これで彼女は、自動で攻撃を回避しなくなったはずだ。


「なあサーシャ、もう一度模擬戦闘をしてみないか?」

「わ、私と?」

「ああ、お前の本当の力が見てみたいんだ。これでもう役立たずのSランク冒険者とは詰らせたりはしない」

「わかりました」

 こんなことを言うとおこがましいと思われるかもしれないが、俺は彼女から失いかけた自信を取り戻してあげたかった。

 そのためには、彼女が本当にSランク冒険者足り得るかを彼女自身に自覚させてあげることが重要だと考えた。

 俺はサーシャをさっき戦闘した広場へともう一度連れ出した。

 半強制的に広場へと連れてこられた彼女は、半ば不安げに盾を構えていた。

 その様子を見て俺はむしろ彼女の隠された才能を見出してあげたいという気持ちを掻き立てられ、まずは軽く斬撃を放って

どういう反応になるのかを見てみることとした。

「行くぞ!」

 俺はその掛け声と共に、軽めの斬撃を彼女に向かって放った。

 ついさっきまでの彼女ならば、避けて攻撃をいなしていいたところであったが……。

 彼女は攻撃を片手で構えた盾で、防いでいた。

 それを見て思わずルリから感激の言葉が飛んできた。

「す、凄い! あのナユタさんの攻撃をあんな軽く防いでしまうなんて」

 俺はこの結果を見てもう何も言うことなどなかった。

 軽い斬撃ではあったが、あれを受け止めれる冒険者は片手で数えれるほどしかいないであろう。

 それを彼女はいとも容易く受けてみせた。

 このことから見ても、彼女は間違いなくSランク冒険者のタンク職であろう。

 結局俺達は、金貨たった三枚でSランク冒険者と有用スキル『身躱しの術』を手に入れることができたのである。

 こうなってくるとルリの見る目も変わってくる。

 ルリは深々と挨拶をし、「これからよろしくおねがいします」と伝えた。

 するとサーシャは申し訳なさそうに「あの……」と申し訳無さそうに何かを言おうとしている。

「どうした?」

「できれば新しい服を買っていただきたいのですが……」

「あ。そうだな、すまんすまん」

 俺は彼女のボロボロの服を見て言った。

 だが俺には女の子のセンスというものがわからなかったため、服を十分に買えるだけのお金をルリとレイ、そしてサーシャに

手渡して買い物へといかせた。

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