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回避する盾

「それで一体この奴隷はどんな能力を持っているんだ?」

「そうですね……皆さんのパーティにないものをこの奴隷は持っております」

 そういって奴隷商の男は俺達のことを品定めするかのように舐め回すように見つめてくる。

 その不気味な視線に、ルリは鳥肌を立て怯えた。

 対するレイは、不服そうな顔を浮かべている。

 俺もレイに同感で、俺達のパーティに欠けているもの等ないそう言いたげな表情を浮かべる。

 しかしこの奴隷商の言っていることも何かしらの理があって言っていることだろうし、今後のためを

思うとぜひ聞いておきたいと思う。

 しかしここで下手に奴から情報を聞き出そうとうすると、自分は気がついていませんでしたと自白するようなものだ。

 奴は奴隷商というアンダーグラウンドな職業を生業としている、生粋の商人だ。

 少しでも舐められると足元を掬われかねない、俺はどう答えようか慎重に考えた後こう答えた。

「俺達のパーティに足りないもの? そんなものはないとは思うのだけれどな」

「おや? Sランク冒険者の皆様でございますのに、自分のパーティの歪さにお気づきになられませんか?」

「何が言いたい? 俺達のことを煽っているのか?」

 奴隷商の男は俺達のことを明らかに侮った態度をとったため、腹が立ちつい声を荒げてしまった。

 ここまで来ると俺達のパーティに足りないものとやらを、是非お聞かせいただきたいものだと思う。

 もしかするとこの煽りこそが奴のビジネストークのスタイルなのかもしれないが、そんなことは百も承知だ。

 奴の答えが、あまりに間の抜けたものであったら俺は奴隷を購入せず出ていくそれだけのことだ。

 どうせペテン師ならどういうペテンを噛ましてくるのかお手並み拝見といったところだ。

 しかし俺が苛立ったのを見て、奴は余計に俺達のことをカモと見たのか勿体つけて話をしだした。

「いえいえ、煽るなどとはとんでもない。ただ皆様に対して最善のプランを提供しようと考えている。ただそれだけのことでございます」

「それでは聞かせて貰おうじゃないか、俺達のパーティに必要な最善のプランとやらを」

 そう俺が答えると、商人はニイッと口角をあげほれ来たものかと釣れた魚をすくうが如く流暢にビジネストークを始めた。

「はい、それではお客様方に提案する最善のプランとは、この奴隷を買って最前線でタンク職を務めさせることです。

勿論この奴隷もSランク冒険者ですので、うまく運用できた暁には相当な力を発揮するものかと思われます。はい」

 

 商人が言った俺達のパーティに足りないものとは、前衛守備職つまりタンク職のことであった。

 確かに言われてみれば、俺達は比較的耐久力の低い職業ばかりが集まっており、強力なボスに挑む際には少し心許ない部分もある。

 だからといってこの商人の話をすべて鵜呑みにすることはできない。

 気になった点がいくつかあったかあらだ。

「お前の言いたいことはよくわかった。確かに俺達は防御面に対して少し疎かだったと思う。けれどだ。その奴隷ってSランク冒険者

なんだろ? どうして奴隷としてここに売られている? それに買い手だってすぐにつきそうなものだがなぜ売れない?」

 俺がそう尋ねるとギクりとした表情を商人は浮かべ、何やら痛いところを突かれた。そんな面持ちを一瞬見せた。

 すると俺達が商談をしている場所の奥、つまり牢の中から本人の声が聞こえてきた。

「それは私が役に立たないからだよ」

「おい、馬鹿! なんてことを言うんだ」

 商人がついにボロを出した瞬間であった。

 やはりこの奴隷の少女使い物にならないのか。それはそうか、声からしても明らかに不健康そのものでとても前衛守備など任せられそうになどない。

 Sランク冒険者だということもどうにも疑わしい話だ。

「おい、これはどういうことなんだ? じっくり聞かせて貰おうじゃないか」

「え、えーと」

 さっきまで流暢にビジネストークを繰り広げていた男が嘘のように、今は縮こまりまるで借りてきた猫のようであった。

「どうせ不良在庫を俺達に割高で売りつけようっていう腹だったんだろ? もう嘘偽りなく話したほうが見のためだと思うぜ?」

 俺が短剣を構えると、商人はどうやら堪忍したようで全てを洗いざらし話し出した。

「不良在庫を売りつけようだなんて滅相もない考えてございます。それにSランク冒険者というのも本当でございます。ただ、この奴隷

にはちょっとした弱点がございまして。そのせいでSランク冒険者でありながら、奴隷にまで身をやつすことになってしまったのです。はい」

「ちょっとした弱点? どうせちょっとしてないんだろ? もう全部話せ」

「は、はい。この奴隷はタンク職でありながら、攻撃を避けてしまうのです」

「は……?」

 その言葉を聞いた途端俺達は呆れかえってしまった。

お読みいただきありがとうございます。

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