奴隷の少女
俺達はレイに連れられ、ギルド役場へとやってきていた。
レイ曰くここで、人材集めができるとのことだが俺達は半信半疑であった。
「なあギルド役場ってミッションの受諾や、職業選択をするための場所だろ? 人なんて集まるのかよ」
「本当に物事を知らないんだね。いいから見ていて」
そう言ってレイは、受付嬢に何やら書類の提出を願い出て、それを俺達に手渡した。
その書類とは、ミッションを受諾した人の簡単なプロフィールが乗っているものであった。
これが一体何の役に立つのであろうか? 俺は甚だ疑問であったが、先にルリが真意に気がついた。
「あ、そっかあ。ナユタさん今レイさんが持ってきたミッションの難易度を見てください」
「ん……? 推奨冒険者ランクS。あ、そっか!」
なんでこんな簡単なことに気が付かなかったのだろうと自分の不明さを嘆いた。
難易度が高いミッションを受諾した者のプロフィールを手に入れることができるならば、それはすなわち
強い冒険者のプロフィールを手に入れることとほぼ同義ではないか!
その仕組にレイは気がついており、それを今俺達に実践してみせた。そういうことであった。
さっそく俺達は、レイから手渡されたプロフィールを穴が空くほど凝視した。
けれど、直近高難易度のミッションをクリアしたのは、俺達とアマタぐらいで他の冒険者達は該当者が
見つからず手詰まりという状態であった。
「なんだよ、俺達以外に強い奴らいないのかよ」
「まあそうがっくしすることはないさ。他にも人材を調達する方法はある」
「本当か!?」
俺は、落ち込んでいたテンションを反転させまたレイが連れて行く別の場所へと向かった。
レイに連れられてやってきた場所は、正直あまり長居はしたくないような場所であった。
そう、奴隷の売買所である。
「おい、レイ。なんでこんな場所に連れてきたんだ」
「あれ? こういった場所はあまり好みじゃなかったかな?」
「好みな奴なんているわけないだろ」
奴隷売買なんていう恥ずべき悪習なんて失くなればいい。
俺はそういう考えだが、どうやらレイは何やら別のことを考えているみたいであった。
「まあ私も好きではないかな。けれど、今の世界は奴隷を認めている。それは間違いない事実だ。だから見方を
変えて考えてごらん? 今奴隷を一人買えばその一人分だけでも奴隷から解放することができるって」
「あ……確かに」
レイの述べたことは半分は当たっているが、半分は詭弁だ。
確かにここで俺が奴隷を一人買えば、その分奴隷を一人解放することができる。
しかしその奴隷を買った分のお金は、奴隷商の懐に入っていく。
そうすると奴隷商は増々奴隷を仕入れて、新たな奴隷となる人々が増えることであろう。
つまり今ここで奴隷一人を救うということは、未来に新たな奴隷となる犠牲者を増やすことにもなるのだ。
そのことを俺はわかってはいたが、半ば目を瞑って奴隷を購入することを決めた。
今はとにかく手段は選んではいられないのだ。
とにかく今は、守護者の鍵を集めて王となってまずはこの国から世界を変えていく。
そのためには一人でも多くの有能な仲間が必要なのだ。
俺は下卑た顔つきをした奴隷商の男に声をかけた。
「すまないが、ここの奴隷市で一番役に立つ奴隷はどれか教えてくれないか?」
「おお、お客様。あの申し訳ございませんが、ご予算は如何ほどで?」
さっそく金の話とは節操のない男だ。
まあ普通の精神では奴隷商などという、生業を営むことなどできないか。
それにそれを利用しようとしている俺も所詮同じ穴の貉か。
俺は奴隷商に出せるだけの金貨を提示すると、途端に見る目を変え俺達を接待し始めた。
「いやーお客様、ご幸運でございますね。実は訳ありですがとても上等な奴隷が一人ございますよ」
「わかった。さっさと連れて行ってくれ」
そういって奴隷商は、奴隷市の中へと誘った。
奴隷市の中には、いかにも屈強そうな男達が並んでおりちょっとは期待できそうな雰囲気を醸し出した。
もっとも奴隷に対する扱いは最低そのもので、家畜かそれ以下の待遇しか与えられてはいない。
そんな最低な現実に早くも辟易としそうになるが。
そうして奴隷商が連れて来たのは、奴隷市の一番奥にある牢であった。
ここまで厳重に逃さないようにしているということは、相当に強そうな奴隷に違いない。
俺はそう期待しつつ、牢の中を覗いた。
だがその中にいたのは、今にも死にそうな衰弱しきった金髪の少女であった。
「おい、ふざけているのか?」
「いえいえ、ふざけてはおりませんよ。これがお客様にとって最良の選択だと確信しております」
俺は奴隷商の真意が読めずにいたが、とにかく話だけでも聞いてみることとした。
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