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追放勇者が魔物と化した日

 俺は追放勇者バベルの亡霊を見たという人がいないか情報が来るのを待ち続けた。

 その間約三日であったが、俺にとってはとてつもなく長い三日間であった。

 まず俺は目が覚めると、役場に行き目撃情報が更新されていないかを確認する。

 それが終わると、次に自分の足で情報収集をした。ルリも同行してくれたが、レイにはアマタの側にいさせてあげたか

たったためあえて同行を拒否した。

 レイはそれに対し少しいじけた素振りを見せたが、何はともあれアマタのことが少し心配だった。

 出会ってそれこそ、一言二言しか会話していない間柄であったが彼が同じ年下の冒険者という境遇であることに変わりはない。

 そんな彼が今、あれから三日間こときれたかのように眠り続けて目を覚まさないのである。

 当然心配になるし、逆にレイがなぜあまり心配そうにしないのかが気になった。

 そのことについて、情報収集を始める前にレイとこんな会話をした。

「なあレイ、どうしてお前はアマタに対してそんな興味がなさそうなんだ?」

「んー? そう見えるかい? 私はそんなことないと思っているけれど」

「いや、でも普通そんなに仲がよくないとはいえ、家族ならもっこうさ……」

「悪い。この話もうやめにしない?」

「……悪かったよ。でもせめて、アマタの側にいてやってくれ」

「わかったよ、リーダー」

 そう言ってニコりとレイは微笑みかけてくるが、何が面白いのか全く理解できない。

 本音を言うならば、そこはニコりと微笑み返すのではなくもうちょっとこうしおらしくか弱い女の子な一面が見たかった。


 そんな愚痴を本当は垂れたかったが、おそらく彼女に言ってものらりくらりと躱されて無駄であろうことは想像がつく。

 とにかく家族が側にいてやってくれていることが重要なのだと俺は考えた。

 そんなことを考えているとだ。

 ギルド役場の前に立ち寄った俺達の前に、待ってましたかと言わんばかりにレイが立ちふさがっていた。

「レイ、アマタの看護はしなくていいのか?」

「うん。もう気を取り戻したからね。それよりナユタに話をしたがってたよ?」

「本当か!」

 俺はまずはアマタの無事を確かめるために医務室へと急いだ。

 そこには、三日前のような廃人同然のアマタは存在せずきちんと正気を取り戻したアマタの姿があった。

「大丈夫だったか!」

「大丈夫。それよりどうして君はぼくの安否をそんなに気にするんだい? 大した知り合いでもないだろう」

 その言葉を聞いて少しムッとする気分が湧き出つつも、確かになぜ俺はこんなに他人同然のアマタの身を案じているのだろうと思った部分もあった。

 そんな減らず口もそうそうにアマタは、何かバベルの亡霊についてとても饒舌に話したがりたそうな雰囲気を醸し出したていた。

 きっとその情報は、俺達が奴を止める際にも役に立つ。ぜひとも話を聞いておきたいと思った。

「なあ、できればいんだが君が魔物に襲われた日のことを教えてくれないか?」

「いいよ」

 俺はあっさり快諾を得られたことに少し驚きつつも、貴重な情報を聞き逃さまいと真剣に聞き入った。

 彼が語ったことによると事の顛末はこうであった。

 

 王への試練において、俺に勝利するため新たなダンジョン攻略つまり守護者討伐のミッションを受けていたアマタであったが、ここで予期せぬ出来事に出くわしたらしい。

 その守護者は、自分のテリトリーも言えるダンジョンを持たず、いわばそいつがいるところがダンジョンと化す特殊な魔物だったそうだ。

 お察しの通りそれがバベルだ。

 バベルは、一切の魔法攻撃を受け付けずアマタの部隊は一瞬にして壊滅させられたらしい。

 アマタは最後の力を振り絞り、帰還魔法でどうにか逃げ延びることができたが正直言ってそれも仲間の犠牲による賜物だったそうだ。

 そのことを聞いて、俺はバベルという存在に心底軽蔑の感情を抱くようになった。

「バベル……魔物と化して人を襲い、堕ちるところまで堕ちて一体何が目的なんだ?」

 そんな疑問を感じていると、その疑問に答えるかのように都合よくレイが部屋とやってきて解説を始めた。

「きっとそのバベルという魔物は、クリーチャーとしての才能もずば抜けていたんだろうけど何より……何人も人間を食らったんだろうね」

「人間を!? どうして一体なんのために?」

「君なら検討がつきそうなものだけれどね、あの裏メニューの魔物版が人間の屍肉なんだよ。クリーチャーにとっては」

 俺はそれを聞いて、ますますバベルに対する嫌悪感を増していった。

 俺を虐待してい頃の表向きは勇者然としたバベルの姿はもうどこにも存在しない。

 その時により一層俺は決意を固め、それを口に出した。

「俺はバベルを倒す。そのためにはどんなことでもする、みんなついてきてくれるか?」

 その提案に対し、皆顔を向かい合わせ数秒した後うんと全員が頷いた。


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