俺だけが頼める新裏メニュー
「それってどんな方法なんですか? 教えて下さいなんでもやります」
「おいおい、流石になんでもは……」
流石になんでもは言い過ぎなんじゃないか? と言いかけたときであった。
俺は思わずFランクで荷物運び時代だった頃のことを思い出す。
あの頃は今はもう亡き勇者バベルに、散々こき使われて俺もなんとしてでもランクをあげて荷物運びなんて辞めたいと思っていた。
ランクの低い者の気持ちはわかっていたつもりであったが、そんなことはもう忘れかけてしまっていた。
「……悪いなんでもない」
俺は自分の不用意な発言を悔い、その場は少し気まずい空気になってしまった。
この気まずい空気を切り替えるためにも、俺にはレイにどうすれば戦力になるのかを聞き出した。
「なあレイ、どうすればルリが戦力になれるのか変に気取らず教えてくれよ」
「えー? 君たち、本当にまだ気がついていないの?」
そういってレイはやれやれもうと言った調子で、俺達をおちょくってくる。
「アハハ、本当に気がついていないんだね。君の本当の能力にも関わることだから言っておくとしようかな。君が強くなった理由を
思い出してみて?」
俺が強くなった理由……? 確かいつもの大衆店にフラっと寄ってそんでそこで出された裏メニューを頼んで完食したら
急にSランクになっていたっていうそんなことだった気がする。
「レイ、君は何を知っているんだ? 勿体つけずに教えてくれ」
「だから言ってるじゃないか、私はナユタのことなら何でも知っていると。でもまあ全部をここで話すと長くなるよ?」
レイの長くなるは本当に長くなってしまう。俺は首を横に振り、食堂へと向かうことにした。
食堂へと着くと、ちょうどご飯時からは外れた時間帯で席は空いておりすぐに座ることができた。
「はい、いらっしゃい。 今日は何を注文するんだい?」
店主の元気の良い声が、俺達を出迎える。
そう言えば食堂に来たはいいがこの先のことを考えていなかった。
確か、この間は特別な注文の仕方をしないと頼めなかったはずだ。
今回はなんと頼めば裏メニューを注文できるのだろう?
俺は店主に向かって顔を向けるが、ニコニコと笑顔を振りまくばかりで何もヒントは得られそうになかった。
「店主……その新しいの」
「へい?」
「とにかく新しいの頼む!」
俺は思い浮かんだ言葉をそのまま発すると、店主は怪訝そうな顔を浮かべる。
「あんちゃん……『新しいの』でいいんだな?」
「ああ、『新しいの』お願いする!」
なんだその『新しいの』って……? 俺はその意味深なワードに首を傾げながらも、どうやら注文が通ったことに安堵した。
店主はその『新しいの』をレシピを見ながらではあるが、ものの数分で作り上げ俺達の前へと提供した。
「はい『新しいの』お待ち!」
その『新しいの』はまたもや麺料理で、物凄い量の野菜が積み上げられた一風変わったものであった。
「ルリ、これ完食できるか?」
「私言いましたよね? 何でもやって見せるって! がんばります」
そう言って、ルリは高々と積上がった野菜をかきわけながら麺を啜った。
直後ルリは、なんとも言えぬ至福の顔を浮かべずるずると麺をすすり続けた。
余程その麺料理が美味しいのであろうか? 彼女はものも言わずにひたすらに麺料理をしゃぶり尽くした。
十分程すると、彼女は麺料理を完食し終えていた。
「その、すごく美味しかったです」
「だろ? なんか夢に神様が出てきて起きたらレシピと材料が置かれてたんだよ」
「大将、もうその説明はいいよ」
「おう、そうかい。にしてもあんちゃんも出世したなー、カワイコちゃん二人連れ回してこっちの方も結構持ってんじゃねえか?」
そういって店主はお金を表すジェスチャーをする。
「おう、持ってるぜ」
そう言って俺が包みから大量の金貨を取り出そうとしたときであった。
「ちょっと、待ってください」
ルリが小さく耳打ちした。
「え? どうしてだよ、これでルリも強くなれるんだからこれぐらい叩いたってウィンウィンだろ?」
「とは言いますけど、やっぱり大金は大金です。もうちょっと節約すべきです」
「……わかったよ」
意外にもルリの財布管理しっかりとしており、俺はなるべく貧相なフリをして銀貨一枚を差し出した。
「なんだい、意外としけてんな」
「いやー、これでもう精一杯でして」
そう言って俺達はその場を立ち去り、その足でギルド役場へと向かった。
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