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防衛都市にて3

 防衛都市で一泊した翌朝、防衛都市内の魔道具店を訪れたアーファたちは物珍しそうに思う感情を抑え、店内を見て回っていた。アーファの乗る車いすを押すのは今日もゼロの役割のようだ。

 楽しそうに店内を見て回る車いすに乗る黒髪の美少女と、それを押す美しすぎる黒髪の少年の構図は絵になるようで、店内にいる者たちが皆ちらちらと視線を送っているのにルーは思わず苦笑いを浮かべてしまった。

――まー、色んな意味で目立つよな。

 黒の法衣を着ているだけで、自分は貴族だと自己申告していることになるのだ。微笑ましい表情でアーファに色々と説明するアーデンは、まるで本当の孫と接しているようにしか見えなかった。

 小型の魔道具はあまり多くないのか、大半が設置型のものだったため購入できたものは多くなかったが、魔力を込めると発熱し、温もりを与えてくれるカイロのような機能を持つ手のひら大の石型の魔道具を3つ購入し、一向は魔道具店を出て、店の前で待っていた馬車に乗り込んだ。今日もアーファを挟んでゼロとルーが座り、対面にアーデンが座る。

「ルー、解析してみろ」

 馬車の扉が閉じられると、購入したばかりの石型の魔道具をルーに1つ手渡したアーファが淡々とそう命令する。

 先ほどまでの楽しそうな表情を浮かべていたのはどこへやら、少女とはいえ女とは怖いものだと思いながら、ルーは丁重に魔道具を受け取った。

 興味深そうにゼロもそれを眺める。アーデンも魔道具を利用してこそいるが、その仕組みを理解しているわけではないようで、リトゥルム王国でも屈指の魔法使いであるルーがどのように解析するのか、興味を持って眺めていた。

 どう見ても文字が掘られた石にしか見えないな、と思いつつ様々な角度から眺めるルー。

 振ったり叩いたり耳を当てたりと色々試すも、どう考えてもただの石だ。

「うーん……」

 次に魔力を込めて発熱させようと試みると、魔力が込められた瞬間に石に刻まれた魔導式が白く発光した。

「あれ、もしかして……」

 何かを思いついたルーが馬車の窓を開け外を確認する。防衛都市の入場門を目指す馬車は舗装された街道を進んでいる。

「街の外に出てちょっと進んだら、一度馬車を止めてもらっていいですか?」

「ほお、何か分かったか?」

「おそらくですが、この石自体はただ研磨されただけの石だと思うんですよね」

 確信を得たわけではないが、アーファに説明を始めるルー。アーファとアーデンはその説明を聞き入っていたが、ゼロは密かに別な石を取りだしそれを眺めていた。

「この魔導式の有無だけが、魔道具となるか、ただの石となるかを分けているのではないかと思います」

 ルーの言葉が終わるかどうかの時、馬車内にキンッ、と短い音が響く。

「確かに、こりゃただの石っすね~」

「なんと……」

「おい、誰が壊していいと言った?」

 どんな技量であれば石を切れるのだろうか、など頭にも浮かべず、ゼロがナイフで魔道具の石を真っ二つに切ったことに気付いたアーファが笑顔でゼロに迫る。その笑顔は普段見られないほどの満面の笑みなのだが、明らかに額に青筋が浮かんでおり、その姿に気付いたゼロは全力で慌てた。

「え、あ、いや、確認したほうがいいかな、と思いまして――」

「誰がお前に頼んだのかな?」

「す、すみません……」

 怒られて小さくなる子どものように謝るゼロ。大きく溜め息をつくアーファをよそに、ルーはゼロの手から割れた石を奪い取る。断面図を確認しても、やはりただの石ころだった。

 そして石に魔力を込めてみるも、やはり切れた状態では魔導式が成り立っていないのか、何も起こらない。

「道具さえあれば俺も割ろうとは思ってましたし、そこまで怒らないであげてください」

「だ、だよな――」

 しゅんとしたゼロに少しだけ同情したルーが助け舟を出す。その言葉にゼロが嬉しそうにルーを見たが、即座にアーファにキッとにらまれ、沈黙へ戻る。

 こうなってはせっかくのイケメンも形無しだ。

「――甘やかす必要はない」

 これではどちらが年上なのか分からないようなやり取りを、アーデンは楽しそうに見守っていた。

「じゃあ、罰として同じくらいの大きさの石を探すのはお前な」

「任せろ!」

 汚名返上と言わんばかりに、食い気味にゼロがルーの指示に頷く。

 そんなこんなで、一向の馬車は防衛都市を出発し、次なる目的地である水の都を目指すのだった。





次話に続きます。

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