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選り鳥見鳥

おっとり鶺鴒(セキレイ)と「でかいの」

作者: 清水悠(Yew)

 僕らは近くに丘がある、川のそばで暮らしている。

 丘の辺りには僕たちのほかにも、色んな生き物が暮らしている。

 僕らと同じくらいの大きさの連中は林がお気に入りで、鳴き声がとても喧しい。

 僕らは開けたところで虫を追うけど、「喧しいの」は林の中で虫を追う。

 僕らよりずっと大きな「黒いの」もたくさんいる。実はちょっと苦手なんだ。

「黒いの」は悪戯好きで、暇を見つけちゃ僕たちを脅かしてからかうんだから。


 僕らは「黒いの」や「喧しいの」と違ってあんまり仲間同士で集まらない。

 父さんは、僕らは小さいけど狩りがうまいから集まらなくても平気なんだって言っていた。

 僕らが暮らす丘の向こうには、大きな四角い岩みたいなのが並んでいる。

 母さんが言うには、「黒いの」なんかよりずっと大きい生き物がたくさんいるんだって。

 あの大きな「岩みたいの」も「でかいの」が作ったって言うけど、ほんとなのかなぁ。


 ある日僕は、丘に続く開けた道で虫を追っていた。

 姿は見えないけれど、声が聞こえるから母さんも近くにいるから安心だね。

 そうして暫くしたら、地響きが聞こえてきた。

 母さんが「「でかいの」が来たから逃げなさい」って言うけど、未だ姿も見えないのに怖がりだなぁ。僕は走るのが得意だから大丈夫だよ。


 なんて言っていたら、「岩みたいの」の向こうからそいつが来るのが見えた。

 僕はびっくりして足が竦んじゃった。だって、ほんとうにでっかいんだ。

 足先だけで僕らくらいの大きさだし、脚は僕らより太いぐらいで兎に角長い。

 それを使ってどんどん近づいてくるんだ。

 母さんの焦った声で我に返って走って逃げたけど、振り返ってもっとびっくり。

 遠ざかるどころか、もうすぐそばまで来ている。


 慌ててまた前を向いて走るけど、とても逃げ切れる気がしない。

 なんせ「でかいの」は脚が長いからあっという間に追いつかれちゃう。

 走っていても間に合わない。仕方ないから僕は羽を拡げて飛んだ!


 だけど、未だちゃんと飛べない僕は「でかいの」の2歩くらいしか飛べなかった。

 着地して振り返ったら、もう目の前に「でかいの」の足が迫ってきていた。

 踏まれるのか蹴られるのかわからないけど、怖くなって目を閉じた……



 あれ、母さんの声が聞こえる……

 恐る恐る目を開けたら、「でかいの」は僕の横を通り過ぎるところだった。

「でかいの」も、ちゃんと避けてくれたんだね。安心して、僕は母さんの声がする植え込みに走りこむ。


 植え込みから覗いたら、「でかいの」が僕くらいの大きさの板みたいなのを顔に当てて何か吠えていた。


----


「いまさぁ、鶺鴒の若鳥を蹴りそうになったよ。あいつらなんで横に逃げないんだろうなぁ…」

 非人間視点です。動物視点です。鳥視点です。鶺鴒視点なんです。


 いや、ちょっと勢いで書いてしまいましたが鶺鴒の心情は兎も角ほぼ実話です。


 私は団地住まいなんですが、周辺にいろんな動物がいます。今回取り上げた鶺鴒もそうですが、他にも作中に登場する「喧しいの」こと四十雀(しじゅうから)(ひたき)の仲間、「黒いの」こと烏などなど。 勿論四つ脚も見掛けますが、鳥視点で見たら人間の方が二足歩行で身近なんじゃないでしょうかね。


 短編ですが、ブックマークしていただくとポイントが付きます。勿論、評価や感想も書いていただけたら喜びます。反応次第ではシリーズ化や長編化も考えます。気に入っていただけたらリアクションをお願いします。

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