新人研修2
悠久の絆を連れてギルドの裏にある修練場に来た。
「今日の所は君達の実力が知りたいので模擬戦をしようと思う。まず一人ずつとやって行こうか。誰からにする?」
「あの~わ、私も模擬戦するんですか?」
「ん?そうだな。ヒーラーのエミリーは見学でいいか。誰か怪我をしたら治してやってくれ。」
「はい、分かりました。」
エミリーには角で見学してもらって、誰が行くか聞くと。
「はいはーい。俺からお願いします。」
「エリックか、よし。やるぞ!」
お互いに五メートル程離れて開始の合図をイーサンに任せる。
「始め!」
俺は開始直後、エリックに近づき剣を振り下ろす。
まぁ、剣と言っても木剣だか、当たるとかなり痛い。よく師匠にやられたものだ。
「は、早い!?くっ!」
咄嗟に盾を掲げて木剣を防ぐエリック、俺は盾を死角に右に回り込み木剣を首に当てる。
「ま、参りました。」
「反応は良かったが盾で受け止めたのが失敗だったな。盾を使うなら受け流せ。死角を作るような事はするな。ある程度出来るように為れば、わざと死角を作って敵を誘導する事も出来るが今は受け流す方向で行け。」
「は、はい。ありがとうございました。」
「次はイーサンお前が来い!」
「は、はい」
開始の合図はエリックに任せる。イーサンは両手剣を正面中央で構えてる。
良い構えだ、あれならある程度は対処できるな。イーサンを観察してると開始の合図を出すエリック。
「始め!」
先程の様に突っ込まないでイーサンの出方を待つ。イーサンは俺が突っ込んで来ると思ったのか動かずにいた。
「どうした?先手は譲ってやるから早く来い!」
するとイーサンが俺に近付き木剣を振り下ろすが俺は木剣で左に受け流し体勢が崩れた所を蹴って倒す。
「イーサン、最初の攻撃が振り下ろしだと中段の構えの意味がないだろ?」
「えっ、でもライルさんもさっきエリックにやってましたよね?」
「俺とお前を一緒にするな。俺はおまえ達の実力を測る為にやってるんだぞ?
言いたくはないが、俺はおまえ達より格上だ。格上の相手に振り下ろしなんかやってみろ、死ぬぞ?」
「は、はい。」
「取り敢えずイーサンはこれで終わりだ。次はライラとエマ二人で来い。」
「えっ、いいの二人がかりで?」
「良いも何もエマとライラは距離を詰めらたら何もできないだろ?」
「確かに。私は詠唱中に近付かれたらそれで終わり。」
「そっか!僕も弓を放つ前に近寄られたら何もできないや。」
「分かったか?エリックまた開始の合図を頼む。それと二人は固まって無いで離れてろよ。俺も20メートルは離れるから。お互いにフォローしろよ?」
エリック達とは違って二人との距離を長めに取り開始の合図を待つ。
「始め。」
さて、どうするかな?
「炎よ。矢となりて我が敵を貫け。ファイヤーアロー!」
「えい!」
エマが炎の矢を撃ってくる。その数は3本。それと同時に後ろからはライラが矢を放つ。前からは炎の矢、後からはライラが放った矢が迫る。
俺はライラが放った矢を木剣で叩き落とすとエマが放った魔法が目の前に近づく。
「水よ。」
詠唱を省略し水の矢を10本出して炎の矢に放つと相殺して残りはエマに向かう。エマは魔法を放った場所からは動いておらず、水の矢が迫るが目を瞑ってしまったので、水の矢を解除する。
ライラはその間に矢を放とうとするが。
「遅い。」
俺に近付かれると呆気なくギブアップをする。
「エマ魔法を撃ったら直ぐに動け、その場で止まっていると狙われるぞ!ライラは味方の位置を考えろ!俺が避けたらエマに当たるぞ!はぁ~。おまえ達【あまり】模擬戦やってないだろ?」
全員が俺の言葉に反応して目を逸らす。
「よくそれでやってこれたな?魔物とかと出会った時とかどうしてた?」
「え~とその時はライラかエマで牽制して怯んだ所を俺とイーサンが斬り込んでました。」
「それは間違っちゃいないが格上の魔物に会った時、今のおまえ達では通用しないぞ?エリック明日の予定は何かあるか?」
「1週間は何も予定入れてないです。」
「その間はクエストを受けないのか?」 「はい。」
俺は少し考えてエリックとイーサンにクエストを受けさせる。
「明日、エリックとイーサンはクエストを受けてもらう。エマ、ライラ、エミリーは鐘が二つ鳴る頃にギルドに来い。」
「「えっ、なんで俺達だけ?」」
「私達が目当て?」
エリックとイーサンは自分達だけクエストを受けるのが気に食わないみたいだな。エマ、人聞きが悪い事を言うな。
「エリックとイーサンが受けてもらうクエストは討伐とかじゃないから安心しろ。確か雑貨屋のオードリーって所で荷物持ちのクエストが有ったはずだ。それを午前中に受けて、午後からは模擬戦をする。」
「ねぇねぇ、ライルさん僕達は?」
「エマとエミリーに午前中に魔力を上げる為に魔力制御をして貰う。そしてライラは勉強だ。」
「え~!なんで僕だけ勉強なのさ?」
「それはな。仲間の位置を考えず矢を放つからだ。」
「うっ!?わ、分かったよ、分かりましたよ。勉強すれば良いんでしょ!」
「じゃあ、明日はそれで行くからな。今日の所は帰って良いぞ。」
それぞれ明日のする事を伝えて解散し、俺はヘレンの元に向かった。
「ヘレン、今いいか?」
「はい、どうしました?」
俺はヘレンに模擬戦であった事を教えて、エリックとイーサンには明日午前中だけクエストを受けさせるので、雑貨屋のクエストがまだある事を確認し回して貰う様に伝える。
「なるほど、分かりましたよ。午前中にエリック君とイーサン君を離して、その間に女の子達と仲良くしようって魂胆ですね♪」
「違う!説明を聞いて何でそうなる?ちゃんと聞いてたのか?」
「冗談、冗談ですよ。」
「俺はそんな冗談は嫌いだ。」
「でもねライルさん。ライルさんの考えがそうであっても、他の人からはそういう風に見えるって事も頭に入れておいてくださいね♪」
「!?そ、そうだな。そこまで考えてなかった。」
「てな訳で、明日の午前中はギルマスに付き合ってもらってください。」
「いや、ソルシャも忙しいだろ?ギルマスなんだから。」
「大丈夫ですよね♪ギルマス。」
ヘレンが俺の後に声を掛けたので振り返るとソルシャがいた。
「ギルマスはエルフなので魔法の事も詳しいですし、丁度明日の午前中は仕事が無いんですよ。ね、ギルマス♪」
「あ、あぁ。明日の午前はやる事が無いから付き合っても良いぞ。」
「本当にいいのか?」
「なんだライル?私が居たら、まずい事でもするつもりか?」
「そんな事するつもりは無い!ソルシャがいいなら、頼むよ。」
「あぁ、任せろ!」
明日の午前だけでもソルシャが付き合ってくれて助かるな。
これで変な目で見られる事はないだろ。
待てよ。よくよく考えたら、ソルシャが居ても周りは女だらけじゃないか‼️
慌ててソルシャを探すがもう出掛けてギルドには居なかった。
誤字脱字を教えてもらいありがとうございます。気を付けていきたいと思います。
面白いと思ったら評価とブックマークお願いします。