新人研修
俺は朝早くギルドに来て掲示板を見ている。
「え~とこれは?」
街の雑貨屋オードリー
店主が腰を痛めたので荷物持ち募集。報酬は大銅貨五枚。
「うーん、これはちょっとな。こっちは?」
今日のお昼まで子供の世話をお願いします。報酬は大銅貨三枚
「こんなクエストしかないのか?困ってはいるみたいだけど、流石にBランクの俺はやっちゃいけないよな。どう見ても新人用だろうし。」
掲示板をみて唸っていると後ろから声を掛けられる。
「どうしましたライルさん?難しい顔をして。」
「ヘレンか。クエストを見ていたんだがいいのが無くてな。討伐クエストは無いのか?」
「討伐クエストですか?この前のはぐれオーガが居たせいなのか、今リスロでは討伐クエストが余り無いんですよ。」
「あぁ、そういう事か。報酬がいいクエストは無いか?」
「そうですね~。ちょっと付いてきてください。」
ヘレンに連れられて二階に上がりギルマスの部屋をノックしてから入る。
コン、コン。
「ギルマス入っていいですか?」
「ヘレンか?いいぞ。」
部屋に入るとソルシャは机に座って書類とにらめっこして此方を見ずに用件聞いてくる。
「で、何の用だヘレン?」
「はい、ライルさんに新人研修をしてもらおうと思うのですが?」
「はぁ?ちょっと待って俺が教えるのか?」
「ラ、ライルいつの間に部屋に!?」
「普通にヘレンと一緒に入ってきたぞ。」
「おい、聞いてないぞ!?」
「えぇ、言ってませんからね♪」
そこからソルシャとヘレンの言い合いが始まり、俺は一人で気まずい思いをしていた。こんな事ならキュウも連れて来れば良かった。
キュウの奴、起こしても起きずに挙げ句に俺の指に噛み付きやがって。
キュウの動物?としての野生は何処に行ったんだろうか?
「ハァ、ハァ。ギルマス話を進めてもいいですか?」
「ハァ、そうだな。ハァ、話を進めてくれ。」
どうやら彼方も片が付いたみたいだな。
「で、ライルに新人研修をさせるって事だったな?」
「はい、ライルさんには期待できるパーティーを一組を教えてもらおうと思います。」
「ちょっと待って、パーティーって。教えるのは一人か二人じゃないのか?」
「はい、今までの研修なら一人か二人なんですが、ライルさんはBランクなんで丁度いいと思い、パーティーをお願いしたいんです。」
「はぁ~。で、そのパーティーは何人いるんだ?」
「少年が二人に少女が三人の5人組のパーティーですよ。」
「ちょっと待て、ライルが教えるパーティーには女がいるのか?それはその~まずく無いか?ラ、ライルも男だし少女三人とか………………。」
最後の方は声が小さくて聞き取れなかった。
「おい、ソルシャ俺が何かすると思ってるのか?」
「い、いや。ライルが何かすると言うか、されると言うか。」
「馬鹿馬鹿しい。Bランクの俺が何をされると言うんだ。教えるそいつらのランクは?」
ソルシャの発言を笑いを堪えて質問に答える。
「プッププ、あっはい、Eランクです。悠久の絆と言う名のパーティーです。どうです引き受けてくれますか?」
「う~ん、期間と報酬は?それ次第だな。」
「そうですね。期間は一週間。報酬は金貨4枚でどうですか?」
「なかなか気前がいいな。まぁ、いいだろう。引き受けるよ。」
「ありがとうございます♪それと報酬の半分を先に渡しときますね。ライルさん今苦しいでしょ?」
「助かるありがとう。それで何時からやる?」
「まだあの子達は来てないので鐘が二回鳴る頃にまたギルドに来てください。」
「分かった。キュウも連れていくが構わないよな?」
「えぇ、キュウちゃんはライルさんの従魔ですから大丈夫ですよ。見た感じは従魔に見えませんけどね。フッフフ♪」
「だな。キュウは何て言うか、気心知れた仲間って感じだ。それじゃ一旦宿に戻って準備してから来るよ。」
部屋を出るときにソルシャを見ると頭を抱えて悩んでいた。何かおかしな事が在っただろうか?
宿の部屋に戻るとキュウはまだ寝ていた。おいおい、いつまで寝てるんだ?
「ほら、起きろキュウ。」
「キュ~?」
「早く起きないと朝食食えないぞ?」
その言葉で目が覚めたのか、直ぐに起きる。キュウを起こすときは飯で釣るのが一番だな。キュウが起きたので食堂に降りて遅めの朝食を取る。
「キュウ飯食ったらギルドに行くぞ。」
「キュウ?」
「キュウが寝てる間にギルドに行ってクエストを受けてきた。鐘が二回なる頃にギルド集合だ。飯食ったら、道具を揃えてギルドに行くぞ。」
「キュウ♪」
飯を食べ終えて、泊まりの延長を頼み宿を出て道具屋によりポーションや毒消しを買い腰のポーチに入れてギルドに向かう。
ギルドに付いた時に丁度鐘がなり、中に入っていく。
「ライルさんこっちです。」
ヘレンに呼ばれ近寄ると少年少女が五人居る。
「この人はライルさん。あなた達の教官よ。」
「え~!この人ですか?俺達とそんなに変わらないじゃん‼️」
「こら、エリック君。ライルさんはBランクなのよ。失礼な事言わないの!」
エリックと呼ばれた少年の頭に拳骨を落とすヘレン。ドゴッとかなりいい音がしてエリックは蹲ってしまう。
「あなた達もライルさんに教えてもらう立場なんだから失礼の無いように!」
「「「は、はい」」」
「そのなんだ、自己紹介を頼む。取り敢えず名前と得物を教えてくれればいい。」
「じゃあ、僕から。名前はライラで得物は弓だ、です。え~と斥候みたいな事もするんだ、です。よろしく、です。」
敬語で話そうとしてるがぎこちないな。
ライラは髪が紅くうなじが見えるくらいでなんか男の子って感じがする。
身長は160ぐらいか?
「は、はい。わ、私はエミリーです。ヒ、ヒーラーをや、やってます。得物って言うかスタッフを使ってまます」
エミリーはプラチナブロンドで前髪を揃えて後ろ髪は肩まで伸びている。
身長はライラより頭一つ分低い。かなり緊張してるな、最後の方はまが一つ多い。
「私はエマ、魔法使いで得意の属性は炎。後私もスタッフを使う、よろしく。」
エマはイエローブラウンで前髪を揃え後ろ髪を短めに切って揃えている。
身長はエミリーと変わらない。
「俺はイーサン、剣士で得物は両手剣です。よろしくお願いします。」
イーサンはアッシュブロンドで髪を全体的に短くしている。
身長は俺と対して変わらないから180ってことか。
「俺は悠久の絆のリーダーでエリックって言うんだ、得物は片手剣で空いた左手で盾を使うぜ。ライルさんがBランクに見えなくて生意気言ってすんませんでした。」
エリックはダークブロンドで中央部分を長く立たせ、中央からサイドに向かって滑らかにひし形を描くような髪型だ。
「ヘレンに紹介してもらったが、改めてBランクのライルだ。確かに君達とは歳も余り変わらないから普段通りの喋り方でいいぞ。おい、キュウ出てこい。」
キュウを呼ぶと道具を入れているポーチとは別のポーチから出てきて俺の肩に止まる。このポーチはキュウを街に連れていくと人の目が集まるのでポーションを買った道具屋で買ってキュウ専用のポーチ、只ポーションを入れるポーチと二つ付けているので少し重い。キュウ自体はかなり気に行ったみたいだ。
「キュウ♪」
「「「わぁ~可愛い」」」「「ちっちぇ~な」
「ねぇねぇ、ライルさんこの子キュウちゃんって言うんですか?」
ライラが聞いてきたので俺が付けようとした名前が気に入らないので仮の名として呼んでることを説明した。
少女三人から冷めた目で見られた。何故だ?
「はっははは、俺はゴンザレスいいと思うよ。なぁ、イーサン?」
「確かに強そうではあるけど、ゴンザレスちょっと、どうかと思うよ。」
くっ!この中で俺の味方はエリックだけか。
「でも、ライルさん僕はこのままキュウちゃんでいいと思うけど?」
「そうか?キュウはどうだ?キュウで決まりでいいか?」
少し考えて首を縦に頷くキュウ。
「じゃあ、これからもよろしくな。キュウ。」
「キュウ♪」
「ライルさん後は任せます。この子達の事お願いしますね。」
「あぁ分かったよ。」
ヘレンが自分の仕事に戻っていく。
「なぁなぁ、ライルさん」 「なんだエリック?」
「これからどうする?直ぐに街を出て実戦か?」
「いや、取り敢えずエリック達の実力を知りたいからギルドの裏にある修練場で模擬戦だな。」
エリック達、悠久の絆の実力を知る為に模擬戦を先にすることにした。
さて、期待の新人の実力はどんなもんかな?
今回はここまでにしました。何処まで長くなるかわからなかったので。日刊総合ランキングで5位になりました。これも皆様のお陰です。ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。面白いと思っていただけたら評価とブックマークお願いします。