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婚約者に裏切られたので諦める事にした  作者: 東海さん
2章リスロ編
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小さな出会い

今回は短くなっておりますが楽しんでいただければ幸いです。

ラグラを出て馬車を走らせる。


見慣れた筈の風景が今日はいつもより綺麗に思える。


「こんなにのんびりするのは初めてだ。」


前までは日帰りか一泊でラグラに戻っていたが、今は急いで戻ることはない。

好きな時に馬車を止めても誰の迷惑にもならないと思うとやはり馬車を買ったのは正解だったな。


街道から少し外れた所に寝転がるのに丁度いい木陰が在ったので馬車から降りて寝転び、鞄を枕にしてみる。


「堅いな。まぁ、無くてもいっか。」


他に枕になるような物は無いので両手を枕にし鞄は横に置いておく。


「こんなに陽気がいいと眠くなってくるな。」


目を閉じてると心地良い風が髪を撫でる様に吹く。


「う~ん、ふぁ~あ。」


いつの間にか寝てしまったみたいだ。

胸の辺りに重みを感じたので見てみると、体を丸めて寝ている動物がいた。

白黒の縞模様の尻尾があり、尻尾は体よりも長く見え、目は大きく紫色で明色の毛皮の斑に囲まれている。


「なんだこいつ?いつの間に俺の上で寝てるんだ?」


胸の上で寝ている動物の首を右手で掴み持ち上げてよく見ようと顔に近付けると起きたみたいで顔をキョロキョロと動かし自分の状態に気づくと暴れだす。


「ちょ、暴れるなよ。痛、痛たたた。」


顔に近付けて見ようとしたら顔を爪で引っ掻けられる。

慌てていると鞄に干し肉を入れたのを思い出し、その動物の前に出すと暴れるのを止めて匂いを嗅ぎ大丈夫だと判断したのか小さな手を出して取ろうとする。


「ま、待て。お前には大きいから小さくしてやるから。」


動物を下に降ろすと逃げもしないで足元で待っている。


「お前俺の言葉が分かるのか?まぁ、いい。ちょっと待ってろよ。」


食べやすい様に小さく噛みきった干し肉を与えると小さな手で掴み一生懸命に食べている。


「咄嗟に干し肉を出してみたけど、案外食べるもんだな。」


渡した干し肉を食べ終わると此方を物欲しそうに見上げてくる。


「ほら、沢山食べな。」


残りの干し肉を小さくして与えてやると。


「キュウ、キュキュキュウ」


お礼を言うように軽く頭を下げてから干し肉を食べ出す。


「お前頭いいな。お前みたいな動物見たことないんだが、この辺に住んでるのか?」


質問してみると干し肉を食べながら首を横に振る。

やはり言葉が分かるみたいだな。て言うか、食べるのは辞めないんだな。


「そろそろ俺は行くよ。お前も気を付けろよ?じゃあな。」


馬車に戻ると俺の体を登って肩に乗る。


「なんだ着いてくるのか?」


聞くと「キュウ」と鳴きながら頷く。


「俺に着いてきても何も無いぞ?それでも着いてくるのか?」


少し考える素振りを見せて頷く。


「しょうがないな。一人旅だし、小さいお前なら邪魔にはならないか。」

「キュウ、キュウ。」


嬉しそうに鳴いている。


「魔物とか出たら直ぐに俺から離れろよ。危ないからな。」

「キュウ~。」


不満そうに鳴き、小さな手から爪を伸ばして引っ掻くポーズを取る。


「いや、そんな小さな手の爪じゃ役に立たないから。」


自分の爪を見て考え込んでいる。


「いいから。魔物が出たときは俺に任せておけ。」

「キ、キュキュウ~。」


焦った声を出し両手を広げて上下に振る。

どうやら少し待ってと言ってるみたいだ。

中々に芸達者だな、こいつ。


「キュウ‼️」


何かを思い付いたのか、大きく鳴くと手を上げて振り下ろすと、そこから火の玉が木に向かって飛び出す。


「お、お前。魔物だったのか!?」


魔法を使った事に驚き警戒すると「キュウ、キュウ」と鳴きながら首を横に振る。


「魔物じゃないのか?」


「キュウ」と鳴き頷く。

確かに人を襲う様な魔物に見えないし、人の言葉を理解する魔物は余り居ない。

考え込んでいると両手を組み瞳を潤ませながら俺を見上げてくる。


「はぁ~。分かったよ。お前が魔物じゃないって信じるし、連れていくから。だからそのポーズをやめろ。」


言うと直ぐに止めて両手を上げて喜ぶ。

なんなんだこいつは?


「お前名前はあるのか?」

「キュ?キュウウ。」


自分を指してから手を振る。


「無いのか。俺が付けてやろうか?」


首を縦に何度も頷く。


「そうだな。強そうな名前がいいよな?ゴンザレスはどうだ?って噛みつくなよ。痛いだろ!」


くそ、ゴンザレス強そうでいいじゃないか。何が気に入らないだ?

名前を考えては言うとこの度に噛みつかれる。


「はぁはぁ、名前は後で決めよう。ただ呼ぶのにお前とかは嫌だろ?」

「キュウ」

「名前が決まるまでキュウと呼ぶことにするぞ。それで言いか?」

「キュ~、キュウ。」


不満そうだがなんとか納得してくれたみたいだな。






「よし、キュウ。リスロに向かうぞ!」

「キュウ!」










ブックマークが1000件越えました。総合日刊ランキングも7位になりこれも読者の皆様のお陰です。ありがとうございましす。色々な感想頂き私自身勉強が足りないと考えさせられていますが、こんな私ですが引き続き応援してもらえると嬉しいです。そして謎の生物キュウの名前をどんなのがいいのか?と考え込んでいる所です。どんな名前が付くのか。楽しみにしていただければ幸いです。

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