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閑話ケビン

ケビン視点


俺は朝からダンジョンに入り、手に入れた剣と首飾りの効果を確かめに来ている。


「本当にそんな効果が有るのか?」


疑問に思いながら、ダンジョンに潜っていくと、ゴブリンを見つける。


「ゴブリンか。丁度良い。試して見るか!」


ゴブリンに近づくと俺が見えてる筈なのに、襲いかかってこない。


「おいおい、マジかよ!?」


襲いかかってこないゴブリンに更に近付き剣を上から下に振り下ろすと、

なんの手応えも感じずにゴブリンの体が二つに別れ燃え尽きる。


「なんだこれ?全然手応えがねぇぞ‼️スゲーなこの剣。ゴブリンが俺を見ていたのに襲いかかってこないのも聞いてた通りだったな。」


剣と首飾りを使ってダンジョンをどんどん潜っていく。

途中で遭遇する魔物もゴブリン程ではないが何時もより動きが鈍い。

そのお陰で手後ずる事なく魔物を切り裂いてく。

ソロでダンジョンを潜っていた頃は10階層辺りでもたついたが、この剣と首飾りで既に15階まで来れた。今の時点でソロでは誰も到達出来なかった階まで来れたが…………


「楽勝だな。このまま行けるとこまで行ってみるか!」


20階に近付くと魔物が手強くなってくる。


「ちっ、ここまで来ると、首飾りの効果もあまり効かなくなってきたな。」


首飾りが効きづらくなってきたが剣で何とか20階層に到達する事が出来た。


「此処等が限界だな。引き上げるか。」


ソロで20階層に到達出来た事に満足し俺はダンジョンを出てギルドに向かう。

ダンジョンを出ると外は日が落ち始めていた。

ダンジョンからギルド迄は歩いて二時間程で着く距離にある。

俺は笑いが止まらなかった。


「くっくくく、最高だな‼️あの男に聴いたときは半信半疑だったが、これがあればSランクも夢じゃない‼️俺はライルを越えたんだ。ハッハハハハ。」


ギルドに着くと直ぐにミアの所に行きギルド証を出し、ソロでダンジョンの20階層に到達したことを伝えて確認してもらう。


「ミアちゃん、ソロで20階層到達してきたぜ。」

「えっ。ほ、本当ですか?」

「嘘じゃないよ。はい、ギルド証。これで確認してみてよ。」

「は、はい。ギルド証をお預かりします。此方でお待ちください。」


個室に通されて暫く待つと、ミアとギルマスが部屋に入ってくる。


「おい、ケビン本当に一人で行ったのか?」

「なんだよ?ギルマス俺を疑ってるのか?なら嘘感知の魔道具でもやろうか?」

「すまんが、頼めるか?」

「あぁ、いいよ。確かに自己申告じゃあ信用出来ないよな。」

「すみませんケビンさん、直ぐに魔道具を用意しますのでもう少しお待ち下さい。」

「別に気にしなくても良いから。」


ミアは魔道具を取りに席を外し、ギルマスと俺が残される。


「ケビンどうやってソロで20階層まで行けた?」

「それは言えないな。ギルマス、冒険者は自分の能力をそんな簡単に教えない。

これはギルマスが教えてくれたことだろ?」

「うっ、そうだな、悪かった。」

「分かってくれればいいさ。」


ギルマスは疑っているみたいだな。俺は首飾りに魔力を少し込めるとノックもせずにミアが慌てて魔道具を持って部屋に入ってくる。


「お待たせしました。」


ミアが持ってきた魔道具に触れ、ギルマスがソロで行ったのか?と質問をしてくるが魔道具が反応する事はなかった。


「確かにソロのようだな。疑って悪かったなケビン。」

「気にしないでくれよ。ギルマス。」


魔道具が反応しない事でギルマスはあっさりと疑うのを止める。

ギルマスは水晶を使って直ぐに王都のギルドに連絡を入れる。


「ケビン。王都のギルドに連絡したら、昇格試験は無しにAランクに上げろとの事だ。一旦此方でギルド証を預かるから、明日の朝に来てくれ。」

「分かった。明日顔を出すよ。」


ギルドを出て酒場に入って人が居ない角のテーブルに座りエールを頼んで持ってきてもらう。直ぐに深いローブを被った男が座る。


「どうでしたか?剣と首飾りの効果は?」

「あんたの言った通りの効果だったよ。これはどこで手に入れたんだよ?」

「ケビンさん。聞かない方が身の為ですよ。」


出所を聞こうと思ったが男は笑顔で言うがその目は笑っていなかった。


「わ、悪かったな、つい気になっちまって。」

「良いんですよ。約束を守っていただければね。」

「この剣と首飾りの事は誰にも言わない。だったな。」

「はい。それさえ守っていたたければ好きに使って頂いて構いません。」

「あぁ、破る気はないから安心してくれ。」


男はそれだけ喋ると酒も飲まずに店を出ていった。





翌日ギルマスに言われた通りギルドに行くとAランクのギルド証を貰って帰ろうとすると、ライルを見つけ声を掛け肩を組む。


「おーい、ライル。」

「なんだ、ケビンなんか用か?」

「いや、用って訳じゃないけど、今からクエスト受けるのか?」

「当たり前だろ。その為にギルドに来たんだから。お前は?」

「俺は今日は休みだ。昨日はダンジョンに潜ってたからな、ライルはちゃんと休んでるのか?婚約者のえ~と何て言ったけ?」

「エリーの事か?」

「そうそう、エリーちゃんとたまにはデートでもしたらどうだ?」

「いや、エリーにはちゃんと夜に会っているから大丈夫だ。」

「そうか、いらん世話だったな。で今日はどんなクエストを受けるんだ?」

「今日は討伐のクエストを受けるつもりだ。この辺の魔物も活発化してるしから、間引いた方がいいだろ?」

「どんな魔物をやるんだ?」

「オーガだな。リスロで目撃があったみたいでな、クエストが出ていた。」

「おいおい、リスロってここから半日掛かるぜ?オーガを探し出して倒したとしても、今日中には帰れないぞ!」

「確かに今日中には帰れないが困ってる人はほっとけないだろ?」

「リスロでも冒険者ギルドがあるだろ?そいつらに任せればいいじゃないか?」

「いや、今リスロにはBランクの冒険者が居ないみたいだな。だからここラグラ迄クエストが回ってきたらしいぞ。」

「マジか?そりゃ、ついてないな。クエスト受けて直ぐに行くのか?」

「クエストを受けて一旦戻ってエリーに説明してから行くつもりだ。」

「そうか、気を付けて行ってこいよ。」

「あぁ。ケビンも休みだからって飲み過ぎるなよ。」

「ヘイヘイ、飲まないようにしますよ。じゃあな。」


ライルが今日何してるか探りを入れたら、わざわざリスロまで行ってオーガ討伐をしに行く事また今日は帰って来れない事を聞き、これはチャンスだと思いライルと別れた振りをしライルの後をバレないように追いかける。


ライルが家に戻り様子を伺っていたらライルが家を出ていく、暫くするとエリーが家から出てくる。俺はライルを迎えに来たエリーを見てから忘れれずにいた。


エリーが家を出て街の中を歩いてる所に声を掛ける。




「あれ?エリーちゃんどうしたの?なんか寂しそうだよ?」

「ケビン?えぇ、ライルが仕事で今日は帰れないらしいの。一人で家に居ると部屋が広く感じてしまって外をぶらついてたのよ。」

「そうなのか?ライルの奴こんな可愛い婚約者を寂しがらせるなんて、

悪い奴だな。」

「そんな事は無いわ。ライルは困ってる人をほってけない人だからしょうがないの。私はそんなライルが大好きなんだから。」

「おいおい、そんなに怒らなくてもいいじゃないか?ちょっとしたから冗談だよ。」

「言っていい冗談と悪い冗談があるわ。」

「悪かったって。お詫びに食事を奢るから許してくれよ。なぁ。」


エリーと昼を一緒に食べて夕方まで二人で街を歩いていく。

エリーを見ると、そろそろ帰りたそうにしている。折角ライルが居ないのをいいことにエリーに声をかけたのにここで別れてしまったら意味がないと思いエリーに話しかける。


「ねぇ、エリーちゃん。」


エリーを呼ぶと、俺を見上げて。


「なにケビン?」

「俺またエリーちゃんの料理が食いたいんだけど、作ってくれないかな?」

「ケビンの家で?」

「使い慣れてる道具がいいだろ?だからエリーちゃんの家で食べたいんだけど。」

「えっ、ダメよ。今家にはライル居ないんだから。ライルが居る時に家に来れば作ってあげるから、、別の日にしましょ。」


別の日では意味がない!俺は首飾りに魔力込める。


「今日食べたいんだよね。俺今日Aランクに成ったから前みたいに祝って欲しいんだよ。」

「えっ、ケビンAランクに成ったの?ライルはまだBランクなのに?」


エリーの言葉を聞き首飾りの効果が効いてるのを確信し、更に尋ねる。


「そうなんだよ。まぁ、ライルの事だからあいつも直ぐにAランクになると思うけどね。どうかな?作ってくれない?」


エリーの頭の中ではAランクの俺とBランクのライルが過っているだろう。

考えが纏まらない内にエリーは作ってくれると言ってくれる。


エリーとは一旦別れて酒屋に行き女性の評判がいいワインを買ってライルの家の裏口から入ると、いいにおいがしてくる。


「いいにおいがするね。美味しそうだ。エリーちゃん料理が上手だね。」

「これぐらい普通よ、そんなに手の込んだものじゃないし。」

「ワイン買ってきたから晩飯の時に食べながら飲もうよ。」

「えっ、私あまり強く無いんだけど。」

「そうなの?じゃあ一杯だけども付き合ってよ。」

「一杯だけなら、いいわよ。」


料理が出来上がり机を挟んで座り料理を食べながらワインを飲む。


「あっ、今まで飲んできたワインより、このワイン美味しい。」

「それね。折角Aランクになったから奮発していいのを買ったんだ。」

「へぇ~、Aランクになるとこんな美味しいワインが飲めるのね。」


エリーにワインを薦め綺麗で可愛いと誉めていると、エリーの気分も上がってきて、二人で寝室に行く。


エリーと寝室に入ると初めは恥ずかしがっていたが盛り上がって来た時に外から物音がする。


ゴトッ。



「なに?なんの音?」「なんだ?」



エリーがシーツで体を隠し寝室のドア開けて見渡して部屋の中に戻ってくる。


「エリーなんの音だった?」

「廊下が暗くて良くわからなかったわ、風かしら?」

「へっ、ライルが帰ってきてたりしてな。」

「ちょ、ちょっと冗談はやめてよ。」


ライルの名を出すとエリーが慌てたので落ち着かせる為に声を掛ける。


「大丈夫だよ。いくらライルでもオーガを倒して今日中には帰ってこれないさ。そんな事はより続きをしようぜ。」


それでも不安なのか、落ち着かない様子なので枕元にある首飾りに魔力込めるとエリーは寝室に戻って来てそのまま二人で楽しむ。


朝になって俺は裏口から出ていく。




ランクではライルを越して婚約者のエリーを抱き、俺は嘗て無い程の高揚を覚えた。


ライルとは同期でいつも劣等感を感じていた。ライルは何でもそつなくこなしやがる!ライルには負けたくないと思い頑張ってみたがやはりBランクに上がるのはライルが先だった。


いつしかライルの事が憎くなった。

だが今の俺はライルよりも上のAランク!エリーの心も俺の物になるのも時間の問題だろ。

俺はライルの家を見ながら。





「悪いな、ライル。」









ブックマーク600を越え。そして日刊総合ランキングで13位になりました。これも皆さんのお陰です。ありがとうございます。誤字脱字等の指摘もありがとうございました。感想も色々貰いとても嬉しいです。さて今回のケビン視点は皆様にどの様に捉えられるのか。楽しみであり、怖くもあります。しかしどんな感想でも嬉しいのでよろしくお願いします‼️

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[一言] 死ね人型ゴミ
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