閑話エリーの後悔
前回の後書きで二章突入を言ってましたがエリー視点を入れたくなったので入れてみました。次は二章かケビン視点どちらかを考えてますので、引き続きよろしくお願いします。
エリー視点
ライルが家を出て行ってしまった。
なんでこんな事になってしまったんだろ?
決まっている。私がライルを裏切ってしまったからだ。
私とライルは小さい頃、教会の孤児院で生活していて、いつも一緒に居てそれが当たり前だった。ある日教会に冒険者が来て、ライルはその冒険者ディルさんに弟子入りをお願いしていた。
「おっさん、冒険者か?」
「誰がおっさんだ、お兄さんと呼べお兄さんと。」
「おっさん歳は幾つだよ?」
「30だ。」
「おっさんいいこと教えてやるよ。30は立派なおっさんだぞ?」
「うるせーよ。でガキが俺になんの様だ?」
「俺はガキじゃない‼️俺は冒険者に成りたいんだ。おっさん強そうだし、弟子にしてくれよ。」
「弟子だと?おいガキお前幾つだよ?」
「だから俺はガキじゃない‼️俺はライル8歳だ。」
「分かったライルだな。良いこと教えてやるよ。8歳はガキって言うんだよ。
勉強になったな。」
ライルは冒険者のおじさんに相手にされてなかった。
「ライル、なんで冒険者になりたいの?危ないよ。」
「冒険者に成って教会の皆に楽をさせてあげたいんだ。それにエリーとも結婚の約束もしたし、金を一杯稼ぐんだ。」
ライルは教会の皆と私の為に冒険者になると言ってくれた。
それは凄く嬉しいけど、ライルがケガをしないか心配だった。
次の日もその冒険者は教会に来た。
「なぁ、おっさん頼むよ。俺を弟子にしてくれよ。この通り。」
ライルが頭を下げて冒険者のおじさんに頼み込んでいる。
「はぁ~、冒険者ってのは命の危険がいつも付きまとう仕事だ。ライルなんで冒険者になりたい?」
「俺はずっと教会の神父さんとシスターに迷惑をかけていたから冒険者に成って稼いだ金を渡したいんだ。それにエリーと結婚の約束したから、金を一杯稼ぎたいんだ。」
「確かに冒険者はランクを上げればいい金稼ぎになるがCランクまで上がらないと対して稼げないぞ。お前ははまだ子供なんだから、将来を直ぐに決めなくてもいいんじゃないのか?」
「違う‼️俺は子供じゃない。分かったよおっさんの世話に為らない。一人で冒険者に成ってやる。」
「まったく、分かったよ。弟子にしてやるよ。勝手に冒険者に成って俺の知らないとこで死なれるのも夢見が悪いからな。」
「おっさん本当か!?」
「条件がある。弟子にはするが才能が無かったら、冒険者にはなるな。命を無駄に捨てるだけたからな。」
「うん、それでいいよ。俺が才能ないわけないからな。ありがとうおっさん。」
「おっさんじゃねぇ。俺はディルだ。」
「ディル…………分かった、これからよろしくお願いします。ディル師匠。」
私は柱の陰に隠れていてライルが弟子になったことを知った。
それからライルはディルさんの修行を7年受けて15の時に冒険者になった。
ライルが冒険者になり一年半でCランクに成った時に婚約をし一緒に住むこになった。
一緒に住むように為ってからもライルは冒険者の仕事を頑張ってCランクに成ってから一年半Bランクに成った。
他の人に聞くとBランクになるには大変らしい。
「ライルBランク昇格おめでとう。凄いね。こんなに早くBランクに成れるなんて皆吃驚してたよ。」
「エリーありがとう。でも俺だけじゃないんだよ。同期のケビンもBランクに昇格が決まったよ。」
「へぇ!その人も凄いんだね。」
「エリーも俺を迎えに来てくれた時に見てるだろ?金髪でロン毛の見た目チャラい感じがする奴。」
「あぁ、あの人ね。見たことあるわ。そっかライルだけじゃないんだね。
そのケビンさんも誘って一緒にご飯でも食べてお祝いしない?」
「そうだな。同期で同じ時期にBランクに成ったんだ。明日声を掛けてみるよ。」
次の日にライルがケビンさんを誘って三人でBランクに上がったお祝いをした。
「なんかよ、悪いな。ライル俺まで祝ってもらって。」
「ケビン同期なんだから気にするなよ。」
「でもよ、ライルがいつも言っている婚約者の子に悪いだろ?」
「え~と、気にしないで下さい。いつもライルがお世話になってるんですから。
あっ、自己紹介がまだでしたね。私はエリーです。宜しくお願いしますね。」
「あぁ、エリーちゃんね。ライルから良く聞いてるよ。自分には勿体無い位の
婚約者だって。」
「もう、ライルったら。私だってライルの事は私に勿体無い位にいい人だわ。」
「エリーそんな事は無いよ。俺はエリーが横に居てくれるだけで幸せだから。」
「ラ、ライル。私もあなたが居るだけで幸せだわ。」
「おーい、俺の事を忘れて二人の世界に入らないでよ。俺どうしたらいいの?」
「ご、ごめんなさい。」「わ、悪い。」
「ったく。ライルが羨ましいったら無いぜ。」
この時は三人で笑いながらご飯を食べて解散した。
そしてあの日ライルが家に帰ってきて、仕事でリスロに行き今日は帰って来れないと聞き、ライルの事が心配で泣きそうになったけど、私を抱き締めて背中を擦って落ち着かせてくれた。
「ごめんね、もう大丈夫。」
「いや、エリーが心配してくれるのは嬉しいよ。エリーを悲しませるような事はしないよ。」
「うん、行ってらっしゃい。」
「行ってきます。」
ライルを見送り一人になると家が広く感じてしまう。いつもは夕方にはライルが帰ってきて、一緒にご飯を作り他愛もない話で笑って過ごしていた。
今日は一人で過ごすと思うと寂しくてしょうがなかったから、家を出て街の中を歩いていると。声を掛けられる。
「あれ?エリーちゃんどうしたの?なんか寂しそうだよ?」
「ケビン?えぇ、ライルが仕事で今日は帰れないらしいの。一人で家に居ると部屋が広く感じてしまって外をぶらついてたのよ。」
「そうなのか?ライルの奴こんな可愛い婚約者を寂しがらせるなんて、
悪い奴だな。」
「そんな事は無いわ。ライルは困ってる人をほってけない人だからしょうがないの。私はそんなライルが大好きなんだから。」
「おいおい、そんなに怒らなくてもいいじゃないか?ちょっとしたから冗談だよ。」
「言っていい冗談と悪い冗談があるわ。」
「悪かったって。お詫びに食事を奢るから許してくれよ。なぁ。」
ケビンと話をしていると寂しさが紛れたので、お昼を一緒に食べに行きその後は二人で街中を歩いていく。たまに三人で歩いていたことが在ったので街の人から変な目で見られることはなかった。夕方になりそろそろ解散しようと思っていると。
「ねぇ、エリーちゃん。」
ケビンに呼ばれケビンを見上げて聞く。
「なにケビン?」
「俺またエリーちゃんの料理が食いたいんだけど、作ってくれないかな?」
「ケビンの家で?」
「使い慣れてる道具がいいだろ?だからエリーちゃんの家で食べたいんだけど。」
「えっ、ダメよ。今家にはライル居ないんだから。ライルが居る時に家に来れば作ってあげるから、、別の日にしましょ。」
「今日食べたいんだよね。俺今日Aランクに成ったから前みたいに祝って欲しいんだよ。」
「えっ、ケビンAランクに成ったの?ライルはまだBランクなのに?」
「そうなんだよ。まぁ、ライルの事だからあいつも直ぐにAランクになると思うけどね。どうかな?作ってくれない?」
私はこの時にケビンとライルを比べてしまった。Bランクになるのはライルのが先だったのに、Aランクはケビンが先になったその考えが頭を過って家でご飯を作って食べさせると言ってしまっていた。
私はケビンと一旦別れ家に戻り料理を始める。何時もなら料理を作るときには横にライルが居てくれたが今日は居ないのが寂しく思っていると、ケビンが裏口から入ってくる。
「いいにおいがするね。美味しそうだ。エリーちゃん料理が上手だね。」
「これぐらい普通よ、そんなに手の込んだものじゃないし。」
「ワイン買ってきたから晩飯の時に食べながら飲もうよ。」
「えっ、私あまり強く無いんだけど。」
「そうなの?じゃあ一杯だけども付き合ってよ。」
「一杯だけなら、いいわよ。」
料理が出来上がり机を挟んで座り料理を食べながらワインを飲む。
「あっ、今まで飲んできたワインより、このワイン美味しい。」
「それね。折角Aランクになったから奮発していいのを買ったんだ。」
「へぇ~、Aランクになるとこんな美味しいワインが飲めるのね。」
何時もライルと飲むワインより美味しくて、Aランクになると美味しいワインが飲めるケビンが羨ましくなった。そこから、ケビンは私の事を綺麗で可愛いと誉めてくれる。ライルは普段恥ずかしがって言ってくれない言葉をケビンに言われ
気分が良くなりそのまま二人で寝室に行く。
ケビンと寝室で始めてると、寝室の外で音がする。
ゴトッ。
「なに?なんの音?」「なんだ?」
体をシーツで隠し寝室のドア開けて見渡したが暗くて良く見えなかった。
「エリーなんの音だった?」
「廊下が暗くて良くわからなかったわ、風かしら?」
「へっ、ライルが帰ってきてたりしてな。」
「ちょ、ちょっと冗談はやめてよ。」
「大丈夫だよ。いくらライルでもオーガを倒して今日中には帰ってこれないさ。そんな事はより続きをしようぜ。」
ライルかもしれないとケビンの言う言葉で不安になったが、そのまま寝室に戻る。
朝になるとケビンは裏口から出ていく。
昨日使った食器を洗ってしまっていると昨日ケビンが言った言葉を思い出す。
(ライルが帰ってきてたりしてな)
不安になり玄関の前を掃除しているとライルが帰ってきた。
「あっ、ラ、ライル。お、お帰りなさい。今日帰ってきたの?」
ライルは喋らずに頷いた。
喋らない事は不思議に思ったが私が聞いたことに頷いたので安心していると何も言わずに家の中に入っていくライルを私は慌てて後ろ追いかける。
何も言ってくれないライルが気になり聞いてみる。
「どうしたの?何か在ったの、様子が変よ?」
「何でもないよ。しいて言えばケビンがな。」
「えっ、ケ、ケビンがなに?」
「何でもAランクに成ったそうだぞ。」
ケビンの名が出て動揺してしまう。
「へ、へぇーそうなんだ。先を越されちゃったね。でもライルも直ぐにAランクに成れるよ。」
なんとか返事を返すと。
「なぁ、婚約者解消しよう。」
「えっ、なんで?私何か悪い事した?」
心当たりはあるがライルにはバレてないと思ってなんとか誤魔化そうとしてみる。
「ねぇ、何か言ってよ。言ってくれれば直すから!」
「いや、直さなくてもいいさ。」
「なら、なんでそんな事言うの?」
「君を幸せにするのは俺じゃなくてもいいと思っただけだ。」
「ひどい。私はライルと一緒に幸せになりたのに。」
「はぁー、Bランクの俺よりAランクのケビンの方がいいんじゃないのか?アイツなら俺より稼げるぞ。AランクとBランクじゃあ報酬額が違うしな。」
またケビンの名が出てくる。私は怖くなり体が震え血の気が引いていく。
「な、なんで。ケ、ケビンがで、出てくるの?」
「そんだけ動揺していたら、しらないふりしたって意味がないぞ。昨日家に帰ってきてみればな。」
「ち、違うの、ご、誤解よ。ケビンとは何もないわ。信じて。」
「兎に角俺はもう君に興味が無くなった。家に来たのも自分の荷物を取りに来ただけだがなんだかどうでもいい気分だ。部屋に有るのはそのままにして行くよ。売るなり捨てるなり好きにしてくれ。この家も君にあげるよ。」
「ま、待ってライル。ごめんなさい。反省してます。赦して下さい。こんな事二度としないから!ねぇ、君じゃなくて名前で呼んでお願い。」
ライルにはバレていて、必死に謝る。いつもはエリーと私を呼んでくれるのに、君と呼ばれる。いつもみたいにエリーと呼んでほしくて、名前で呼んでくれとライルには言うと。
「あぁ、そうだな。」
頷いて言ってくれた事にホッとしているとライルが
「さようならエリー愛してたよ。」
私はその言葉でその場で泣き崩れてしまうがライルは振り返らずに家を出て行ってしまった。どれくらい泣いていただろうか?
何もやる気が出なくなり寝室に戻ると廊下の隅に光る物が見えたので近づき手に取ると其は綺麗な首飾りだった。ライルが昨日私の為に買ってきてくれたんだと気付き、寂しいからってなんであんな事をしてしまったのか!と考えたらまた涙が止まらなくなった。
「ヒック、わ、わだじなんでばがなごとを。うぅ、うゎー」
ブックマックが300を越えました、ありがとうございます。これも一重に皆様のお陰です。感想も頂けてとても嬉しいです。引き続き頑張って書いていくのでお付き合いお願いします。